西陣にまつわる
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10/12

西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2022.11.14
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祖父と父は写真が好きで、たびたび押入れからはたくさんのプリントやネガが発掘されます。今後この写真などをどうしたものか…私の課題でもあります。
たくさんの写真を整理していると大変興味深いネガが出て来ました。撮影者は不明ですがスキャナにかけて見てみると、うちの町内(2021年7月6日の投稿と同じ場所)で祖母の姉が孫をだっこしてる様子です。何が興味深いのかというと、このフィルムサイズが14mm角の正方形!なのです。
カメラ本体は父が生前「これは値打ちあるから大切にしろよ!」とよく言ってましたのでちゃんと大切に?保管されておりましたが、撮影されたネガを見たことはありませんでした。
撮影年月は1950年頃でしょう。この時代のこんな小さなフィルムとカメラでここまでの情報が写し込まれている…昔の光学技術はとても素晴らしいものであったととても感動した次第。
以前も書きましたが写真や8mm映画(動画)は、今の手軽さからは考えられない程、庶民の趣味としてはぜいたくなものでした。改めて実感しました。

岡田健

光都紙工有限会社 代表兼デザイナー 岡田健

西陣の南東?の牛乳屋の息子として生まれ育って五十数年、今は極小印刷会社の代表取締役兼デザイナーです。ウクレレとコーヒーが好きです。

2022.11.12
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「片付け」というものがとにかく好きで仕方がない。
明日の朝、食器棚の整理をしよう。など予定が立つと、楽しみでいそいそと早起きをしてしまうほどに。ある種の才能と感じるのですが、部屋なり物の置き場なりを見ればどう片づけたらいいのかが解るのです。もう少し詳細に説明すると、その空間の容積と物の”導線”を含めた必要容積がどれほどかということが脳内で立体パズルの如く理解される。物はただ整然と仕舞い並べるだけでは不十分で、よく使う(動かす)物であるほどに配置はよく考えなくてはならない。片づけた時から、その物を人間がどのような動きで使うのか。それに付随する身体の占有スペース、視線の位置、物が再び置かれる場所の範囲幅、等々…全てを総合し考え配置し、うまく導線が確保出来その場・物の使用がスムーズになる。この立体的かつ時間軸の加わったパズルが楽しくて仕方がないのです。
しかし、そうして組み上げた人間の思惑を一ミリも慮らないのが愛猫たち。最近では換気のために配置した扇風機がまさかのお気に入りで、日々見事に毛を吸い込んでは弱まる送風力。人の思惑などかくも浅はかなものかと、愛らしき毛玉に翻弄される日々でもあるのです。

松波さゆり

和裁士 松波さゆり

岡山県出身。布好きが高じて京都で学び暮らし始めて早18年目。プロの和裁士としてテレビドラマの衣装をはじめ様々な仕立てを手掛ける。現在は市民運営の寺院 ”寳幢寺”のスタッフとして日々を過ごしながら、社会や地域に貢献できることを模索しています。

2022.11.09
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多拠点生活サービス「ADDress」のまっさんこと高本です。
西陣より少し南に下がった烏丸通沿いにある地元岡山生まれヒーローの神社〜護王神社をご紹介しましょう。

この神社、平安京建都を具申した和気清麻呂公を祀った社なのです。高尾山神護寺境内にあった社が明治天皇の勅命でこの地に遷座されたという変わった神社でもあります。

岡山和気町で生まれた清麻呂は姉広虫と宮廷で活躍、一方で道鏡の九州・宇佐八幡の「道鏡を天皇にせよ」という偽神託を買収に屈せず、暴きいて流罪に遭った際、足の腱を切られながら宇佐八幡に立ち寄った際にイノシシたちが現れて、清麻呂の輿を支えるように道教の刺客から守護した逸話が。40kmにも渡る道のりをガイドされるうちに清麻呂の足の傷も癒えたという奇跡を今に伝える社なのです。足腰の神様として人気のこの社、一時は羽生選手の絵馬だらけになってたこともあったなぁ。

足の痛みがなかなかおさまらなかったオカンの代理祈願で毎年参詣しているけれど、徐々に良くなってはいるようで来年も御参りするつもり。足腰の痛みがある方も、ない方も心静かに落ち着く素敵な場所なのでよかったら立ち寄ってみてくださいね。

高本昌宏

多拠点プランナー / ADDress 事業企画 高本昌宏

学生時代に伏見と西陣に住んだことがきっかけで、京都では決してメインストリームではないかもしれないこの二地域に惹かれる。多拠点居住サービス立ち上げをしながら、2020年伏見移住。西陣にも同年から通い始め、魅力再発見中。

2022.11.07
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今年も11月4日〜6日の三日間、京都建築専門学校では堀川茶室が建てられました。場所は堀川丸太町下がったあたりの堀川遊歩道。2年生たちが茶屋の基礎から組み立てて1年生は2年のお手伝いや土壁を塗り、苫葺や襖、太鼓橋などを拵えます。そして中日でお餅つきを行い、いつもお世話になっている方々につきたてのお餅を振る舞って、ご近所さんにはお裾分けを配る。というのが毎年恒例の学園祭行事になります。
学生たちが今まで作ったことのない物を、前年の学生の作った資料を参考にしながら、3週間ほどの期間で一から自分たちで作り上げていく姿は、いつも感心させられます。
実はこの茶屋を作る行事の前に、学生にとって夏の合宿が重要なんです。夏休み期間中、合宿を行いながら改修・修繕工事を行うのも、この学校の毎年恒例行事になっており、この合宿で生活や仕事をともにすることで学生たちの施工スキルやコミュニケーション、連帯感などが育まれ、夏の経験がこの茶屋の建築に生かされます。
専門学校は2年間と学びの期間が短いですが、短い分学生たちがみるみるうちに成長していく様が(叩き上げともいう?)、堀川茶室では垣間見ることができますので、まだ来られたことのない方は来年ぜひ足を運んでみてください。
この学園祭が終われば2年生は、年明け2月に行われる卒業制作発表に向けて動き出します。まだまだ学生生活は続きます!

磯村明見

特定非営利活動法人ANEWAL Gallery デザイナー/マネージャー 磯村明見

京都市出身のグラフィックデザイナー。日本の老舗印刷会社と上海の広告代理店を経て本帰国後フリーに転身。NPO ANEWAL Galleryデザイナー兼マネージャー担当。京都建築専門学校広報担当。京都芸術デザイン専門学校非常勤講師。

2022.11.05
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全国旅行支援がスタートし、京都にも沢山の観光客が訪れています。

うちのお店の近くにもゲストハウスが点在していることもあり、観光客や外国人のお客さんも少しずつ増えてきました。

先日は、仙台の出身で現在はバイクに乗りながら旅をしているという方と旅の話、特にゲストハウスの話題で大いに盛り上がりました。

僕も旅先でゲストハウスに泊まるのが好きで、色んな思い出があります。学生時代にヒッチハイクで九州一周したときは、鹿児島で一緒になったバイカーのお兄さんたちにご飯をごちそうになったり、東京では台風の影響で足止めを食らった関西人が集結していて朝まで飲み明かしたり、昨年訪れた直島では、うちのお店に来店したことがあるコーヒー好きの学生さんが住み込みのバイトをしていたりと…。

素敵な出会いを沢山いただきました。

コロナがあったり、お店をオープンしたりで最近はもっぱら旅人を迎え入れることが増えましたが、「旅」への情熱は消えていません。

いつか念願の東北方面へのヒッチハイクという夢を叶えたいと思います。そして、その思い出はオサノートにて綴らせていただこうと思います笑

三輪浩朔

Laughterロースター 三輪浩朔

2020年10月「Laughter」を開業。21歳までコーヒーを飲んだことがなかったが、タイ北部の農園に直接足を運んだことでその魅力にほれ込む。コーヒーを通じて生産者の思いやストーリーも届け、一杯から笑顔溢れる空間を紡ぐことを目指している。

2022.11.02
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秋景色とともにゆっくりと冬の気配も近づいてきて、ついこの間まで半袖だったのに!とびっくりする位寒い日も訪れる様になってきました。みなさん冬の防寒対策ってどうされていますか?

 

私は家の中ではもっぱらチャンチャンコを着ながら怠惰を貪っている訳なんですが、最近気になっているのは暖房器具。世界情勢柄、光熱費がどんどん高騰している事情もあるのですが、当方築150年超えの町家に住んでいるもので、流石に冬は寒い(当然の様に夏は暑い)。そんな中暖房をエアコンにするのか、ガスファンヒーターにするのか、それともオイルヒーターなのか。。。と毎回ぐるぐる考えている訳です。

 

どうしようか考えていると、ふと冬キャンプで利用している石油ストーブで今年は過ごしてみようかなと思い立ち、何個か持っているストーブの中からAladdinのブルーフレームストーブを引っ張り出してきて居間に設置しました。

 

即効性の火力はそんなにありませんが見た目は最高です。そもそもブルーフレームストーブは1930年代にイギリスで生まれたということもあり、町家にもベストマッチング。レトロな感じで未だに人気のあるストーブです。

 

レトロな暖かさを感じたい方はぜひAladdinのブルーフレームストーブをチェックしてみてくださいね。

ミツギタカユキ

デザインカタリスト ミツギタカユキ

20歳より渡米し、大学にて彫刻からインタラクティブアート、デザインなど幅広い分野を学びつつフリーのデザイナーとして活動。帰国後京都に移住。現在西陣にてデザインカタリストとしてウェブ制作からデザインに纏る企画・運営など幅広い分野で活動を行う。

2022.10.29
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秋が深まる今日この頃。
最近は、暖かい日ざしを感じながら、ぼーっと水色に澄んだ青い空を眺めることに
幸せを感じます。子どもたちは、秋の催しが盛りだくさんのようで、いろんなお話を
毎日聞かせてくれます。先日は花脊山の家に行った話をしてくれて、とても懐かしい気持ちになりました。自分が訪れた当時の記憶を思い出しながら、世代を越えて共通の話題で盛り上がり、不思議な嬉しさがありました。

 

さて、地域の様々な企業、商店さまと一緒に取り組んでいるマチゴトアフタースクールプロジェクトですが、来月11月に第3回目を実施します。今回はなぞときではなく、「まちゴトモンスター!」という企画名で、新大宮商店街のたくさんの店舗さまにご協力をいただき、
お店の名物をモチーフに、子どもたちにモンスターのアイデアを考えてもらいました。
そのモンスターを新大宮商店街の中に隠し、おうちの方と一緒に子どもたちに探し出してもらうというあそびです。これまでとはまた違ったかたちですが、多様な大人たちで生み出すこのまちの「あそび」を、ぜひ楽しんでもらえたらと願っています。

村上弘

特定非営利活動法人 代表 村上弘

特定非営利活動法人SOWERS代表 放課後の時間に、多様な体験を届けるafter schoolミライブラリを運営。子どもたちの今とこれからを考え、放課後の選択肢とその可能性の拡張を目指し、日々活動しています。

2022.10.24
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すっかり涼しい秋になり、日中と夜の寒暖差で、服装を考えるのが難しいこの頃。

先月は、自分たちの結婚式があった。

ほとんど一ヶ月ほどで準備をしたので、夫が作ったタスク表を確認しながら、毎日なんやかんやと忙しなかった。

人には得意不得意があって、互いに補い合える関係はバランスが良いなと思う。

夫が動画や紙モノのデザインなど制作物を担当してくれて、わたしはそもそもパソコンも苦手な方なので、すごく助かった。

挙式をして良かったなと思うのは、準備を進める中で、ゲストのことをとてもたくさん考えたことだ。

関わりがある、という共通点だけで多方面からの友人知人を一同に集められる機会はそうそうない。

お祝いに駆けつけてくれた方たちには特別、感謝の気持ちと、今後も周りとの付き合いを大切にしていきたい気持ち。

今年は特別な秋になったね。

龍田 春奈

咲里畑 届けびと 龍田 春奈

1993年京都生まれ。西陣育ち。京都市西京区大原野「咲里畑」にて、季節の多品目の野菜、ハーブ、エディブルフラワーを、農薬や化学肥料を使わず育て、販売している。農ある暮らしの中に感じる豊かさを、人に届けることに喜びを見出しています。

2022.10.22
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私事ですが、夏にコロナに罹患して自宅隔離を余儀なくされました。
あまりにもすることがないので、かつてないほど読書に耽り、消化不良になりました。

 

そんな中、人に勧められて「ファンダムエコノミー入門」という本を読みました。
簡単に言えば、ファン文化が参加型の新しい経済圏を生み出す、という内容ですが、そういう意味では「西陣」も、西陣ファンたちが参加して、新しい文化や経済を生み出しているように思います。

 

以前、「つぎの西陣をつくる交流会」でのプレゼンを聞いたときから、シェアサイクルPiPPAのことが気になっていたのですが、最近、Circular Economyについて学ぶ機会が増えたことで、あらためてその素晴らしさを実感して、今ではすっかりPiPPAファンです。
そんなわけで今月から、うちの施設の駐車場の一画がPiPPAの駐輪ポートになりました。

 

西陣のまちはコンパクトで、そこら中に見どころがあるので、ポタリングに適しています。
ちょうど今、京阪電車とPiPPAとで、西陣呼称555年記念事業と連携した「駅から西陣をポタリング」というイベントが開催されています。
個人的には、そのうち他の事業所も巻き込んで、PiPPAを利用した福祉スタディツアーなんかが企画できたらと思っています。

中島慶行

京都市小川特別養護老人ホーム 施設長 中島慶行

立命館大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。 2009年より2年間、京都市小川特別養護老人ホーム副施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長を務めたあと、伏見区の施設に異動。 2019年、京都市小川特別養護老人ホーム施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長として復帰。 銭湯と牛乳とじゃこ天が好きです。

2022.10.19
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昨年の11月に堀川商店街のそばにできた堀川新文化ビルジング。大垣書店やカフェなどが入っており、イベントスペースも併設している。文字通り、商店街に新しい文化を根付かせる核となるような施設だ。私も大学からの帰り道によく立ち寄るのだが、一つ気になっているものがある。
それはこの建物の入り口。道路と店内の間には二つ自動ドアがあるのだが、その二つが微妙にズレているのだ。点字ブロックもそれに合わせてカクカクと曲がっている。真っ直ぐ並べても特に問題はなさそうなのに、なぜか曲げられている。
これを見て、私は「参道みたいだな」と思った。社寺の参道は、しばしば途中で曲がり角が設けられている。直線にできる場所でも、あえて曲がらないと社殿に到達できないようになっている。建築家の槇文彦は、この折れ曲がりを神域の「奥」性を演出する空間装置と捉えた。
新文化ビルジングの入り口も、同じ意味合いを持っているのではないか。この建物は横に長く、奥行はとても短い。その「浅さ」を補うかのように、屈曲が設けられている。普段参道のことを考えすぎているせいかもしれないが、私はこの屈曲に「奥」を感じた。いつか、答え合わせをしてみたい。

重永瞬

京都大学文学部地理学専修 重永瞬

地図とまち歩きが好きな大学生。“西陣の端っこ”(お隣?)仁和学区で生まれ育つ。大学で地理学を学ぶかたわら、まち歩き団体「まいまい京都」でスタッフとガイドを務める。なんでもない街角の記憶を掘り起こしたい。古本とラーメンが好き。