西陣にまつわる
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松波さゆり

和裁士松波さゆり

岡山県出身。布好きが高じて京都で学び暮らし始めて早18年目。プロの和裁士としてテレビドラマの衣装をはじめ様々な仕立てを手掛ける。現在は市民運営の寺院 ”寳幢寺”のスタッフとして日々を過ごしながら、社会や地域に貢献できることを模索しています。

2021.10.03
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「タルチョ」ってご存じですか?
伝統的なチベットの仏教旗で、それぞれにお経が印刷されています。描かれている馬が経文の功徳を乗せて届けていく。風に乗って経文の功徳が世界に遍満していくようにという願いが込められています。
スタジオジブリがDVDを企画制作した「チベット死者の書」というドキュメンタリー映画があり、映像の中にも至る所にタルチョを見ることが出来ます。
チベットは大変標高の高い国で、空の色はとてもとても濃くて深い青色です。
生死、信仰、祈り、日常、リアルなチベットの風景とそこに生きる人たちの姿。
限りなく深く、青い青い空に、草木も生えぬ灰色の町。峠に、町に、寺院に、家々に、この鮮やかな五色の旗がはためく様は祈りのイメージと重なり忘れがたい印象を心に残しています。
タルチョはチベットだけでなく、世界各所に見ることが出来ます。インドを旅したときにも仏跡や峠の各所にはためいていたのを思い出します。
寳幢寺でも、一番風が通る屋上に設置しています。場所は、上立売の小川通を下がったところです。通り沿いに面した場所にも設置していますので通りがかったら見上げてご覧になってみてください。青空に映える日にも、ぜひ。
送信日時: 2021/09/30 11:41

2021.09.03
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カレーというものが特段好きでも嫌いでもなかったのですが、20代終盤に突如インドに旅立ったことがあり、カレーしかない生活をひと月ほど送ったことがあります。
飽きるよとか、絶対おなかを壊すんだよとか、そうした事前にいただいた予想はことごとく外れ、何食べても美味しいし身体も絶好調だしでインドの食文化最高・・・!!と堪能の日々。
その美味しさの広がりは、地方によって、またその家々のお母さんのさじ加減によって、様々な味わいと彩りを魅せてくれます。豊かな、なんとも豊かな世界に触れ、カレーという概念はすっかり覆ったのでした。
これは、「スパイスを使った郷土料理」なのだな。と。
帰国してからは自ら作るようになり、そこから程なくして、寳幢寺に来られる方々にも振る舞うように。作って作って振る舞って、行き詰まった折にはインド料理に精通した人が何故かふらりと現れては深い気づきを与えてくれて去って行く。そしてまたレベルを上げつつ作り続ける。そんなセルフインド料理修業も早5年目くらいでしょうか。
また状況が落ち着いたらイベント等で振る舞える機会があるといいなと思いながら、西陣の片隅で今日もカレーを作るのです。

2021.08.04
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あたしの名前? 絹ちゃんって呼ばれてる。
お母さんとはぐれて困ってたところを助けてもらって、今は寳幢寺ってお寺に住んでる。
ここは西陣織の工場跡をDIYして作ったお寺だから、「絹」っていう名前になったんだって。
我ながらだけど、身体も白くてふわっふわだし、手触りもシルキーで気持ちいいって皆が触りに来るの。抱っこは好きじゃないけど、撫でられるのは悪い気はしないわ。ブラシもあててくれたら…けっこう心許しちゃうかも。
ここには色んな人が遊びに来たり、一緒に暮らしてたりしてて、こういうのって大家族っていうのかな?
いつもみんな楽しそうにお話してたり、真面目に勉強したり対話してたり。
このお寺が好きで、大切に思ってる人が集まってくるの。
皆で囲んでる食卓にも、お米やお野菜や色々、農家さんや応援してくれる方がお布施してくれたものがいつも並んでる。
あたしも時々、大好物のチュールをお布施してもらったりするのよ。
普段はスタッフルームに居るんだけど、お客さんが来た時には挨拶しに他の部屋にも出掛けたりするの。お寺の看板猫だからって、どこに行っても写真を撮られるんだけど…、みんなが嬉しそうだから、ま、いいかなって思ってる。

2021.07.05
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「パンの海に溺れてしまう…」
そう呟くのは、お寺によく遊びに来てくれるミライちゃん。

美味しいものが大好き。とりわけ、パンが好きでたまらない彼女。
普段は他府県に住んでいるのですが、京都に来た際には寳幢寺に逗留してはパン巡りを敢行。なんでも、京都のパンレベルと格が圧倒的過ぎて、もはや聖地巡礼レベルなのだとか。

彼女はネット上の情報は参考程度に、実際に訪れたお店の雰囲気やメニュー構成、パンの配置、照明に至るまで様々な情報を一身に感じ、これぞ!と思うパンを選び出しては皆にふるまってくれるのです。

彼女のパンセンサーにヒットしたパンたちの美味しさたるや、我々は今まで京都に暮らしながら、なんと漫然とパンを食べていたことかと認識が変わっていくレベルです。
大好きなパンの魅力や美味しさを語ってくれる彼女との食卓は本当に豊かで、 心から大好きなものをみんなで分かち合うことがこんなに幸せなんだなぁと、いつも教えてもらっています。

ちなみに、ミライちゃんイチ押しの殿堂入りパン屋さんは西陣エリアから少し北。千本北大路にある『たまや』さん。そしてその更に北の鷹峯にある『クロア』さん。どちらも絶品パンが居並びます。

2021.06.05
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始まりは、卓上にある美味しいキャベツ。
お寺に集う皆で、おいしい。おいしいと言いながら、寄ってたかってちぎっては、もしゃもしゃと食べていました。
そのキャベツがまた、生のままで味付けも不要なくらい甘くて美味しさたっぷりで、食べてるだけでもう皆自然と顔がほころんでいて。
2年前の平成から令和に変わる夜のことでした。
そのキャベツを持ってこられたのは、当時兼業で農家をされていた今井啓文さん。野菜を食べている皆の沢山の笑顔を見て、「私の生きる道はこれだ!」と心が決まったそう。その数ヶ月後にはなんと、20年勤めた会社を退職。地元の滋賀県・守山市で無農薬栽培農家「ラトナファーム」をスタートさせたのです。
始めたばかりは苦労の連続。度重なる天候不順や、農薬を使った野菜との価格競争に巻き込まれたり。それでも愚直に、真摯に作り続ける今井さんのために私たちも何か応援できないかと昨年秋から寳幢寺の軒先での野菜市を始めました。皆でわいわいと店番しながら、半年経った今はすっかり、地域にも定着しつつあります。ご家族やお友達を連れてきてくださるご近所さんも増えてきて、あの日の笑顔がより一層広がってゆく風景を見つめています。

2021.05.06
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「人はなぜ服を着るのだろう」
機能面だけならば、布を巻き付けているだけでも構わないのに。

身に纏うもののデザイン、肌触り、使い込んでゆくほどに生まれる心地よさや愛着。そんな布と人との関わりにとても魅力を感じて、当時片田舎の高校生だった私は、そんな幸せを創れるようになりたいと思ったのでした。

京都には“西陣”という染織の本場があるじゃないか。
憧れて出てきて、もう故郷での年月を追い越そうとしています。

大学で染織を学んでのち、和裁の修業を積んで独立。いち作り手として人の幸せを考え追い求める中で、ご縁あって4年前から上京区に暮らすことに。

豊かな伝統文化が息づく街。そしてここで出会う人たちは、これからの街の在り方を真摯に考え、それぞれのやり方で行動されている。お人とお人が繋がり、アイデアを紡ぎ合い、新しい景色が日々生み出されている。

まるで縦横の糸が織りなす布地のよう。だなんて、詩的に過ぎるかもしれないけれども。
街のこと、ここで暮らすお人のこと、想いに触れて心にジーンと来たことも一度や二度ではないのです。

この街で暮らして、日々の中で出会う素敵な人やもの・ことをひとつずつご紹介してゆけたらと思っています。