西陣にまつわる
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松波さゆり

和裁士松波さゆり

岡山県出身。布好きが高じて京都で学び暮らし始めて早18年目。プロの和裁士としてテレビドラマの衣装をはじめ様々な仕立てを手掛ける。現在は市民運営の寺院 ”寳幢寺”のスタッフとして日々を過ごしながら、社会や地域に貢献できることを模索しています。

2022.04.15
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私ごとですが、最近突然運動に目覚め、時間を見つけては筋トレをしたり、散歩に出かけたりしています。今まで5分歩くのも面倒がってバイクを多用していたのですが、歩くということをやってみると、見慣れた風景の中に新しい発見が沢山あってとても楽しいです。
通ったことのない小道を積極的に歩くのですが、今まで知らなかった素敵なお店や町の風景にどんどん出会えます。噂に聞いてた評判のブックカフェ。看板の可愛いピアノ教室。金曜日だけオープンする絶品洋菓子店。観葉植物の茂るレストラン。いつも家族連れで賑わう小さな公園。軒先に色とりどりなお花を見事に咲かせる老婦人の居るお家。
バイクの速度や用事のための移動だけでは見つけられなかった景色がそこかしこに。
隠れ家のようなお店で思い思いに過ごす人たち、家々の空気感。西陣の町の繋がりや温かな雰囲気、歩くほどに見つけられ感じられます。こんなにも歩くことが楽しい町だったなんて・・・、今更ながら西陣散歩にはまっている次第です。
しかし、4月も半ばというのにもう初夏の陽気。葉桜の柔らかな色彩と体感温度のギャップに少し驚きながらも、これもまた春の形かなと西陣界隈をてくてくと歩くのです。

2022.03.15
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リレーコラムを書かせていただいて、早くも一年が経とうとしています。 季節も巡り、日差しにもずいぶん暖かさを感じる頃合いとなってきました。 近所を散歩していたら、同志社大学の前に八重咲きの梅を見かけました。一瞬桜かと思うほど淡く美しい桃色に、これから来る春を思っては心が浮き立つような気分に。 春を迎え、夏が来て、秋が過ぎ、冬を越えて、また新しい春が来る。 幾多のその日その瞬間を重ねての今日、今現在があるのですが、過ぎ去った時間というのは振り返るとあまりにもあっという間でいつも驚くのです。 一年の振り返りを思うのは、新年よりも、いつも春の直前のこの頃です。 人生の残り時間を秒数や日数で考えるよりも、 「あと何回春を迎えられるのか」と考える方が非常に心に刺さるのはやはり日本人ならではかと。 四季の巡りは繰り返しではなく、変化を続ける途上。 これからの春は、そしてこの春の先は、どんな景色が待っているのでしょうか。 一歩一歩、また新しい一日を迎え、積み重なり新しい景色が広がっていく。 人生とはなんとも味わい深いものかと、春を前にふと、とりとめもなく。

2022.02.11
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2月に入ってから空気は春の気配を感じるのに、背筋を寒さが走り抜けるような底冷えを味わう日々。毎年毎年、こんなに寒かったっけ?と性懲りも無く考えを巡らせる。そういえば昨年もそのように思っていたような。人間とは単純なもので、暑さ寒さも過ぎてしまえば適度に忘却してしまうよう。なればこそ、季節が変わる度に新鮮さを感じていることにもふと気付くのです。例えば風景、体感や、食の楽しみも四季があるからこそ折々に。
セルフカレー修行の一環で、今年は新しいレシピも色々と練習し始めています。写真は先日作った「サンバル」という野菜カレー。南インドの味噌汁的存在といっても過言じゃない、現地では定番中の定番メニュー。優しくて体にすっと入ってくる、シンプルなのに滋味深いお料理。スパイスが入った温かなスープは体を巡らせ、冷えた体をぽかぽかと温めてくれます。常夏の南インドのお料理なのに、真冬の京都にもこんなに合うなんて、とちょっと驚き。同じ料理でも、場所の違い、季節の違いでまた新しい顔を見せてくれる。振る舞った方それぞれが感じる景色も、きっと様々に広がるのかな。なんて思いながら。温かな春を待つ、とある日のひとコマでした。

2022.01.09
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日本に生まれてきてよかったなあと思うことで、ひとつは美味しいものがあふれていること。もうひとつは、かわいいものがあふれていること。アニメやご当地のキャラクターしかり、西陣界隈のイベントごとでもポップなのぼりがそこかしこに上がっていたりと街も心もカラフルに彩られていくようで出会うたびわくわくします。
新年の前後に全国に出現する干支というアニマルキャラクターも実は楽しみのひとつで、昨年は牛キャラを存分に堪能し、今年はさて寅かと。気に入るデザインのものに出会うと「寅年」なんて1年間限定ワードが記載されていてもつい手が伸びそうになってしまいます。新年柄で個人的にヒットしたのが某サブレのこのパッケージ。ゆるい柄なのに結構緻密(??)に“トラ”が織り込まれていて、そうそう、日本のこういうとこ好きなんだよね、なんてにやにやしてしまう。楽しいこと、好きなこと、心わくわくすることを、今年もここ西陣で過ごしながら沢山見つけてゆきたいなと思っています。

2021.12.02
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早いものでもう12月。朝晩もすっかり寒くなってきて、鉢植えの植物たちの屋内待避の季節ともなってきました。
寳幢寺では、仏教由来の樹木からカレーやアジア料理の材料になる植物など、熱帯の植物を栽培しています。お釈迦様が悟ったとされる菩提樹から株分けされた木(日本国内でお釈迦様の菩提樹を増やす活動をなさっておられる団体があり、譲っていただいたもの)をはじめ、悟りの花でもある熱帯睡蓮、食材としてはカレーの香りがする葉っぱを持つカレーリーフなどなど。気がつけば寒さに弱い植物が多く、また、毎年株分けしたり種から栽培したりするもので、けっこう・・・、増えるんです。
小さな鉢たちは、少しでも暖かな場所にと日の当たる窓際に。背丈のあるものは階段の踊り場など出来るだけ高さをとれるところに。しかし、さすが熱帯の植物。菩提樹などはひと夏で1メートル以上は伸びて毎年背丈を更新していくので、そろそろ天井の高さが足りないな・・・なんて来年の心配をしてみたり。とはいえ、館内を歩く度にそこかしこに緑があるというのもなかなか良い雰囲気です。西陣に暮らすようになって四度目の冬、今年も植物たちと一緒に過ごす日々でおります。

2021.11.02
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寳幢寺のお寺猫、黒猫の紬ちゃん。
一年前に上京区内で塀の隙間に挟まっていたところを保護されました。沢山の優しい人たちに助けられ、今は寳幢寺スタッフの和美さんと一緒に暮らしています。
毎日、和美さんと一緒にお寺に出勤して、日中はスタッフルームでお寺猫絹ちゃんと一緒に過ごしています。
来たばかりの頃は生後まもなく、二匹の体格差も親子さながら。絹ちゃんもよちよち歩きの紬ちゃんを咥えてお気に入りのかごに連れて行ってあげたり、まるでお母さんのようにお世話をしてあげていたり、当時乳離れをしていなかった紬ちゃんに乳首を吸われて驚いていたり・・・(笑)
いまではすっかり大きくなって、やんちゃ盛り、そしてとっても甘えん坊。絹ちゃんと毛繕いしあったり取っ組み合ったり、一緒に眠っていたり、毎日なんとも愛らしく微笑ましい姿を見せてくれます。
小さな頃から皆に抱っこされていたので、お膝も抱っこも全く大丈夫。でも、ご気分でなければ容赦なく顔面に猫パンチを繰り出します。賢いことに爪でひっかくことは全く無いので、人間たちは日々肉球パンチに甘んじる幸せをいただいています。
人も猫も、平和に穏やかに暮らす日々の温かさを感じています。

2021.10.03
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「タルチョ」ってご存じですか?
伝統的なチベットの仏教旗で、それぞれにお経が印刷されています。描かれている馬が経文の功徳を乗せて届けていく。風に乗って経文の功徳が世界に遍満していくようにという願いが込められています。
スタジオジブリがDVDを企画制作した「チベット死者の書」というドキュメンタリー映画があり、映像の中にも至る所にタルチョを見ることが出来ます。
チベットは大変標高の高い国で、空の色はとてもとても濃くて深い青色です。
生死、信仰、祈り、日常、リアルなチベットの風景とそこに生きる人たちの姿。
限りなく深く、青い青い空に、草木も生えぬ灰色の町。峠に、町に、寺院に、家々に、この鮮やかな五色の旗がはためく様は祈りのイメージと重なり忘れがたい印象を心に残しています。
タルチョはチベットだけでなく、世界各所に見ることが出来ます。インドを旅したときにも仏跡や峠の各所にはためいていたのを思い出します。
寳幢寺でも、一番風が通る屋上に設置しています。場所は、上立売の小川通を下がったところです。通り沿いに面した場所にも設置していますので通りがかったら見上げてご覧になってみてください。青空に映える日にも、ぜひ。
送信日時: 2021/09/30 11:41

2021.09.03
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カレーというものが特段好きでも嫌いでもなかったのですが、20代終盤に突如インドに旅立ったことがあり、カレーしかない生活をひと月ほど送ったことがあります。
飽きるよとか、絶対おなかを壊すんだよとか、そうした事前にいただいた予想はことごとく外れ、何食べても美味しいし身体も絶好調だしでインドの食文化最高・・・!!と堪能の日々。
その美味しさの広がりは、地方によって、またその家々のお母さんのさじ加減によって、様々な味わいと彩りを魅せてくれます。豊かな、なんとも豊かな世界に触れ、カレーという概念はすっかり覆ったのでした。
これは、「スパイスを使った郷土料理」なのだな。と。
帰国してからは自ら作るようになり、そこから程なくして、寳幢寺に来られる方々にも振る舞うように。作って作って振る舞って、行き詰まった折にはインド料理に精通した人が何故かふらりと現れては深い気づきを与えてくれて去って行く。そしてまたレベルを上げつつ作り続ける。そんなセルフインド料理修業も早5年目くらいでしょうか。
また状況が落ち着いたらイベント等で振る舞える機会があるといいなと思いながら、西陣の片隅で今日もカレーを作るのです。

2021.08.04
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あたしの名前? 絹ちゃんって呼ばれてる。
お母さんとはぐれて困ってたところを助けてもらって、今は寳幢寺ってお寺に住んでる。
ここは西陣織の工場跡をDIYして作ったお寺だから、「絹」っていう名前になったんだって。
我ながらだけど、身体も白くてふわっふわだし、手触りもシルキーで気持ちいいって皆が触りに来るの。抱っこは好きじゃないけど、撫でられるのは悪い気はしないわ。ブラシもあててくれたら…けっこう心許しちゃうかも。
ここには色んな人が遊びに来たり、一緒に暮らしてたりしてて、こういうのって大家族っていうのかな?
いつもみんな楽しそうにお話してたり、真面目に勉強したり対話してたり。
このお寺が好きで、大切に思ってる人が集まってくるの。
皆で囲んでる食卓にも、お米やお野菜や色々、農家さんや応援してくれる方がお布施してくれたものがいつも並んでる。
あたしも時々、大好物のチュールをお布施してもらったりするのよ。
普段はスタッフルームに居るんだけど、お客さんが来た時には挨拶しに他の部屋にも出掛けたりするの。お寺の看板猫だからって、どこに行っても写真を撮られるんだけど…、みんなが嬉しそうだから、ま、いいかなって思ってる。

2021.07.05
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「パンの海に溺れてしまう…」
そう呟くのは、お寺によく遊びに来てくれるミライちゃん。

美味しいものが大好き。とりわけ、パンが好きでたまらない彼女。
普段は他府県に住んでいるのですが、京都に来た際には寳幢寺に逗留してはパン巡りを敢行。なんでも、京都のパンレベルと格が圧倒的過ぎて、もはや聖地巡礼レベルなのだとか。

彼女はネット上の情報は参考程度に、実際に訪れたお店の雰囲気やメニュー構成、パンの配置、照明に至るまで様々な情報を一身に感じ、これぞ!と思うパンを選び出しては皆にふるまってくれるのです。

彼女のパンセンサーにヒットしたパンたちの美味しさたるや、我々は今まで京都に暮らしながら、なんと漫然とパンを食べていたことかと認識が変わっていくレベルです。
大好きなパンの魅力や美味しさを語ってくれる彼女との食卓は本当に豊かで、 心から大好きなものをみんなで分かち合うことがこんなに幸せなんだなぁと、いつも教えてもらっています。

ちなみに、ミライちゃんイチ押しの殿堂入りパン屋さんは西陣エリアから少し北。千本北大路にある『たまや』さん。そしてその更に北の鷹峯にある『クロア』さん。どちらも絶品パンが居並びます。