わたしたちの12回のトキメキ。

 

今年も残すところ数時間となった2023年。

この1年間はどんな出来事があったかなと振り返り、久しぶりの実家で思い出話に花を咲かせる。いつもの京都はこの時期になるとすごく寒いのに、今年はなんだかあったかくて、あっという間に1年が過ぎ去ってしまった感じがする。そんな冬だとは思えない陽気な12月中旬、私たちはプチメックでモーニングを食べていた。

 

 

 

12回目となる今回(最終回!?)は、あのパン、このパン、気になるパンを食べてみることにした。800円以上の購入でカードにひとつずつスタンプが押されていくのだが、みるとすっかりたまっている様子。目に見える形で1年間通ったことが証明された感じがして嬉しい。レジの横には500円以上でもらえる毎月オリジナルのポストカードが。今月はクリスマスを感じさせる深緑色であった。モーニングセットでホットラテを注文し、好きな席に座る。前回6月に来た時と同じ席を自然と選んでいた。朝だから、という理由か賑わっている店内。右隣は外国人。大学の先生かな。コーヒー片手に新聞のようなものを広げている。左隣は美味しそうにパンを頬張るお姉さん。みんな各々のモーニングタイムを過ごしていて、今日という1日の始まりを有意義なものにしているなあと勝手に感じた。

 

 

ホットラテは自分でミルクを淹れるスタイルで驚いた。エスプレッソが入ったカップにお好みの量のミルクを勢いよく注ぐ。自分好みに調整できてオリジナルドリンクの完成だ。今日のパンは甘い系だから、ミルクは少なめにしてみた。

 

 

 

 

今回、私たちがいただいたパンはチョコメックとクロワッサン・オ・ザマンドの2種類。

 

 

 

チョコメックは、10月にシグネチャーされた25周年を記念したパンでありその時のリベンジである。プチメックの名前を捩ったチョコメック。私たちの連載タイトルである「ル・プチメックにトキメック」と通ずる部分を勝手に感じていて、絶対に食べたかったパンである。生地の外はカリッとハードな食感にも関わらず、中はしっとりもちもちと柔らかく、チョコの味がしっかりしていて大人気な理由がわかった。チョコパン特有の甘すぎることもなく、また、大人向けなビター感もなく、程よい甘さが朝から食べるチョコパンとしてぴったりだった。そして、クロワッサン・オ・ザマンド。8月回でみんなが大好きなクロワッサンを取り上げたが、このパンはそんなクロワッサンの生地に自家製のアーモンドクリームを挟んで焼き上げているらしい。さらに、大量のアーモンドを周りにまぶさせるという最強なクロワッサンである。ポロポロとこぼれ落ちるアーモンドと、香ばしさと甘さの両方を兼ね備えた風味、サクサクっとした甘いクロワッサン生地が口の中で混ざり合う。こぼれ落ちたアーモンドすら食べたくなってしまう美味しさだ。クロワッサンのような空洞はなく、バターの甘さとアーモンドクリームの濃厚さが生地に練り込まれ、味に飽きが来ない。ホットラテともとても合う組み合わせで、私の中でまたお気に入りのパンを見つけることができた。

 

 

私にとってこの1年はパンをたくさん食べた年となった。1月、ややはじめましての西陣地域ではじめての撮影。1月の京都はすごく寒いのにはりきって朝の7時に集合してみんなでワイワイ、楽しんだ。2月、はじめての堀川商店街。堀川新文化ビルヂングは新しい場所を発見した気分になれてハッピー。3月、春の暖かな陽気の中、西陣を少しお散歩。昔ながらのお店が今なお残っている姿を見ることができてほっこり。4月、新年度スタートとともに私も引越しをし、新しい相棒の自転車をゲット。そのまま西陣へ自転車を走らせ春風を感じる。5月、船岡山に少し登って京都の街を一望、スッキリとリフレッシュ。6月、ジメジメする外に出るのはやめてプチメックの店内で初のイートイン。居心地の良さを発見する。7月、この日は結構暑かったけど夏の西陣散歩。夏の太陽に照らされた植物たちが生き生きとしていた。8月、千両ヶ辻へ。細い路地がいかにも京都!という感じで味わいがあった。9月、夜の晴明神社前でお月見パン。夜の西陣を知らないので、温かい光に照らされた住宅の数々を見て、西陣での暮らしを感じた。10月、堀川でひとやすみ。生活する人々にとっての憩いの場、癒しの場を見つけた。11月、堀川沿いの銀杏並木で秋を楽しむ。黄色に色づいた辺り一面の落ち葉をかき集めたくなった。そして12月、そんな西陣エリアにあるル・プチメックでモーニング。振り返ると、西陣という地域をパンとともにめぐり気づいたことがある。それは、西陣は人々の生活を醸し出している地域であるということだ。綺麗に整備され観光地となっているわけでもなく、付近の交通機関もバスのみ。歩くことが必然的に多くなる西陣エリア。西陣を行き交う人々もどこかゆったりと落ち着いていて時間を楽しんでいる感じが良い。そんなリアルな京都の生活の風景を楽しむことができる場所であった。今では、西陣に来るとただいまと言ってしまいたくなる居心地の良さである。そんな場所を1年間を通して見つけることができてよかったと思う。きっと今後もプチメックのパンを買いに頻繁に訪れることになるだろうが、そんな日々の生活にトキメキを与えてくれる西陣エリアの魅力はまだまだある。

さて、今日もパンを片手に西陣まち歩きをしようじゃないか。