西陣にまつわる
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西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2021.04.14
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子は親離れをしたつもりでいるけれど、親は子離れができないままらしい。大学生になって初めての夏休み、故郷の広島から二日間だけ母が来た。初日は古都を観光もせず、生活必需品を二人で探し回った。もったいないと思ったが、母はそれで満足したようだった。翌日の昼、西陣にある鳥岩楼というお店で親子丼を食べたいと言われた。僕はそのお店を知らなかったから、今となっても少し悔しい。鳥岩楼に到着後、靴を脱ぎ2階に通されると、僕が生きていない時代の匂いのする畳に置かれた座布団はほとんど他人の尻で埋まっていた。先客から順番に親子丼が配膳されていく。やがて僕と母の前にも親子丼がやって来た。丼の蓋を取り、すぐさま一口目を迎えると、爽やかな山椒の香りや卵と鶏肉の偉大な血筋に感動した。つまり、鳥岩楼の親子丼はこの上なく美味しかった。母も美味しいと言っていたから、僕の感覚が間違っているわけではないと思う。親子で鳥岩楼の料理に舌鼓した後、新幹線に乗って母は帰った。この日以来、西陣を訪れる度に鳥岩楼の親子丼を思い出す。お店を友達に紹介する際も、いつもこの日のことを口にしてしまうけれど、その理由など知らないふりをし続けるだろう。

益田雪景

ライター 益田雪景 オサノート

広島県出身。同志社大学在学中。大学ではボランティア支援室学生スタッフARCO及び新島塾2期生としても活動中。小説家は太宰治と遠野遥、映画は「劇場」と「ミッドナイト・イン・パリ」、音楽はgo!go!vanillasとB T Sが好きです。

2021.04.13
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はじめまして。山本萌加と申します。

京都西陣にて眼鏡作家の山ノ瀬氏の元に弟子入りし、現在は“Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所”というお店を師匠と共にやらせて頂いております。

私は美術大学時代に、移り変わりの激しい時代やトレンドの中で消費されていくモノやデザインに違和感を感じ、長く受け継がれているモノや作り手に興味を持っていました。そんな中、ここ西陣でひょんな事から今の師匠に出会い6年前に弟子入りをさせて頂きました。この時の事を思い返す時に必ず思う西陣ならではのエピソードがあります。それは、もし私が西陣に居なければ“弟子入り”と言う言葉は出てこなかっただろうなという事です。西陣で生活していると“修行”や“何代目”、“師弟”というワードが日常会話の中で普通に出てきます。県外から来た私にとっては新鮮さと驚きの毎日でした。ですがそんな環境があったこそ、“弟子入りさせて下さい”という言葉が自然に出てきたのだと思います。

これから「西陣の女子弟子の日々」をキーワードに連載をしていこうと思います。コラムを連載するの自体初めてで不慣れですが、どうぞ宜しくお願い致します。

山本萌加

Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所 主任研究員 山本萌加

武蔵野美術大学(工芸デザイン学科木工専攻)卒業後、眼鏡制作者七代目山ノ瀬氏に弟子入り。眼鏡制作の修行と、師と共に眼鏡ブランド〝Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所〝の主任研究員てしてお店を運営しています。

2021.04.12
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西陣の魅力を感じてから生まれたご縁
私が西陣を訪れるきっかけとなったのが妙顕寺さんの夜間拝観でした、妙顕寺さんのホームページにも有る番傘を使ったライトアップを写真で見て、観光のお客様に私、妙顕寺さん行った事ないですが 素敵なお寺だと思いますので 今回のライトアップは妙顕寺さんに行って見ませんかとお連れしました その時に見た 妙顕寺さんのまるごと美術館の作品展示 お庭に桜 全てが私にもお客様にも 新鮮でした 素晴らしいすぎる あの人の少ない空間も 観光で溢れた場所ばかりしか観光を知らなかった 私には衝撃的でした!
他のお客様や家族を連れて行っても 皆 感動してくれて 自分が綺麗と思う景色 自分の直感で感じた物に間違いは無かったと 訪れるたびに西陣の方との出会いもあり 観光タクシーへの自信がついた時でした。
色々な写真あるのですが 昼に撮影した妙顕寺さん勅使門と桜の写真がお気に入りです。
林亮

タクシー運転手 林亮

2019年にまるごと美術館を知り、夜間拝観にお客様をお連れし、その時頂いた福銭の5円玉がご縁を呼んで 西陣、上京区の 沢山の方々と繋がる事が出来ました。 日々 自分地元はもちろん 西陣、上京区を応援してます。

2021.04.11
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皆様はじめまして。そして『osanote』創刊、誠におめでとうございます。 西陣のある上京区のお隣、左京区で生まれ育ち、川を渡ってすぐの上京区の東部、主に出町界隈を生活圏にしてきました。近年は京都市内の宿泊施設で勤務する傍ら、地元の出町界隈でイベントのお手伝いをしたり、慣れ親しんだ自慢の商店街を食べ歩きしながら様々な方にその魅力を紹介したりと、地域の中で楽しく生活をしています。その中で上京区の多くの方々と知り合う機会に恵まれ、これまで近いようであまり訪れることのなかった西陣にも時折足を運ぶようになりました。 私自身、もともと地図が好きで、知り合った上京の方々と『上京ちず部』を作り、この春で4年になります。『上京ちず部』では、上京区全体を対象に地図を使った様々なイベントや街歩きを実施したり、地図を作製したりしていて、その中で私自身も西陣を知る機会が増えました。 今回は初回ですので、上京・西陣との関わりを中心とした自己紹介とさせていただきましたが、次回以降、私の視点で上京・西陣の様々なお話や活動の紹介をしていければと思います。 画像は数年前のちょうどこの時期に撮影した、大ぶりの花びらが私好みの雨宝院の桜です。

南知明

上京ちず部 副部長 南知明

鴨川近くで生まれ、幼い頃から近くの上京区の商店街の店主の方々に見守られ育つ。現在は「まいまい京都」商店街食べ歩きツアーなどのほか、地理好きを活かし、「上京ちず部」副部長など、上京区全般で活動。本業は宿泊業。京都観光おもてなしコンシェルジュ。

2021.04.10
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京都で街歩きというと、どんな場所を想像するだろう。歴史を感じられる町並みや神社仏閣、おしゃれなカフェ……。今日は、それらとはまた違う歩き方が楽しめる道を紹介したい。
ひとり・面白いものを探して・自分の興味の湧く方へ進んでいく、まるで骨董屋のような楽しみ方が出来る道。それが上立売通り(と、そこからつながる道)だ。上立売通りは南北に揺れながら、西陣を横断している。

車や人の行き交いは少なく、自転車が通れば轍の音が通りに残る。そんな場所だから、面白いと思うものにじっくり向き合うことができる。急にしゃがんだり上を見ながら歩くことだって可能だ。

赤い多肉植物、まわる空き缶風鈴、一部緑に塗られたガードレール、木の格子窓、瓦が埋められた塀、道に落ちた花かんむり。

いけず石や牛乳ボックス、信楽焼の表情に注目してみるのも面白いかもしれない。それらを買うことはできないし、写真を撮って誰かに見せたいわけでもない。しかし、心をときめかせるものがきっとそこにある。試しに今度の晴れた日に、上立売通りを歩いてみてはいかがだろうか。

西本友亜

ライター 西本友亜 オサノート

osanoteのライターを務めさせていただいております。言葉や文化・芸術にも興味がある理系大学生です。このお仕事を通じて、色んな人と出会い、その人の言葉を色んな人に伝えられることを嬉しく思っています。趣味は詩を詠む/読むことと、散歩です。

2021.04.09
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京都にきて2年が経つ。
ひょんな出会いから転職し、東京から移住。
京都といえば、東山に嵐山、河原町。……んん??西陣ってどこだ?? そういえば西陣織って聞いたことある。そういえば高校受験の時に北野天満宮行ったなぁ。
最初はこんな感じで西陣に入ってきた。

私は運がいい方だと思うんだ。
京都にいた友人に西陣の人を紹介してもらい、その人にまた紹介してもらい、その人にまた……。
そんなことを繰り返していると、いつの間にかこんなメディアを立ち上げることになりました。

なんてこった。
移住3年目の私には荷が重すぎないか……?
周りには何百年と続くお店がいっぱい、歴史を調べているとむずかしい言葉がたくさん出てくる。

なんてこった。
西陣、おもしろいぞ。
知れば知るほど奥深い。動けば動くほどすてきな人とたくさん出会える。

こりゃ、メディアがんばるっきゃない。
これからあたたかく見守ってください。

横山恵

紡ぎ手/運営 横山恵 オサノート

KéFU stay&loungeカフェ宿泊事業統括マネージャー。「オサノートを通して西陣の街を訪ねてほしい」という思いでメディアを設立。普段はKéFUの現場に立っていたり京都を走り回っています。純喫茶と歌謡曲が好き。すてきな純喫茶情報お待ちしてます。