西陣にまつわる
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西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2022.12.26
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現在、「北野寮」という建物の解体工事が進んでいる。北野天満宮の門前、御前通に面した場所に建つ、京都府警察の単身寮である。
子どもの頃から、天神さんにお参りに行くときはいつも北野寮の前を通っていた。昔はまったく気にも留めていなかったが、改めて見るとなかなか洒落ている。モダニズム建築に特徴的な水平に連続する窓の合間に、小豆色のパーツがリズム良く配置されている。各階の区切りは長押のようにも見え、カラーリングも相まって和の趣が感じられる。
この記事の執筆時点ではすでに建物のまわりに足場が組まれており、北野寮は間もなく解体されるだろう。特に文化財に指定されているわけでもなければ、マニアの間で話題になるような建築でも(おそらくは)ない。
しかし、どんな建物であれ、取り壊されると聞くととたんに名残惜しさがこみ上げてくる。それが小さい頃から目にしてきたものであればなおさらだ。この風景が失われたとき、私は何を感じるのだろうか。まったく語られてこなかったこの建物の最後の姿を、ここに留めておきたい。

重永瞬

京都大学文学部地理学専修 重永瞬

地図とまち歩きが好きな大学生。“西陣の端っこ”(お隣?)仁和学区で生まれ育つ。大学で地理学を学ぶかたわら、まち歩き団体「まいまい京都」でスタッフとガイドを務める。なんでもない街角の記憶を掘り起こしたい。古本とラーメンが好き。

2022.12.25
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先日、僕たちSOCIAL WORKERS LABが主催したライブ・セッション〈京都でローカルを考える〉を終えました。多くの方々に、応援とお力添えをいただき、おかげさまで、2日間のプログラムは両日満席。素晴らしい時間になりました。この場をお借りしてみなさまにお礼をさせてください。いつもありがとうございます。

さあて、今年もカウントダウン。2022年のはじまりと同時に、僕はSWLABのメンバーになりました。はじめての企画は、3月10日、〈日々の暮らしを、やさしく、面白くする未来会議〉。4人のゲスト、4つの先駆的な社会福祉法人、50人の学生が一堂に会する、対話と創造の場をひらきました。その後、居を移し京に暮らし、船岡山オープンパークの実践やオンライントークイベント〈「ローカル」と「生きる」〉を開催させていただくなど、とにかく京都でローカルを考えた1年になりました。いやいや、企画と自分史をうまく繋げようとしたけれど、実のところローカルってよく分からなくて、考えるというほどなにかが発酵されたわけでもありません。とにかくからだが、ばたばた、ぐるぐる、ゆらゆら、いきいきとしていたのです。京都で、生きる!感じる!ですね。

僕がすこしずつ気づきはじめたのは、時間に限りがあること、万物は流転すること、人と人は違うこと、偶然にも僕たちは居合わせていること。そんなかぎりなくあたりまえのことばかりなのでした。いつも当然を忘れないように、目を凝らし、耳を澄まし、謙虚な心で在りたいです。それさえできれば。ではでは、よいお年を!

瀬川航岸

SOCIAL WORKERS LAB コーディネーター 瀬川航岸

滋賀県東近江市出身。自然豊かな土地に育つ。立命館大学経営学部入学後は映画や絵本に没頭。川のようにゆふらゆらざざざ〜っと生きるうち、SWLABに遭遇し、メンバーに。2022年4月から京都で暮らしをはじめる。2つの社会福祉法人に勤めながら、船岡山公園を拠点に駆け出し地域コーディネーターとして奔走中。

2022.12.23
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先日声楽家の知人のコンサートで、詩人まどみちおさんの「うたをうたうとき」を知りました。からだをぬいで こころひとつになって かるがるとんでいくのですと、そんな風に透明で健やかな心でいつもありたいと思いますが、年末年始に色々詰め込んだ用事に毎日何かと気ぜわしく過ごしています。

 

しかしまた一方で思うのは、今年の漢字は「戦」でしたが、こうして私自身はいつもと変わらないお正月を迎えようとしている訳で、今困難な状況にいるであろう方々を思うと申し訳ない気持ちにもなります。来る新しい年にはこの詩にある一節のように、たどりつくうたを皆がやさしくむかえてあげる平和な時が訪れますようにと願ってやみません。

 

さて好文舍は元日から営業します。お雑煮やぜんざいなどもご用意しますので初詣のついでにお立ち寄りください。来年もどうぞよろしく、皆様良いお年をお迎えくださいませ。

宇野貴佳

好文舎店主 宇野貴佳

油小路の路地奥でギャラリー喫茶を運営しています。 目立たない店が故か、ちょっと個性的なお客様が多いように感じています。 ここでの出会いを中心に、見聞きしたあれこれをお話しできれば幸いです。

2022.12.21
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2022年秋 今年もまるごと美術館が開催されました。 お客様をお連れする中で素敵な写真が撮れました♪ 妙顕寺さんはInstagramでフォトコンテストが行われてましたので私も2枚ほどハッシュタグ付けて応募しました〜 今年は少し早い紅葉でしたが何処も綺麗でした。

林亮

タクシー運転手 林亮

2019年にまるごと美術館を知り、夜間拝観にお客様をお連れし、その時頂いた福銭の5円玉がご縁を呼んで 西陣、上京区の 沢山の方々と繋がる事が出来ました。 日々 自分地元はもちろん 西陣、上京区を応援してます。

2022.12.19
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上京区で2015年から開催されてきた地域の情報交換の場「上京朝カフェ」を、この9月から引き継いで運営しています。

月に一回、基本的には第4木曜日の朝8:15~9:30に、大宮今出川上ルの西陣CONNECT(元・大宮消防出張所)で開催していて、上京に昔から住んでいる人から学生、区外の人など幅広い人で毎回賑わっています。さまざまなイベントや取り組みの情報と、さまざまな層の人が集まるので、それぞれの興味を通して年齢や住んでいる場所を超えた新たなつながりができるきっかけとなっています。

平日の朝で仕事などの都合で参加できない方もいらっしゃるので、たまには違う時間にもやってみたい。
ということで・・・今月は夜にもやることにしました!
でもいつもの朝の時間にもやりたい。ということで・・・夜から朝までぶっ通しでやることにしました!!

上京オールナイトカフェ
12月21日(水)20:00 ~ 12月22日(木)朝 9:30ごろ @ 西陣CONNECT

facebookをされている方は、詳しくはこちらでご確認ください。
https://www.facebook.com/kamigyoasacafe/

南知明

上京ちず部 副部長 南知明

鴨川近くで生まれ、幼い頃から近くの上京区の商店街の店主の方々に見守られ育つ。現在は「まいまい京都」商店街食べ歩きツアーなどのほか、地理好きを活かし、「上京ちず部」副部長など、上京区全般で活動。本業は宿泊業。京都観光おもてなしコンシェルジュ。

2022.12.16
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こんにちは、〈みよしの〉です。

さて今回は何を書こうかな?と思案していると…

今日12/8日(木)
たまたま休みだったので、千本釈迦堂の大根炊きを頂いて来ました。
コロナで3年ぶりの授与とか。
自宅から徒歩圏内、お散歩がてら一人ブラブラと。

あ~、こんな晴天の元で誰にも邪魔されず気ままに街歩きなんて(ハート)
もうこの上ない贅沢な休日。
お昼時分とあり結構な行列だったけれど、すんなりベンチに座れて大ラッキー。
お釈迦様に愛されてるわー。
おあげの下には分厚い大根が3個も!

うー、しみる。
ヌクヌクで美味しくてご利益もあって、最高やん~。
ボケ封じの観音さまにも、よくよくお祈り。
これ以上ボケませんように。無理か。

少し遠回りして西陣病院の方へ向かうと、横道にパンチの効いた外観のお店。

わー、何か賑やか。
中に入ると、もっと賑やか。
押入れの中のオモチャを引っ張り出して来たような。
お客はどこに座ったらいいのかな、と戸惑うのも一瞬。

マニアな友達の家に来たような、妙に馴染むこの感じ。
本も色々積んであり「へんな判決」をヘラヘラ読みながらパングラタンのランチ、これもイケる。

いいね、いい一日やった。
おやすみなさい、良い夢を。

みよしの

みよしの

よもや、よもやの50代。 "西陣''の軒下にて30余年、ひっそりと暮らす地方出身者。 15万円入りの封筒を2度も!落とす令和のうっかり八兵衛。

2022.12.14
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どうも森賀です。西陣あたりでお家を探しています。
というのも、ちょうど先月に一泊二日で東京へ行きました。これが初めて1人で行く東京。京都でお世話になった先輩や地元の友人に会うことが目的でした。知っているのは東京の地名のみでどこに何があるのかも分からず、交通手段も何があるのかさっぱりなまま。それでも将来の進路を選んでいく上で一度は住んでみたいとは思っていたので、初めての東京にわくわくしていました。
朝6時くらい着の夜行バスから降りてすぐの新宿駅には電車に乗る人たちが溢れかえっていて。電車の中はぎゅうぎゅうで。駅からはみんなが同じ通路から出て、それぞれが向かうべき方向に競うように早歩きで向かっていて。
「あぁ、これが東京なんだなぁ」なんて感じた反面、僕は東京には住めないなと感じてしまいました。
西陣や京都で過ごす中で「自転車でふらふらと巡っていたい。」とか。「11時くらいに鴨川へ行って日向ぼっこしていたい」とかが当たり前になって、東京は住む場所じゃないのかもと感じていました。
できることなら京都で、西陣で暮らしていたいなぁって思っています。
いい物件ありませんか?
*賃貸物件探してます。

森賀優太

京都産業大学 学生 森賀優太

京都産業大学在学中。ある日を境に西陣に迷い込み、いつの間にか居着いた大学生。人との関わりを通して、伝統的な文化や歴史と新しい暮らしのある西陣に惚れる。そろそろ西陣に住むことを画策している様子。

2022.12.09
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町家物件の改修や活用にかかわる仕事をしていると、「町家物件ってどうやって見つけてるんでしょうか?」という質問を頂くことが多いので、私がよくチェックするサイトをお教えします。

① アットホーム
https://www.athome.co.jp/
掲載料が無料(らしい)ので、地場の小さな不動産屋さんが気軽に物件を掲載できるので、掘り出し物がたまに出る。

② 八清
https://www.hachise.jp/buy/
「町家」という不動産を商品にした最初の不動産屋さん。最近は町家だけではなくシェアハウスやマンスリー賃貸など、さまざまな領域で事業展開している。

③ いえ屋
http://iyeya.jp/
町家専門店。売買メインだったが、最近は賃貸にも力を入れている。

④ エステイト信
http://www.xn--1lqt13a41t.jp/
町家の賃貸物件が豊富。

ご参考までに(^^)b

赤澤 林太郎

都市企画家 赤澤 林太郎

町家を中心に、既存物件の活用を提案しています。

2022.12.05
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理解できぬ符号それらの偶然の一致。
奇跡を見逃すことが多くなったのかもしれない。荷物の配達をお願いすれば大抵は到着日に届くし、道案内のアプリケーションを使えば目的地への最短距離、最速時間でルートが明示される。こうやって計画的に目標を達成しスマートに人生を生きることができる。

現在、僕は西陣のゲストハウス/カフェで働いていて、多くの人が滞在していく。今、目の前でお茶しているご婦人方を見て、人と人とのおしゃべりはスマートさとは全く違った性質を持つと思う。
一つの話題を何度もループする。話していた内容が突然別の話題へと導かれ、もうその時点では何を話していたのかは分からなくなっていく。
予測不可能なやり取りの中で、時折顔をパッと明るくして驚きの声をあげる。あー、そうやったんかぁ。と頷く。それは話題同士の偶然の一致、これまで生きてきた何十年もの人生で不可解だった物事の糸が解かれる瞬間のように思えた。おしゃべりはいろんな時間を遡って、また未来へと渡って繰り広げられている。
毎回、昼下がりに大海へと漕ぎ出したご婦人方の船は夕方ごろに陸へとあがって解散する。(その解散の合図は毎回見逃しているためはっきりとはしないが、何か落ち着きどころがあるはずだ。)
僕は注文されたコーヒーをテーブルへ持っていく時に少しだけ会話の渦中へと誘い込まれる。そしてあっ!という瞬間に立ち会うことがある。それはどうでもいい時間、どこにでもあるような時間だが、その瞬間確かに僕とご婦人たちは大海の中で偶然出会っている。そしてそれはとても幸せなことだと思う。

 

黒田健太

紡ぎ手/綴り手 黒田健太 オサノート

初めまして、 西陣に住んでいる黒田健太です。 夜のがらんとした千本通を歩くのが好きで、たまに夜中に出かけます。生活をしていると忘れてしまうのですが、そんなささやかな時間にときどき立ち寄りたいと思っています。

2022.12.03
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紅葉の季節に雨が降って、冬の景色に一歩近付くと、ほんの少しだけ切なくなる。雨後はそもそも寒くなるし、夜は生活の熱気が冷めるし、冬って感じのそっけない風が吹く。サンダルで外に出ようものなら、悲鳴がくるぶしに集結して、無音で「さ」と「む」を口にする。近くに誰もいなければ「さ」と「む」に音が付与される。
まだ紅葉が盛んだったときに、最寄りの公園を歩いていると、葉っぱが赤すぎて怖いと思った。毒々しいとも思った。こんな感覚になるのは初めてだったけど、もしかしたらこんな感覚になってもおかしくはないのかもしれないとも思った。先祖がまだ狩猟生活をしていた時代はきっと冬が怖くて、その怖さは越冬できるかどうか分からない不安から来るもので、秋の訪れを告げる赤い葉っぱの群れはその不安に拍車をかける存在だと考えたからだった。冬に対する恐怖がDNAに刻まれているに違いないと考えたからだった。でも先祖が紅葉によって不安に苛まれていたかどうかはわからない。本当は現代と同じように紅葉狩りをしていたかもしれない。実際陽光を浴びた紅葉を、その裏側から見ているときは心地良い。

益田雪景

ライター 益田雪景 オサノート

広島県出身。同志社大学在学中。大学ではボランティア支援室学生スタッフARCO及び新島塾2期生としても活動中。小説家は太宰治と遠野遥、映画は「劇場」と「ミッドナイト・イン・パリ」、音楽はgo!go!vanillasとB T Sが好きです。