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曽我高明

ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター曽我高明

東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。

2023.02.03
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アニュアルギャラリーが今年の2月末まで、堀川団地において開催している〈Horikawa Exchanges〉。会期中のイベントに「スナック現美」という出張企画で、ちょっとだけお手伝いをしています。
「スナック現美」は、顔馴染みが夜な夜な集うゆるいスナックみたいな感覚で、アーティストをホスト役に、気軽にお話のできる場を作ろうと、現代美術製作所が京都に移ってから始めた企画です。せっかくスナックを名乗るなら、まずは形から・・・というわけで、写真の左下に写っている看板も作りました。LEDが仕込んであって、表と裏で違う色になっています。
実はこの「スナック現美」、1月末まで茨城の水戸芸術館で個展を開催していた中崎透さんが、ずうっと以前、現代美術製作所にちなんで、ゆるい看板作品を制作した際、彼の思いついた名称でした。「スナックあけみ」みたいに、お店に人の名前がついているのと同じ感覚ですね。ちなみにその作品は今の看板とは別のものです。
つい先日、東京に行く用事のついでに水戸まで足を延ばし、会期末の会場で中崎さんと久しぶりに再会。いつか京都で「スナック現美」をやりましょうとお誘いしてきました。実現したら、きっと楽しい企画になると思います。

2022.11.21
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小さな路地に沿った木造長屋の一角。中に入れば、剥き出しの木造の柱や梁、織物の作業場だった頃の面影を残す二階から飛び出した手摺などが目をひきます。おまけに奥の壁には天井まで届く後付けの本棚も。ギャラリーと聞いて、真っ白な壁に囲まれた空間を思い浮かべる人にとって、現代美術製作所はかなり変わった所に感じることでしょう。
しかし、いわゆるギャラリーとは違う、個性的な空間に表現意欲を掻き立てられるアーティストもいます。11月20日まで個展を開催していたエリザベス・シールストロムさんもその一人。世界各地の民芸がモダニズムに与えた影響をテーマに作品を制作しています。コロナウィルスの流行を挟み、3年越しで実現した今回の個展《皮膚に触れる》では、自らの手織りの布を用いた作品を展示。作品の点数を絞り込み、それぞれの作品を繊細に配置し関係づけることで、古い建物の持ち味を活かしながら、モダニズムに通じる純度の高い空間を作り上げてくれました。
ちょうど「西陣555」とも会期が重なり、先日は西陣織の工房見学の街歩きにも参加。そういう機会が提供できたのも嬉しい限りです。

2022.09.10
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この夏から東京の向島で、新しいプロジェクトがスタート。ぼくは京都からの参加なので、メンバーとはオンラインで意見交換を続けながら、いろいろ書類作業を手伝ったりしているうち、夏の後半はあっという間に過ぎてしまいました。

 

そちらはまたご紹介するとして、先日その用で東京に出かけた際、履き物をテーマに活動する佐藤いちろうさんが、世田谷の生活工房で個展「シュー・ウィンドウ/靴を紐解く展覧会」を開催中でしたので、お邪魔してきました。お店のような空間に並ぶカラフルな靴の数々。実はすべてこれ、ガムテープでこしらえた靴なのです。会場では、参加者が素材を選んでオリジナルのスニーカーを作るワークショップの真っ最中。ちなみに佐藤さんには、2018年、現代美術製作所の企画で、今出川のバザール・カフェの庭をお借りして、同じワークショップを行なっていただいたことがあります。その時も、たくさんのご家族連れに参加いただいて大好評でした。相変わらず底抜けに明るい佐藤さん。お話ししてるだけで、こちらまで元気になります。今回の楽しい展覧会を見て、ぜひまた京都にお招きしたいと思いました。

2022.07.04
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理事を務めるNPOの総会のため、コロナ禍以降、2年半ぶりに戻った東京で、締切間際にコラムを書いてます。久々に顔を合わせた友人に「京都は暑いでしょ?」なんて言われましたが、いやいやいや、梅雨明けした直後、連日35度を超える猛暑の続く東京だって、半端なく暑いですから・・・。

 

ところで、今回の東京滞在で面白かったのは、いつの間にか、自分が京都のまちの距離感で東京を眺めているのに気がついたことでしょうか。たとえば、品川駅から西五反田までタクシーで千円ちょっと・・・これは、今出川から四条烏丸まで行くのと同じ金額だなー、とか。あるいは昨夜、少し暑さが緩んだので、有楽町から淡路町のビジネスホテルまで、丸の内のオフィス街を抜けて歩いてみて、今出川から北野天満宮まで歩くより、もう少し近い感じかな?、とか・・・。

 

さてこの写真は、西陣ではなくて恐縮ですけれど、東京・墨田区の向島、鳩の街通り商店街です。向島は東京の中でも、京都・西陣界隈と、体感的なスケールが一番近いまちかもしれないなと、今回歩いて、改めて感じました。さあ、明日は暑い京都に戻ります。

2022.04.19
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現代美術製作所では、4月の末から久しぶりの展覧会を開きます。今回個展を行なっていただく鈴木貴博さんは、「生きろ」というシンプルなメッセージを、写経のように書き続けるプロジェクトで知られているアーティスト。この写真は製作所のFacebookでも紹介しましたが、1999年、鈴木さんが西陣でパフォーマンスを行った時の様子で、広々とした会場の床を埋め尽くす「生きろ」のメッセージが壮観です。その当時「西陣北座」と呼ばれていたこの建物は、今でも大黒町に健在で、現在はロボットメーカーの(株)テムザックの入っている場所と聞けば、ピンとくる方も多いことでしょう。今回の個展「日曜絵画」では、2011年以降に描き続けている絵画作品から、30点ほどを選んで展示します。「生きろ」みたいな活動をするアーティストのことですから、描く絵もなかなか一筋縄ではいかない、ユニークな表現に溢れています。「密」になりそうな会期中のイベントは控える代わり、チラシのバリエーションを増やしたり、作品を元にした缶バッジを作ったりなど、他の面で少しだけ遊び心を加えつつ準備に勤しんでいます。

2022.03.19
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季節の境目って、どこなのでしょう。暖かくなったり寒くなったりを繰り返しながら、次第に春の近づいてくるのを感じます。遠くの空がぼうっと霞んで見えたのは、たぶん黄砂ですね。昨夜(13日夜)は雷雨があって、湿り気を帯びた柔らかい風が吹いていました。長いこと冬眠していた現代美術製作所でも、展覧会の話がいくつか進んでいます。個展やグループ展は、ふつうは明確に会期が決まっていて、アーティストはそこに向けて作品を準備し展示を行います。アーティストにとっては、会期の初日が作品制作のゴールであり、展覧会を開くぼくらにとっては、そこがスタート地点になるわけです。でも最近、二人の別々のアーティストとオンラインで打ち合わせをしていて、そのかっちりとした会期や制作・発表のタイムラインが、なんだか今の時代に合っていない気がするね、という話になりました。あらかじめ決めた予定が変わってしまうことの多いコロナ禍の時期を経て、そんな共通の感覚が芽生えてきたようです。季節がゆるやかに変化するみたいに、始まりと終わりの時期を少しぼやかして、会期中もいろいろと小さな動きがあるような展覧会の形を、いま考えているところです。

2022.02.15
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突然ですが、ぼくは2月で大殺界を抜けるそうです。たしかに昨年は病気もしたし、この2年ほどあまりパッとしたこともなかった。まあそれを言うなら、コロナウィルスのせいで、世の中全体がいまだに大殺界みたいなものですけどね。占いはあまり信じなくても、この先良いことがありそうだと言われると嫌な気はしません。そういえば最近、「占い師」じゃなくて『陰陽師』っていう、岡野玲子さんの長編漫画(原作:夢枕獏)を初めて読みました。クールな主人公の安倍晴明と管弦の名手で超天然な源博雅が、ホームズとワトソンみたいにコンビを組み、霊的な難事件を解決していくところから始まり、後半に入ると、どんどんお話がスケールアップしていって面白い。その第8巻の解説で、作者の岡野さんが、安倍晴明のお屋敷のあったという場所に触れていまして、すぐご近所なので、さっそく散歩がてら訪ねてみました。京都ブライトンホテル。ブライトンは「輝かしい村」っていう意味があるらしく、なんだか時代を超え「晴明」と不思議な暗合を感じさせます。ただいま絶賛修繕中。もう少ししたら、パッと明るい外観に蘇るのでしょう。世の中の方も、ぜひそうなって欲しいものです。

2022.01.13
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とっくの昔に松の内は過ぎ、すっかり遅めのご挨拶で恐縮ですが、みなさま、新年明けましておめでとうございます。元旦の朝、起き抜けに窓から眺めると、大晦日に降った雪が、隣家の屋根をうっすらと雪化粧していたのが新鮮でした。ぼくが運営する現代美術製作所は、東京の墨田区で1997年に活動を始めて、今年で25年目、NPO ANEWAL Galleryの協力を得て西陣に拠点を移してからは、5年目となりました。数百年も続いてる京都の老舗と比べたら、昨日や今日に出来たようなものですけれど、オルタナティヴ・スペースの場合、3年続けば老舗だなんて冗談もあるくらいなので、よく続いてる方かもしれません。アートが好きっていうのもありますが、まあ、たぶん諦めが悪いんでしょうねえ、性格的に。もっとも、この2年間は、コロナを警戒して自主的にお休みをいただいた関係で、西陣での実質的な活動期間は、まだまだ僅かに過ぎません。なにか節目のイベントを考えてみたいですが、どうなるやら。ともあれ、活動のあるなしに関わらず、元日の朝に見た初雪のように、まっさらな初心を忘れないよう心がけつつ、新たな年を過ごしたいと思います。

2021.12.06
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おかげさまで、今年はコラムを書かせていただくようになって、季節の移り変わりや街の表情の変化に、以前より少しだけ敏感になれたように思います。ネタ探しの効用でしょうか。さて、写真は毎年秋になると堀川通りを明るい黄色で染める銀杏並木。先月末、たまたま渡った横断歩道からの入り口を見つけたので、初めて間近で眺めて来ました。中央分離帯の並木道なので、両側の車道によって周囲の街から切り離され、ちょっと異空間を歩いているような不思議な感覚でした。そこから少し下ったところには、つい先頃「堀川新文化ビルヂング」がオープン。書店とカフェとギャラリーを併設したオシャレな複合文化施設で、西陣散歩の途中、気軽に立ち寄れるのが良いですね。そうそう、身近なところでは、我が現代美術製作所のある路地の入り口にも、10月末「le murmure」という美味しいスイーツのお店ができました。製作所の活動再開に向け、甘党の自分には大いに励みになってます。スイーツとギャラリーのある「複合文化路地」なんてのは、いかがでしょう。なにはともあれ、再びコロナが猛威を振るわないよう祈る年末です。

2021.11.06
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コロナではないけれど、9月に人生初めての入院生活を経験しまして、3週間あまり病院で過ごしました。腕に点滴の針を刺し、リンゲルや抗生剤をぶら下げたハンガーを引きずって歩く不自由な毎日。一刻も早くこんな「ヒモつき」生活から解放され、また元気に京都の街を散歩したいと、そればっかり考えてました。10月末で退院から1ヶ月。体力も徐々に戻り、散歩の距離も以前と同じにまで回復、ようやくコラムのネタ探しも再開できるようになってホッとしています。いやはや健康あってのネタ探し。そんなわけで今回は、ちょうど京都市京セラ美術館で開催中の「モダン建築の京都」展に行ってきました。近代建築ファンには見逃せない、京都に残る有名な建物をほぼ網羅した、内容の濃い展覧会です。西陣エリアからは、以前も触れた「京都中央電話局西陣分局舎」(現・西陣産業創造会館)のほか、時々買い物や食事で利用する「堀川団地」が、貴重な資料や実物大の室内写真で紹介されていました。戦後の復興期、商店街再生を兼ねて建設されたRC造の都市型集合住宅。今も素敵な建物ですが、当時の人々の目には、さぞ輝いて映ったことでしょう。(会期は12月26日まで)