西陣にまつわる
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10/12

西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2022.09.19
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台風の影響なのだろう、雲が空を走っている。
なんとなく気になって戸締りを確認するために、版画制作をしている工房に自転車を走らせた。

右京区の、商店街の中にある本屋を改装した版画工房。20年も前の最初の頃から参加していて僕の座っていた席はその頃からのインクの汚れで机が真っ黒になっている。

先週の作業で出たゴミを出してまた席に着く。入口横の席で商店街の朝のやり取りを聞きながら版に線を刻む。
この工房も今年いっぱいで閉めてしまうらしい。

道具を研いで、近くにあった銅板にドライポイントで線を刻んだら反転して左利きになってしまった。

一月後、久しぶりに版画の展示をする。
西陣にあるイワシコーヒーの店舗内で。
それでこの席にまた着いたのだ。

展示までの一月でこの机をあとどれくらい黒くできるか、そんな事を毎日考えながら版画を作っている。

展示のお知らせ

西陣 イワシコーヒー

景井雅樹 銅版画展
10月13日(木曜日)より〜一月ほど。

景井雅樹

版画家 景井雅樹

京都の版画工房で銅版画を始める。 2006年頃より、毎日の出来事をノートに青いボールペンで描く絵日記形式の作品を作り始める。 一日1ページで現在4000ページほど。まだ毎日描いている。 コーヒーと自転車と音楽の愛好家。

2022.09.17
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何を隠そう私はタイ生まれのタイ育ち(9歳まで)でございます。
ということでしっかり今年の夏はタイに行って参りました。やっぱりタイはいいね!ということなのですが、程よいローカル感、ほど良い観光感を味わえたのがよかったかなと。
何もなさすぎたら面白くないけど過度な観光地化は何か違う、そう思う旅行客は多いのでないでしょうか。京都に置き換えたときにまさにそんな絶妙なバランスが取れていそうなのが西陣じゃないのかなとバンコクで大好きなタイ料理を食べながら考えておりました。
観光中心地にはない入り組んだ路地も多く個人店も多い、かと言って全く観光地がないわけではない。私はバックパックを担いで京都を訪れる観光客なら西陣らへん最高やんってなりそうだなと大好きなタイ料理を食べたいなと思いながらコラムを書いています。

森 風渡

風とCOFFEEオーナー 森 風渡

2020年10月に"風とCOFFEE"を西陣京極にオープン。コーヒー屋には不向きとされる入り組んだ路地奥にて自家焙煎を行う傍ら、京都で1番ディープな路地(自称)である西陣京極に新たな風を吹かせるべく奮闘中。

2022.09.14
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【虫聴きの会】2022年9月11日は十六夜。秋はもうそこにまで来ていました。

京都市上京区の真ん中にある京都御苑。御所を中心にした公園で、明治の遷都により荒廃した公家達の屋敷跡を整備して出来ました。上京区は真ん中に御苑が鎮座するために、東西に大きく分断?された形となっていて、ここを横断するには相当な覚悟が要ります。

今宵、月の光が射す御苑で”虫聴きの会”が催されました。苑内には23種の虫たちの声が専門家の耳により確認されたとか。西洋では虫の音は単なる雑音のように認識されていると聞いたことがありますが、日本は古来からさまざまな虫の声を愛しむ独自の文化があります。

京都の夜はぜひ御苑を訪れてください。苑内のベンチに寝そべりながら望む空は、広くて宇宙に漂うような浮遊感。きっとそこには平安の古人と同じ月を眺める自分が居るはずです。

山ノ瀬亮胤

眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長 山ノ瀬亮胤

京都市上京区在住。眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長。芸術~工芸に拡がる独自分野の構築で国内外より評価され欧州ハプスブルグ家御用達。マスメディアでの出演・取材多数。豊かな江戸庶民文化と職人の心を紹介している。

2022.09.10
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この夏から東京の向島で、新しいプロジェクトがスタート。ぼくは京都からの参加なので、メンバーとはオンラインで意見交換を続けながら、いろいろ書類作業を手伝ったりしているうち、夏の後半はあっという間に過ぎてしまいました。

 

そちらはまたご紹介するとして、先日その用で東京に出かけた際、履き物をテーマに活動する佐藤いちろうさんが、世田谷の生活工房で個展「シュー・ウィンドウ/靴を紐解く展覧会」を開催中でしたので、お邪魔してきました。お店のような空間に並ぶカラフルな靴の数々。実はすべてこれ、ガムテープでこしらえた靴なのです。会場では、参加者が素材を選んでオリジナルのスニーカーを作るワークショップの真っ最中。ちなみに佐藤さんには、2018年、現代美術製作所の企画で、今出川のバザール・カフェの庭をお借りして、同じワークショップを行なっていただいたことがあります。その時も、たくさんのご家族連れに参加いただいて大好評でした。相変わらず底抜けに明るい佐藤さん。お話ししてるだけで、こちらまで元気になります。今回の楽しい展覧会を見て、ぜひまた京都にお招きしたいと思いました。

曽我高明

ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター 曽我高明

東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。

2022.09.05
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九月に入り、京都を離れてから半年が経ちました。私は普段、自宅で仕事をしているため、お休みの日に京都の宿泊施設に泊まることが、気分転換であり楽しみになっています。

西陣では、KéFU、ゲストハウス糸屋、プチホテル京都(写真) に宿泊しました。
KéFUでは朝ごはんに、美味しいハムエッグトーストを食べました。お昼時ならナポリタンがオススメです。
ゲストハウス糸屋は、部屋の畳の匂いやお風呂のつくりが実家に似ていて、なんとも言えない安心感の中でよく眠れました。見送りの際には、ご主人が深々とおじぎをして送り出してくださり、心があたたまりました。

プチホテル京都は、一階のロビーにあるドリンクコーナーとフカフカのソファで過ごす時間がお気に入りです。実は、初めて泊まったのは高校生の頃で、大学受験時にお世話になりました。その時は、後に自分が西陣に住み、大学卒業後もずっと西陣に思いを馳せることになるなんて想像もしていませんでした!そう考えると、高校、大学、就職…と色んな出来事を経験していくのと同時に、西陣での思い出も増えていることに気づき、なんだか嬉しくなってきました。

依藤菜々子

紡ぎ手 依藤菜々子

同志社大学卒業。 2020年、同志社大学が発行する今出川地域のフリーペーパー「イマ*イチ」の制作を通じ、西陣ならではの凝縮された魅力を知る。 好きなもの:アニメ/クラシック音楽/ミッフィー

2022.09.03
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今日、9月3日は誕生日なんです。また一つ歳をとりました。高齢の母の介護をしながら自分も高齢者になっていく…なんともいえない気分です。

6月のある日、京都市交通局のホームページで「チンチン電車」のプラモデルが限定発売されるということを知り「これは買わねば!」というわけで購入しました。
数日後、品物が到着し段ボール箱を開けてびっくり!「小さ!細か!」でした。鉄道模型に詳しい方なら分かっていただけると思いますが、もともと小さな電車の150分の1ですからモデルは5cmちょいの大きさ!?です。とにかく拡大鏡やピンセットを駆使して組み上げようと思います。風景も作って完成イメージは「西陣の街並みを駆ける!」ですw。できるかな?もちろん完成したらここで発表できたらいいなぁ…

プラモデルは〝また一つ歳をとった〟私のような者には細かくてハードルの高いホビーではありますが、指先や頭を使うことで推奨されている方もおられるようです。コロナ禍でドールハウスなども注目され、模型店に女性の姿も見かけるようになりました。うまく作れても、失敗してもそれなりに完成の充実感を味わえます。ぼくもおススメします(笑)

岡田健

光都紙工有限会社 代表兼デザイナー 岡田健

西陣の南東?の牛乳屋の息子として生まれ育って五十数年、今は極小印刷会社の代表取締役兼デザイナーです。ウクレレとコーヒーが好きです。

2022.08.31
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8月といえば地蔵盆。今年は町内の役員でもあったので初めて準備段階からの参加でした。
町内の先輩たちに教わりながら、まずはお掃除から。雑巾を絞ってお社を拭いて・・・までは想定通り。
ただ、その後出てきた、たらいとタワシ。
何に使うのかな?と思ったら、お地蔵様をおもむろに横の公園に移動し、なんとタワシで直接洗う!!
普段はガラス扉が閉まったお社の中に居られるのですが、一年でやはり塵埃が溜まるよう。夏の日差しのもと、水道直下で滝行のごとく洗われていくお地蔵様方。洗い終わってみると見目以上にとてもさっぱりしたような感じがしました。
乾くのを待ちながら、続いてお社の飾り付け。古い写真資料を見ながらこうかな、どうかな、と一同でわいわい相談しながらおまつりの準備を完成。飾り付けながら、町内の思い出話を伺ったり、お地蔵様の逸話を教えていただいたり。
地域の大切な行事に関わらせていただけることは学ぶことも多く有り難いです。
来年も再来年も、これから先もずっと、大切に受け継がれていくおまつりなのだなと、準備から関わらせていただいたことで一層実感を深めた夏の日でした。

松波さゆり

和裁士 松波さゆり

岡山県出身。布好きが高じて京都で学び暮らし始めて早18年目。プロの和裁士としてテレビドラマの衣装をはじめ様々な仕立てを手掛ける。現在は市民運営の寺院 ”寳幢寺”のスタッフとして日々を過ごしながら、社会や地域に貢献できることを模索しています。

2022.08.27
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多拠点生活サービス「ADDress」のまっさんこと高本です。
このところのお仕事。岡山総社、佐渡、今治、藤枝、山形、八幡平と相変わらず多拠点でドタバタと動いていて京都になかなか帰れていない今日この頃なのです。

今月末に帰れたらいいなと思いつつ、帰ったら西陣で食べたいものを考えてみた。西陣鳥岩楼の親子丼や、ベジサラ舎の野菜定食、KéFUのあずきバタートーストやらがどんどん浮かんできて愉しいもののなんかが足りない?!なんだろうと考えていたら、学生時代に堀川上長町から通っていた同志社大学今出川キャンパス学食のこのメニューが本丸だった。ささみチーズフライ定食。略してささチー!これこそが僕にとっての西陣ソウルフード。

熱いサクサク衣にしっとりとしたササミ、そしてそこからいい感じにトローリと出てくるチーズ。そこにタルタルソースが絡んで絶妙な味わいを奏でてくれるのだ。これが確か一皿250円くらいだったのは驚きでもあった。今は少々値上げしているかもしれないけれど、コスパ最強メニューと言っても過言ではないだろう。いったい誰がこんな素敵なメニューを考えたのだろう。田辺キャンパスでも今出川でもおそらく楽しめる至高のB級グルメ。京都〜西陣に戻ったらまた食べに行こう。VIVA! ささチー万歳。

高本昌宏

多拠点プランナー / ADDress 事業企画 高本昌宏

学生時代に伏見と西陣に住んだことがきっかけで、京都では決してメインストリームではないかもしれないこの二地域に惹かれる。多拠点居住サービス立ち上げをしながら、2020年伏見移住。西陣にも同年から通い始め、魅力再発見中。

2022.08.24
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「健康管理も仕事のうち」という事を昔の職場で言われたことから、食生活に気をつけるため、ANEWAL Galleryでは賄いご飯を磯村が作っています。
京野菜の一種である「万願寺とうがらし」は、夏になると賄いご飯のメニューに加わり、出てくる頻度が増えます。
ちりめんじゃこと一緒に煮込んで食べたりしますが、私がよく作る手軽に食べる方法を紹介!簡単です。まず、洗って中の種を取り、短冊状に切ります。アルミホイールの上に乗せて、オーブントースター180w5分〜10分焼きます。肉厚な万願寺とうがらしもあるので、皮が少し焦げるぐらいがベスト。焼けたらお皿に乗せて、かつお節と出汁醤油をかけて完成です。万願寺とうがらしの苦味とかつお節と出汁醤油の旨味とで、素材の味が活かされてとても美味しいのでオススメです。季節外れの時は、ピーマンで代用したりします。
料理好きなの?と聞かれたりすることがありますが、料理することは私の本職である「デザイン」することと似ているような感覚なので、好きなのか嫌いなのかあまり考えたことが無いですが、「これ美味しいね」「この素材は何?」という話から世間話や仕事の話を交えつつご飯を食べる事が楽しいので、料理を続けることが出来るのかもしれません。

磯村明見

特定非営利活動法人ANEWAL Gallery デザイナー/マネージャー 磯村明見

京都市出身のグラフィックデザイナー。日本の老舗印刷会社と上海の広告代理店を経て本帰国後フリーに転身。NPO ANEWAL Galleryデザイナー兼マネージャー担当。京都建築専門学校広報担当。京都芸術デザイン専門学校非常勤講師。

2022.08.22
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西陣京極内にある銭湯「京極湯」さんが8/28で閉店されることになりました。
75年もの長い歴史に幕を閉じます。

実は、京極湯にはある思い出があります。お店をオープンして数ヶ月経ったある日。その日は朝から厳しい寒さと激しい雨で、お客さんが一人も来ないのではないかと思うような日でした。

そんな中、夕方頃にやってきた大学生の子と銭湯の話で盛り上がり、「ぜひ行ってみてください!」とおススメされたのが京極湯でした。

翌日早速行ってみましたが、レトロな雰囲気と井戸水を薪で沸かす柔らかい湯が最高!
身体の芯からポカポカになりました。

そして、もう一つの魅力が番台さんの温かさ。西陣京極の歴史や、薪で焚く作業のことなど沢山のお話を聞かせていただきました。お話に花を咲かせながら缶ビールを飲めば心もポカポカに。

週末限定で湯船にアヒルが浮かんでいたり、沸かすときの薪を用いたご主人手作りの木札キーホルダーを販売されていたりとユニークな取り組みもされていました。

閉店は寂しい限りですが、こんな思い出が積み重ねられていく。オサノートがそんな場であれば良いなぁと思います。

三輪浩朔

Laughterロースター 三輪浩朔

2020年10月「Laughter」を開業。21歳までコーヒーを飲んだことがなかったが、タイ北部の農園に直接足を運んだことでその魅力にほれ込む。コーヒーを通じて生産者の思いやストーリーも届け、一杯から笑顔溢れる空間を紡ぐことを目指している。