西陣にまつわる
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10/12

西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2022.10.17
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いま好文舍では木の器の展示会をしていますが、器の他に少しですが鹿のフンの着火剤も販売しています。

作家の工房がある能勢では、畑を荒らす鹿が罠に掛かると、全て食用にするわけにもいかず処分されるそうです。着火剤はそんな里山の暮らしの、自然豊かな良い面だけでなく抱える問題も知ってもらおうと考えて作ったとのこと。

自分の暮らす地域の問題を指摘して伝える事は少し勇気のいる事のように感じますが、しかし自分なりの表現方法でありのままを提示することでこそ、日常と危機感が結び付くのではないかと思います。

京都も様々な問題が山積していますが、私たちの毎日の日常がとりあえず自転していれば安心と無感覚でいるのではなく、おかしな事にはおかしいと、うるさい大人にならねばと思っています。

宇野貴佳

好文舎店主 宇野貴佳

油小路の路地奥でギャラリー喫茶を運営しています。 目立たない店が故か、ちょっと個性的なお客様が多いように感じています。 ここでの出会いを中心に、見聞きしたあれこれをお話しできれば幸いです。

2022.10.15
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春、秋のシーズン ご乗車になったお客様から良くいただくお言葉『おすすめスポットはありますか?』
この言葉をいただくとチャンスです
西陣にお客様をお連れ出来るからです。
こんな書き出しでコラムを書き始めましたが
今回は知る人ぞ知る インスタ映え(Instagramに使われる)スポットをお教えしたいと思います。
そう 皆様がよく知る京都タワーです。
私はよく修学旅行と京都タワーや京都駅で食事やお土産を買ったりするのですがそんな中、私の18番的な場所です。
京都駅から左側の写真の様な京都タワーは撮影出来ます!
歩いていると見逃す場所なんで 京都タワー展望台から場所のヒントとなる写真を撮影しました(右の写真)ので探してみてください。
京都の出入口、京都駅でInstagram映えの写真撮影を皆様もチャレンジしてみて下さい

林亮

タクシー運転手 林亮

2019年にまるごと美術館を知り、夜間拝観にお客様をお連れし、その時頂いた福銭の5円玉がご縁を呼んで 西陣、上京区の 沢山の方々と繋がる事が出来ました。 日々 自分地元はもちろん 西陣、上京区を応援してます。

2022.10.12
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今回のコラムは福岡県北九州市で執筆しています。ちょうどこのタイミングでこの地へ来る機会があり、小倉駅で「地図の博物館」という大きな広告を見つけて、上京ちず部副部長としては、「なんだこれは!行かねば!」ということで行ってまいりました。
訪れたのは北九州市に本社がある、住宅地図で有名な会社ゼンリンが手掛ける「ゼンリンミュージアム」。
大航海時代からヨーロッパで描かれた日本地図、江戸時代以降に伊能忠敬をはじめ国内で描かれた日本地図に、吉田初三郎の鳥瞰図や、江戸時代の観光名所地図。床にも巨大な日本の古地図が描かれているなど、地図マニアにはたまらない古地図の世界。
同じ建物内には、白地図に色を塗ったり、切り絵にして世界に一つだけの地図を作れる地図の工房や、地図柄のいろんな雑貨などを販売しているショップもあって、本当に充実した施設です。
スタッフの方とも地図の話が弾み、あらためて地図の奥深さや面白さ、汎用性を実感しました。
皆さんもあらためて地図を手に取りながら西陣のまちを歩いてみませんか?普段気付かなかった新たな発見があるかもしれませんよ。

南知明

上京ちず部 副部長 南知明

鴨川近くで生まれ、幼い頃から近くの上京区の商店街の店主の方々に見守られ育つ。現在は「まいまい京都」商店街食べ歩きツアーなどのほか、地理好きを活かし、「上京ちず部」副部長など、上京区全般で活動。本業は宿泊業。京都観光おもてなしコンシェルジュ。

2022.10.10
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こんにちは、〈みよしの〉です。
今回は10月10日(スポーツの日)担当。

は~、こう来たか。

と言うのも、幼少時から大の運動音痴。
運動会前夜はてるてる坊主を逆さに吊るし、密かに雨乞い。

中でも小1の運動会。
あの頃はまだ、お昼のお弁当は家族と一緒だったっけ。
私も午前の「かけっこ」を終え、4人中3番。
良かった、ビリじゃなかったー、と待ち合わせ場所の校舎裏のうさぎ小屋へ。

あ、いたいた~、3歳の弟が父親とうさぎさん見てる。
急いで駆け寄ると開口一番
「お姉ちゃまぁ、お母ちゃまが怒ってたよ~」

オカアチャマガ
オコッテタヨ、オコッテタヨ、オコッテタヨ……(リフレイン)

無邪気な顔で秘孔をひと突き。
辺りを見回すと、私達を待つ母親の両の目からは怒りの波動がビンビンと→→

あ、終わった。

何であがいに遅いんね!
ヘラヘラ笑うて、もっと真剣に走らにゃ!
誰に似たんかね、不思議でしょうがないわ!

これでも真剣よー。
元々ヘラヘラ見える顔なのよ。
小1の徒競走で、ここまで激昂する方がよっぽど不思議なんやけど。

と、当時は反論する術もなく唯々嵐が過ぎ去るのを待つのみ。

クシコスポストが流れると今でも胸にさざ波が。
キリがないので、この辺で。

みよしの

みよしの

よもや、よもやの50代。 "西陣''の軒下にて30余年、ひっそりと暮らす地方出身者。 15万円入りの封筒を2度も!落とす令和のうっかり八兵衛。

2022.10.08
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こんにちは。森賀です。
9月の上旬に友人と2人で四国一周をしてきました。僕は愛媛県出身なのですが、四国を一周することはなかったのと、一緒に周った友人が“商店街マニア“で四国の商店街を周りたいということもあって行ってきました。5日間をかけて一県一県の商店街を巡りました。各県の県庁所在地の商店街はどこも観光客向け用の商店街になっており、地元の生活は残ってなさそうですごく寂しさを感じました。もちろん地の人たちの生活もあって、小さな喫茶店で集まったり、商店の前で井戸端会議をしていたりと和やかな雰囲気が漂っていました。商店街を巡っている中で、私は別に商店街のアーケードが好きとか統一看板が好きとかではなく、人が集まる場所としての商店街が好きで、商店街にいる人が好きだと感じました。
四国の商店街巡りが終わっての今ですが、商店街が好きになったんだろうと思います。
京都なら堀川商店街や新大宮商店顔、出町桝形商店街は居心地がいいです。それに、今企画しているイベントが終わったら、また鳥岩さんとかで飲みたいなーと思いつつ!

森賀優太

京都産業大学 学生 森賀優太

京都産業大学在学中。ある日を境に西陣に迷い込み、いつの間にか居着いた大学生。人との関わりを通して、伝統的な文化や歴史と新しい暮らしのある西陣に惚れる。そろそろ西陣に住むことを画策している様子。

2022.10.05
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西陣エリアの特徴として、古い町家の街並みが市内中心部と比較して、かなり残っている、ということが挙げられるように思う。原因としては中心部から離れているが故に大資本が更地にしてビルを建てるなどという開発行為が割に合わないため、と勝手に考えている。とは言え、西陣エリアは大規模開発にはそぐわないかもしれないが、個性的な個人商店が展開できる土壌があるという見方もできるし、実際に新規でオープンした喫茶店、ホテル、町家一棟貸しの宿、ゲストハウスなどが多い。2022年10月から、大宮寺之内のあたりで蔵付きの町家の改修工事を行う予定でいる。用途は店舗、もしくは事務所だが、いまから面白い施設になるだろうとわくわくしている

赤澤 林太郎

都市企画家 赤澤 林太郎

町家を中心に、既存物件の活用を提案しています。

2022.10.03
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ジョッキに注がれた生ビールをゴクリゴクリと流し込んでいると、「あぁ、夏だ」と感じる。あるいは、夏が来たと感じているから、生ビールをゴクリゴクリとしたくなるのかもしれない。卵が先か、鶏が先か。生ビールが先か、夏が先か。

瓶に入っているビールをグラスに注ぎ、しっぽりとやっていると、「あぁ、秋だ」と感じる。あるいは、秋が来たと感じているから、瓶のビールでしっぽりとやりたくなるのかもしれない。卵が先か、鶏が先か。瓶ビールが先か、秋が先か。

僕は瓶ビールでしっぽりとやるのが特に好きで、テーブルを囲む人たちで少しずつ瓶の中身を分けていく手間がなんとも愛おしい。上司と部下でビールを注ぎあったりなどのコミュニケーションは面倒くさいけれど。「同じ釜の飯」のように、「同じ瓶のビール」という言葉があってもいいような気がする。気のしれた友人と注ぎあったりするのも妙に楽しかったりする。

瓶の中のビールを、一滴でも多く飲んでやりたいと思って、虎視淡々と瓶ビールを狙っているから、必然的にグラスの中身が減るスピードは速くなり、注ぐ回数も多くなる。Sapporoの瓶ビールを箱で手に入れて、上から眺めるとたくさん星があったりするから、なんだかプラネタリウムみたいでロマンチックだ。

僕はいつどこで瓶ビールが飲みたくなっても安心できるように、小さめの栓抜きをいつも携帯している。それほどに、僕は瓶麦酒至上主義者なのである。

大成海

綴り手/探り手 大成海

2000年広島県広島市生まれ。京都在住。もの書きとデザイン。 本と映画と音楽と酒をこよなく愛す。本屋や出版社などいくつかの場所で働き、稼いだお金は本と映画と音楽と酒に消えてゆく。気の向くままに散文を書いたり、デザインをしてみたり。いつでも大好きな瓶ビールが飲めるようにと、携帯栓抜きを鍵につけて常に持ち歩いている。

2022.10.01
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木を見て森を見る。

9月12日に参加したSILKの大研究会で大室所長が、開会の挨拶としてこの言葉を贈ってくださいました。

「木を見て森を見ずとは一般的に言われますが、私は最近、木を見て森を見ることが重要ではないかと考えました。一本の木を突き詰めていけば、そこには無数の細菌の営みがあり、大地の働きがあり、その木が影響を与えている物事がある。つまり、一本の木を見るためには森を見なくてはならない、そんなことを思うようになったのです」

以来、ぼくの脳裡ではこの言葉が反芻しています。京都で暮らしをはじめて半年が経過しようとしていますが、なによりもぼくが体験していることだからかも知れません。地域の皆さんと関わり続け、ローカルと生きることを問い続け、愛にゆだねて、一本のbeingの木を、ただ、じいっと、みつめてきました。驚きに満ちた日々が自分の微力さを教えてくれ、自分と、他者と、この大地と、歴史に再会して、ショックで血塗れになって家へ帰ります。

そんなことより、船岡山では金木犀が花を咲かせました。香りをのせた秋風が事務所にそよよ~と吹き込み、黄昏を待ち望むラブリーな季節です。かけがえのないときを、一瞬たりとも逃したくない!

瀬川航岸

SOCIAL WORKERS LAB コーディネーター 瀬川航岸

滋賀県東近江市出身。自然豊かな土地に育つ。立命館大学経営学部入学後は映画や絵本に没頭。川のようにゆふらゆらざざざ〜っと生きるうち、SWLABに遭遇し、メンバーに。2022年4月から京都で暮らしをはじめる。2つの社会福祉法人に勤めながら、船岡山公園を拠点に駆け出し地域コーディネーターとして奔走中。

2022.09.24
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夕暮れが近づく交差点で信号待ち。視線を感じた。
思ったより大きな(10等身ほどの)彼女はじっと南を眼差し、その眼下をさまざまな速度で人が行き交う。

古来より私たちは自然をさまざまなものに見立て、見出し、この世ならざるものの気配を感じ取ってきた。
雲から現れる大入道、月面に浮き上がる貴婦人、コンセントに住む小人の顔。:)
普段は背景と溶け合っている彼らと目があった時、私たちはあらゆる気配が息づく中で生活していることを気付かされる。
そしてほとんどの場合、出会った翌日には彼らの存在は薄れているはずだ。だから今、記憶から粛々とこぼれ落ちていく彼女を書き留めておきたい。

堀川今出川に座する長身の彼女に巨人の威風はなく、その目には憂いを宿していたように思う。いつか来る誰かを待っているのか、もう去ってしまったのか。あるいはゆっくりと変わりゆく街並みに思いを馳せていたのかもしれない。
いずれにせよ、私たちの時間の尺度ではそれを知り得ることは叶わない。
両者の間にある「分かり合えなさ」は、いつまでも青にならない横断歩道のようにこれからも隔たれたままだろうか。

束の間、留まっていた時間が進むのを感じる。信号が変わった。
ペダルを漕ぐ足が再び動き出す。

黒田健太

紡ぎ手/綴り手 黒田健太 オサノート

初めまして、 西陣に住んでいる黒田健太です。 夜のがらんとした千本通を歩くのが好きで、たまに夜中に出かけます。生活をしていると忘れてしまうのですが、そんなささやかな時間にときどき立ち寄りたいと思っています。

2022.09.21
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街に対して抱くイメージは、そこへ行くと壊れたり、輪郭が太くなったりする。先日西陣でお昼ご飯を食べる機会があって、食後に辺りをぶらぶらと歩いた。黒い物体に陽光が当たると瞬く間にその物体に熱が籠るような時間帯だったので、ぶらぶらしなければよかったと思った。しかしぶらぶらし続けたということは結局西陣をゆっくり歩きたかったということだ。
歩いていると、夏が鋭く響いていた。尖った夏の隙間を縫うようにして、ガタゴトと音が聴こえてくる。最初は何の音か、どこから聴こえてくるのかも分からなかった。でもいつからか、柔らかさと重さを併せ持つ音が、硬くて湿った夏の音を完全にはねのけている。その時、西陣のイメージ、つまり西陣織という伝統工芸の街としての印象が、頭の中で肥大化して、だんだんと色が濃くなって、音に対する疑問が止まる。その音の正体を明かしたい気持ちが汗と一緒に散っていく。やがてガタゴトという音は夏にすっかりかき消される。ぶらぶらとするのをやめ、自転車に乗って帰路につく。
西陣の街は、いつ歩いても音で満ちている。そんな気がする。それは西陣の音であって、どの街にも共通している「何か」ではない。

益田雪景

ライター 益田雪景 オサノート

広島県出身。同志社大学在学中。大学ではボランティア支援室学生スタッフARCO及び新島塾2期生としても活動中。小説家は太宰治と遠野遥、映画は「劇場」と「ミッドナイト・イン・パリ」、音楽はgo!go!vanillasとB T Sが好きです。