年初めなので、登山靴を新調した。
長い間憧れていたオールレザーの昔風の登山靴。
こういう靴は履くまでにも手間がかかるらしい。縫い目を液で何度も乾燥させながら目止めして、それが終わったらワックスを手で擦り込む、つまり自分で防水加工をしなければいけないのだ。そして中敷をいれたり靴下を合わせて調整したりと。
そんな事を2日もかけてやっていく。
そして、いよいよおろす。
せっかくなので格好も昔風のハットをかぶって旅気分で近所を散歩してみるのだ。
そしていざ、歩いてみるとまだ全然革が硬くて痛い。そして片方1キロはある登山靴は慣れないと足に重りをつけているようだ。
いつもはサッサと通り抜けていく西陣の道を一歩一歩ロボット歩きで歩いていく。
そしてもう疲れて部屋に戻ろうとすると、みたらし団子ののれんが目に入ってきた。
たぶんいつも見ていたはずなのだが意識した事なかったのかも。
甘いものが欲しくなり、立ち寄ってみた。
店のおばちゃんも僕が慣れない観光客に見えたのだろう。団子を用意しながらいろいろとの辺りについて教えてくれる。
「熱いうちに食べてな!」と念を押されて団子を手渡されたので、部屋に戻ってから食べるつもりが本当に観光客のようにみたらし団子を歩き食いすることになってしまった。
食べてみて驚いた。
おばちゃんの旦那さんの実家の飛騨高山の味付けというそのみたらし団子、甘くないのだ。
醤油の香ばしい味。今まで食べたことのない種類の団子である。
いつも歩いている道も違う設定で歩いてみると違うモノが目に入って、新たな出会いがあるものだ。
版画家 景井雅樹
京都の版画工房で銅版画を始める。 2006年頃より、毎日の出来事をノートに青いボールペンで描く絵日記形式の作品を作り始める。 一日1ページで現在4000ページほど。まだ毎日描いている。 コーヒーと自転車と音楽の愛好家。