西陣にまつわる
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西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2022.03.01
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《仕出し文化》

京都には”仕出し”という文化があります。
今流に言えば料理のデリバリーのことですが、気軽なお弁当から、フルコースの懐石まで幅があって、さまざまな料理を身近に愉しむことができます。

祇園の一般的なお茶屋さんは、自ら料理を用意せずに仕出しを頼み、席を貸しています。
その席のアレンジはお客様の利用目的に沿うものなので、本来は自由度が高いのです。
そこでは、舞妓さん芸妓さんをお願いして遊興の席にしても良し、会議の席に利用しても良し。
集まりの趣旨に合わせて会場も選びます。

京都では地域の有志による活動も活発なので、仕出しはその会合が和やかな雰囲気に進むための潤滑剤にもなっています。

古来から日本を動かすときに付き物の、密議、密談、謀議といった穏やかならざる謀りごとの文化も、こういうふうに始まったのでしょうか。

山ノ瀬亮胤

眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長 山ノ瀬亮胤

京都市上京区在住。眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長。芸術~工芸に拡がる独自分野の構築で国内外より評価され欧州ハプスブルグ家御用達。マスメディアでの出演・取材多数。豊かな江戸庶民文化と職人の心を紹介している。

2022.02.28
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この前ちょっと東に足を運んで南禅寺に行ってみた。特に行こうとおもった理由はなく、なんとなくふらっと。目的がなくなった帰り道とか時間に余裕がある日とか。なんとなく目的の場所までの行き道を遠回りしてみたり、エウレカ的に思いついたまま立ち寄ってみたり。
そういうときに神社やお寺に行くことが多くなった。

神社やお寺などに行くと空気が澄んでいて背筋が伸びいつもより背が少し高くなったような気になる。それと同時に全ての動作を誘導されて、まるで型のように綺麗な所作をしたくなる。
一方で触ったらだめ、入ったらだめとかもたくさんあり、禁止されてないけど常識的に見てやらないことも多く、動作を制限される。ただその制限は心地よく常識という世界に立ち帰らせてくれる。そういう状況が結構好き。

小野友資

Y小 小野友資

2007年より1-10に参加、モーションデザイナーとしてウェブサイトからデジタルサイネージまで様々なフィールドに渡る制作に関わる。在籍中の2013年個人活動としてYUYBOOKSオープン。本をコミュニケーションツールとし、企画やデジタル作品を展開。2016年よりデジタルの活動をフリーランスへ。デジタルつかってアナログなもの集めています。

2022.02.27
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入籍をした。入籍日は覚えやすい日がいいよねという理由から、2022年2月22日という、2がズラッと並んだ日を記念日とした。にゃんにゃんにゃんイヤーににゃんにゃんにゃんデイということで、今年はスーパー猫の日ということらしかった。特段猫派というわけでもないのだけれど、こういうことはいろんなお祝いごとが重なった方が嬉しいに決まっているので良かった。結婚に当たり、下京区に引っ越すことになり、長く住んだ西陣から少しだけ離れることになってしまった。といっても実家は西陣にあるのだし、心の距離的には変わらない。先日「つぎの西陣をつくる交流会(つぎにし)」というオンラインイベントに参加した際も、「西陣から参加しています」と揚々と言っていたが、結局、どこに住んでいようと、関わりしろは気持ち次第なのであまり関係ないと思った。たくさん通えばいいし、これからもたくさん、この街を面白がっていこう。そろそろあったかくなってきたら、夫(と呼ぶのはまだ恥ずかしい)と写真散歩でもしたいなと思う。

龍田 春奈

咲里畑 届けびと 龍田 春奈

1993年京都生まれ。西陣育ち。京都市西京区大原野「咲里畑」にて、季節の多品目の野菜、ハーブ、エディブルフラワーを、農薬や化学肥料を使わず育て、販売している。農ある暮らしの中に感じる豊かさを、人に届けることに喜びを見出しています。

2022.02.26
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先月下旬にオミクロン株と思われるクラスターが発生し、その対応に追われ続けた1ヶ月でした。
実感として、世間が思っているような無症状者や軽症者は少ない印象です。
やはり何がしかの症状は出るし、重症化する人はします。
感染スピードもべらぼうに速いので、気付いたときには感染が拡がっています。

救急車を要請しても搬送先が決まらず、搬送先が決まっても入院させてもらえなくて、結局施設に戻ってこられるケースも多々ありました。
感染予防のため極力部屋から出ないようお願いしていたこともあって、入居者の多くはADLの低下が顕著です。
この間、デイサービスやショートステイも休止せざるを得ず、利用予定だった皆さまにはたいへんなご迷惑をお掛けしました。

先日、ようやくクラスターは収束しましたが、当然、今回明らかになった感染拡大防止に係る課題については、きっちりと改善に取り組んでいきます。
一方で、低下したお年寄りの生活の質をどう立て直していくか、ということは、感染拡大防止と同じか、それ以上に大きな課題です。

「普段の暮らし」が大きく損なわれる中、私たちに何ができるのか、皆さまのお知恵も拝借しながら考えていきたいと思います。

中島慶行

京都市小川特別養護老人ホーム 施設長 中島慶行

立命館大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。 2009年より2年間、京都市小川特別養護老人ホーム副施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長を務めたあと、伏見区の施設に異動。 2019年、京都市小川特別養護老人ホーム施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長として復帰。 銭湯と牛乳とじゃこ天が好きです。

2022.02.25
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建物や道路の間にある余ってしまった土地のことを「残余地」という。ヘタ地や三角地と言ったりもする。「碁盤の目」の街である京都にも、ときどき残余地は発生する。写真は新町通りにある残余地で、道路の食い違いを解消するべく斜めに道を通した結果生まれたものである。
残余地にはどこかマニア心をくすぐるものがある。建物の敷地としては使いづらい残余地には、自動販売機が置かれたり、ゴミ捨て場になったり、あるいは緑地として利用されたり、「余っている」がゆえの利用法が見られる。それが面白い。
しかし、ここの残余地はまったく手が付けられていない。全面が導流帯(ゼブラゾーン)になっており、何も置かれることなく純粋な「残余」となっている。普通なら、これだけの広さがあれば軽く芝生を敷いてみたり看板を立てたりしそうなものだが、そんなことは一切しない。そこにはただ「無」があるのみである。
使えるものは何でも「活用」する昨今の風潮とは真逆を行くこの残余地には、孤高の美学すら感じる。余っているのではない、余らせているのだ。この残余地が失われるとすれば、それは京都という街に「余裕」が無くなったときなのだろう。

重永瞬

京都大学文学部地理学専修 重永瞬

地図とまち歩きが好きな大学生。“西陣の端っこ”(お隣?)仁和学区で生まれ育つ。大学で地理学を学ぶかたわら、まち歩き団体「まいまい京都」でスタッフとガイドを務める。なんでもない街角の記憶を掘り起こしたい。古本とラーメンが好き。

2022.02.24
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今年に入って時間があっという間に過ぎ去り気がつけば、2月ももう半ば。
まだ雪が降る日も続いています。

私は九州生まれでどちらかと言えば夏が苦手でした。が、京都の冬を経験してから一気に冬が苦手になってしまいました。
寒さの質がまったく異なり、良く言われていますがとにかく“芯から冷える”寒さに毎年びくびく、ぶるぶるしております。
しかし、雪を纏った京都の冬はついつい寒い中外出したくなる程に風情を増し、雪景色にうきうきしてしまいます。

風情を楽しむ事が出来るようになったのは確実に京都に来てから。

数年前の大雪の日は、師匠に誘われて雪に覆われた金閣寺を見に行きました。その時はなぜ朝早くから寒い中わざわざ行くのだろうか?と疑問だらけでついて行きました。人混みの中見た雪の白と金のコントラストと池の青い氷は今でも脳裏に焼き付いています。

もう一つは紅葉の時期。
九州では紅葉狩りに行くという慣習は持ち合わせていなかったのですが、京都では桜の開花と同じ盛り上がりを見せている事に驚きましたし、気が付いたら毎年紅葉狩りに行っている気がします。

風情を愛でるという習慣を楽しむ事ができ、あ、大人になれたなと思った今年の寒い寒い冬でした。

山本萌加

Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所 主任研究員 山本萌加

武蔵野美術大学(工芸デザイン学科木工専攻)卒業後、眼鏡制作者七代目山ノ瀬氏に弟子入り。眼鏡制作の修行と、師と共に眼鏡ブランド〝Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所〝の主任研究員てしてお店を運営しています。

2022.02.23
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庭の梅の蕾が丸く膨らみ、そろそろ開くかと静かに眺めていると、キーキーと高い悲鳴と共にバタバタ落下する飛来物が。

ハヤブサのような猛禽類が獲物を逃すまいと鷲掴みにし、羽毛を舞い上がらせながら抵抗する小鳥の声もやがて消えて、という弱肉強食のドラマがうちの箱庭で繰り広げられるシュールな光景を目の当たりにしました。

物知りの知人によると、猛禽類は御所や二条城に意外と住んでいるらしく、豊かな自然が身近にあることに改めて気付かされました。

今年は梅の花芽がたくさん付いています。花が咲くとメジロが遊びに来るので今から楽しみにしています。

宇野貴佳

好文舎店主 宇野貴佳

油小路の路地奥でギャラリー喫茶を運営しています。 目立たない店が故か、ちょっと個性的なお客様が多いように感じています。 ここでの出会いを中心に、見聞きしたあれこれをお話しできれば幸いです。

2022.02.22
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この冬は何度も雪が降りましたが、常に寒さに身体を震わせ、皮膚が外気に触れないようにできるだけ多くの布を纏い続けたのは、僕自身京都に来てから初めてのことだと思います。一方で、冬が本気を出せばたちまち極寒に見舞われる碁盤の目状の古都にたくさん存在する銭湯では、衣服の代わりに大量のお湯が身体を包んでくれるので、芯から温まる。という状況を求めて、先日、僕は船岡温泉を訪れました。
僕が行ったのは開業直後の時間帯でしたが、すでに多くの方が来ていて、屋内の浴場は賑わっています。しかし、裸婦の石像が佇む露天風呂は誰も入っていなかったので、僕はそこに浸かることにしました。木製の浴槽にゆっくりと注がれるお湯、波の静かに立つ湯面とその下で揺れる身体の輪郭をぼんやりと眺める。そんな贅沢な時間を過ごしました。その間、裸婦の石像は湯船と出入り口をつなぐ石畳をじっと見つめていました。僕と違って、石像は汗ひとつかいていなかったので、おそらく外気に凍えていたのかもしれません。皆様も、寒くて石像のように身体が固まってしまったら、ぜひ船岡温泉を訪れてみてはいかがでしょうか。きっと芯から溶けていきます。

益田雪景

ライター 益田雪景 オサノート

広島県出身。同志社大学在学中。大学ではボランティア支援室学生スタッフARCO及び新島塾2期生としても活動中。小説家は太宰治と遠野遥、映画は「劇場」と「ミッドナイト・イン・パリ」、音楽はgo!go!vanillasとB T Sが好きです。

2022.02.21
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最近西陣に行けてない今日この頃
まだコラムにして無い写真から
西陣のLaughterさんの投稿から行ってみたお店
「西陣ゑびや」さん
なんと言っても私の心に突き刺さるメニュー
かき揚げ丼セット
写真の見た目通りのボリューム
写真ではわからないですが海老が沢山かき揚げに入ってる
地元の方に愛されてるお店で次から次へと常連さんが入って来てました。
コロナや寒さが落ち着いたら沢山西陣に行こう!!

林亮

タクシー運転手 林亮

2019年にまるごと美術館を知り、夜間拝観にお客様をお連れし、その時頂いた福銭の5円玉がご縁を呼んで 西陣、上京区の 沢山の方々と繋がる事が出来ました。 日々 自分地元はもちろん 西陣、上京区を応援してます。

2022.02.20
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年が明けたばかりだと思っていたら早いもので、もう春の訪れを迎え、梅の花が開き始めています。梅といえばやはり、天神さん(北野天満宮)。季節の花を観賞するのが好きなので、梅の花もいろんなところへ見に行きましたが、京都近辺ではやっぱり天神さんの梅が一番だと思っています。天神さんの境内には広い立派な梅苑もありますが、梅苑に入らなくても、境内いたるところに美しい梅がたくさん咲き乱れるので、十分楽しめます。年によって変わりますが、天神さんの梅は3月に入って雛祭りを少し過ぎた頃がだいたい見頃でしょうか。ところで、天神さんといえば菅原道真公。天神さんの梅も道真公が愛していたことにちなんで植えられているわけですが、学問の神様である道真公を祀る天神さんに多くの受験生がお詣りに来る時期にちょうど美しい梅が咲き始めるというのがまた、うまいことなっているなと感じます。もちろん、道真公が生きていた頃には受験はないので、梅の時期と受験の時期が重なるのは偶然なのですが。そんなことを思いながら、自分が受験の時に天神さんにお詣りしたことが懐かしく思い出されます。

南知明

上京ちず部 副部長 南知明

鴨川近くで生まれ、幼い頃から近くの上京区の商店街の店主の方々に見守られ育つ。現在は「まいまい京都」商店街食べ歩きツアーなどのほか、地理好きを活かし、「上京ちず部」副部長など、上京区全般で活動。本業は宿泊業。京都観光おもてなしコンシェルジュ。