西陣にまつわる
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小川 櫻時

映像監督小川 櫻時

長年様々な映像をを作る仕事をしています。東京、沖縄を経て2015年から京都市在住。近年は、クラフト作家や様々な手仕事をする人々にフォーカスした映像を制作・発表しています。映像空間演出ユニット「SAKKAKU」としても活動しています。

2022.04.09
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桜の季節。ふらふらと夜呑んだ帰りに信号待ちしてると目に入った大きな桜。千本今出川の西北、よく通るけどこんなに大きな桜だったのか。街灯がすぐ近くにあってライトアップされたように夜道に浮かび上がっている。

割と早めに咲き始めたけど、気温が下がったりして気持ち長持ちしているように思える今年の桜。

コロナ前であれば近所の平野神社に現れる特設の居酒屋屋台村で千本を超える夜桜を見ながらゆっくり一杯やれたのだけれど、今年もこの状況では開かれるはずもなく寂しい限り。またの復活を願っている。結局は何かにつけて酒を呑む事しか考えていないのだった…

2022.03.09
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子供の頃は団地に住んでいて団地の中が遊び場だった。塀や物置きなど登れるところはどこにでも登り、そこから団地の外や隣接する塀の上を伝って近所にワープするルートを知りつくしていた。かくれんぼや缶蹴り、ドロケイに明け暮れる日常で自然と身についていた。新しいルートや隠れるスペースを見つけるとすごくワクワクしたのを覚えている。

今住んでいる西陣界隈の住宅地には自転車も通れないような小道がちょこちょことあって散歩で見つけると探索してみる。敢え無く行き止まってしまう事もあるが、思わぬところにつながっていたりする。新たなルートを発見すると小躍りしたくなるような快感がある。子供の時からその感覚は変わってないのだ。

2022.02.04
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「退屈な展覧会」というプロジェクトを2020年に立ち上げた。文字通り「退屈な展覧会」という展覧会をやるためのプロジェクトでその年の10月に「退屈な展覧会」を開催した。しつこく「退屈な展覧会」と連呼しているのは2つ理由がありまして。

1つめは「退屈な展覧会」という名前を中々覚えてもらえないこと。
「名前のない展覧会」「つまらない展覧会」「ヒマな展覧会」「憂鬱な展覧会」
「空虚な展覧会」「無意味な展覧会」「やる気のない展覧会」などなど。どれもだいたい意味合いを言い得ているものが多く、それがむしろ面白くて最近は間違えてても指摘も特にしていない。
でも一応この場でひとまず「退屈な展覧会」を連呼しておこうかなと。おそらく無駄な抵抗でこの先も間違われていくのだろう。

という訳で2つめは告知です。「退屈な展覧会」をやります。

2/10(木)〜 14(月)
西陣変築企画室 × 退屈な展覧会
「〇之景色」(ゼロノケシキ)

「西陣変築企画室」を主催するインスタレーションアーティストの間瀬拓人(https://about.me/7z)くんとワタクシ「退屈な展覧会」の共同企画です。

場所:PELGAG (instagram.com/pelgag.cafe)
京都市中京区裏寺町607‐19 ヴァントワビル3, 4階
12:00~20:00
1ドリンクオーダーで入場可能。

開催は街なかですが、西陣に住む2人を中心に展開する謎のインスタレーション展示です。
まんぼう中ですが開催します。自衛の上ご来場ください。

2021.12.25
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世間でいうクリスマスイブの日の夜に慌ててカメラを持って西大路通りに出た。明日掲載予定のこの記事に載せる写真を撮るためだ。小雨がぱらついている。夜更け過ぎには雪に変わるのだろうか?なんて事はどうでも良いのだが。

京都に移った時の話。

近くの銀行で口座を作りに行った。メガバンクの口座はあったが何かと近い地元銀行の方が便利であると思い近所の京都銀行へ。

促されて手続きを進めるうちに認識したその支店名が「金閣寺支店」…
外から来た人間にもとってはもう冗談としか思えない「ザ・京都」な支店名。こみ上げてくる笑いを抑えながら手続きをすませる。

「振込先:京都銀行 金閣寺支店…」
たまに京都外のお客さんから請求書見てそれを指摘されるのもちょっと嬉しい。

と言うわけで年の瀬の京都・金閣寺前交差点からでした。
みなさま良いお年を!

2021.11.26
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小学生の頃、年賀状についているお年玉くじでコダックのポケットフィルムカメラが当たった。父親の一眼レフは重すぎて全く使う気が起きなかったが、軽くて小さいので子供でも使いやすく、パシャパシャと遊びで撮りまくっていた。友達のピース写真やら風景やらプラモデルを砂山に置いたジオラマ風写真まで。しかしポケットカメラでは中々思った感じには撮れず、現像が上がると落胆する事が多かった気がする。

そんな自分の最初のカメラを持ってからもう40年が経ち、現在持ってるカメラは6台。とはいえ全部映像を撮るためのカメラとして使っていて。写真はもっぱらスマホで日常のスナップぐらいしか撮らない。

写真への興味が映像へと移ったのは高校生の頃。姉の友人から8mmフィルムの撮影編集機材一式を丸ごと貸してもらえることになり、映像を撮り始めたからだ。フィルムの映像は何を撮っても新鮮で面白く夢中になった。街に出てなんてことない風景やら物を撮りまくっていた。

今もまだそんな事を続けていて、それが僕の仕事にもなっている。よくやるのは街のちょっとしたパターンを見つけて映像や写真に撮り、加工して空間演出のための映像素材にしている。いま身近な西陣界隈はいろいろと素材になりそうな被写体が豊富で嬉しい限り。

2021.10.27
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「ゴールデンカムイ」という漫画にハマっている。明治時代の北海道を舞台にアイヌの少女・アシリパと日露戦争の帰還兵・杉元が出会い、共にアイヌ秘蔵の金槐を探す物語。何日も未開の大自然を野営で進んでいく中にアイヌの生きる知恵と技術が描かれている。狩猟採集を熟知したアシリパによって杉元は様々なアイヌのジビエを体験していくのだが、アシリパは「味噌」を知らなかった。アシリパは杉元が携帯して食べている味噌を見て「オソマ」(アイヌ語で「固形排泄物」)だと言って中々食べようとしないのだが、ついに観念して食べた時に「ヒンナ!」(アイヌ語で「美味しい」)と感動するのであった。

1年ほど前に「大徳寺納豆」を食べる機会があり、これにもハマっている。大徳寺の東側の通りに「大徳寺納豆」のノボリをよく見かけていて、関西なのに納豆が名物?と不思議に思っていた。実物を目にするといわゆる納豆ではなかった。黒い粒…大豆を麹菌で発酵させたもので、塩辛さと酸味、深いコクと風味が合わさってとても美味。チビリチビリと齧ってお酒のアテに最高なので常備するようになった。細かく刻んで料理の調味料にも使える。
見た目は完全にウサギのオソマ…しかしヒンナヒンナ!なのである。

2021.09.27
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夏の終わりの昼下がり、郵便物を出しに上七軒郵便局へ。郵送手続きをすませて外に出ると、少しましになったとはいえまだまだ日差は鋭く首元に刺さる。いわゆる上七軒のメイン通りは北野天満宮の東参道にあたり観光地である。しかしコロナの影響で観光客らしき人影はほとんど見当たらない。近頃は外に出かける仕事も少なく体も鈍り気味なので、汗かきついでにフラっと歩くことにした。

東に向かってあてもなく歩いてると仕事の電話がかかってきた。少し込み入った話でなかなか話が終わらない。電話をしながらもいつもは通らない細い道を見つけて歩いていくと意外にも小道から小道に分かれ思いもよらない方向に導かれていく。電話を切る頃には全く来たことのない路地にいた。大体の場所はわかっているのだがだいぶ家から離れてしまった。

突き刺さる日差しが耐え難くなってきたあたりで真教寺というお寺の門の前に出た。小ぶりの門で屋根が低いので瓦の模様が近くハッキリ見えた。これほど近くで瓦屋根を見ることもないなと観察してみる。屋根は構造と経年によるものだろう味わい深く歪んでいて瓦の波模様と相まりグニャグニャに見えてきて面白い。

そうしてしばらく波模様を見てたらなぜか無性に「中華のサカイ」の冷めんが食べたくなってきたので思い切って北上することにした。
こうして行きあたりばったりの西陣歩きはまだ続くのだった。

2021.08.28
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小学生の頃、ほぼ野球にしか興味がなかった。当時連載中だった高校野球マンガ「ドカベン」の影響によって将来は甲子園!と夢見て日々野球に励んでいた。「ドカベン」は、ずば抜けた才能を持つキャッチャーの山田太郎を擁する明訓高校野球部が強豪校を破り勝ち進んでいく物語。その山田とバッテリーを組むピッチャーはアンダースローで変化球を操りだす美少年・里中サトル。線が細くモテモテの彼は激戦の連投でヒジを痛めてしまうのだった…

西陣病院の北側、寺之内通りと廬山寺通りは良く通る細い道。この二つの通りの間には昔ながらの町家・長屋が連なっていて、まるで映画村のよう。ここのあたりの細道をジグザグと散歩するのが気に入っている。
何年か前にその辺りを散歩していた時、古い長屋の2階の簾に大きく書かれた「はり灸」の文字が目に入った。

蘇る記憶…「ドカベン」の里中サトルがヒジを痛め、様々な治療の末にたどり着いた「はり灸」によって奇跡の復活を果たし「サトルボール」という魔球を生み出したのだった。(うろ覚え)
「はり」と「お灸」?小学生当時はその恐ろしい治療法に驚愕したが、今ならわかる「効きそう!」だと。

そして今は各所調子が悪くなった時にこのはり灸・真陽堂さんに施術してもらっている。結果は「癖になる程、気持ち良い!」
そろそろ「サトルボール」も投げられるようになるはずである。

2021.07.29
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京都に住むまで北野天満宮には一度も行ったことがなかったが、そこから歩いて二分ほどの場所に住居を借りたことでよく行く身近な神社になった。敷地も広く社の造形も特段に美しいので何かとフラッと訪れている。境内では2月頃から梅が咲き、初夏にはもみじの新緑、晩秋の紅葉と季節をより色濃く感じられる。

 

そういうわけでお気に入りの散歩コースなのだけれども、その境内にちょっと不思議なスペースがある。北野天満宮の公式ページには「絵馬所」とあるその建物には内外上部に奉納された大きな絵馬がぎっしりと飾られている。かなり古く痛み方が激しいものが多く、その歴史が重ねられた迫力には圧倒される。しかしこの場所は休憩所も兼ねられていて、その絵馬群のすぐ下には皎々と光り輝く自動販売機がビッチリと並べられているのである。
古く痛んだ重厚な絵馬の様相とは裏腹に、光り輝くエレクトリカルな自販機の組み合わせは謎のJAPAN感。時空が歪んでくる様な不思議な気持ちになる場所でとても気に入っている。

 

2021.06.30
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引っ越してきた頃は新鮮だった京都の街の風景も、丸6年も住んでいると流石に目が慣れてきてしまっている。このコラムを機会にかつて目を引いて気になってたものを思い返している。

京都市街の住所はややこしい。例えば市役所は「中京区寺町通御池上る上本能寺前町488」とある。外から来た人間はまず読もうという気が起こらないし大抵は読めない。やがて住んでるうちに縦横の通り名とその交差点に対する方角で示されているという法則を知る。これがわかれば読み解けて便利ではあるのだが、それにしても長くて漢字も多く難解。
しかしそれはそれで京都らしくて良いなと思うのは、通りで古い住所表記のプレートを見かける時だ。今出川通の少し南側、堀川通と千本通の間に残っているのをよく見かける。多くは白地に青い縁取りされた中に「仁丹」のロゴマークと住所が表記されている物。たまに「フジイダイマル」のロゴが入った物。ごく稀に他の広告が入った物もある。元の色がわからないくらい変色していたりもする。時代を感じる年期の入ったプレートにあの経文のような難解な住所表記がある。それを見つけるとなぜだか妙に嬉しくなってしまうのだった。