西陣にまつわる
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西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2021.06.02
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西陣で髪を切る。

僕がこのエリアに(正確にはその近所に)住み始めて14年が経とうとしている。
僕が毎日絵日記を描き始めたのは大体その前後くらいだろう。

過去のものを見返すと、定期的に登場してくる場所がある。その一つが散髪屋だ。

14年前、千本今出川より少し南、(いまだに慣れない京都風に言うと下ると言うのだろうか)英国風の外観とショーウィンドウを飾るアンティーク、そして「技術料」という値段表に何やらダンディズムを感じ、その散髪屋に入店したのだった。

オヤジさんが特注したというシャンプー台の前に座り、映画やらコーヒーやら古い自転車などについての話をしているうちに髪型は完成し、顔を剃ってもらい終了する。
僕と世代の近い息子さんとは趣味のギターの話をする。
その日から今にいたるまで僕はその散髪屋、バーバーハヤシに通い続けている。

いつも仕上げに柑橘系のトニックを髪に振りかけてもらうのだが、この香りを嗅ぐと、往年の西陣のダンディたちにその時だけは近づけた気がするのだ。

景井雅樹

版画家 景井雅樹

京都の版画工房で銅版画を始める。 2006年頃より、毎日の出来事をノートに青いボールペンで描く絵日記形式の作品を作り始める。 一日1ページで現在4000ページほど。まだ毎日描いている。 コーヒーと自転車と音楽の愛好家。

2021.06.01
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多拠点生活サービス「ADDress」のまっさんこと高本です。

ADDress京都西陣B邸〜KéFUで暮らせるようになって、たまに散歩するのが30年近く前に学生時代暮らしていたワンルームマンション周辺。堀川通りは上長者橋のほど近く、僕はここに住みながら今出川の大学に通っていた。

すぐそばにある堀川商店街(今やまち再生で数多くのひとたちが活躍する聖地だ)はもちろん、OSANOTEで紹介される西陣の日常のなかの非日常なんて全く興味もなく、梅田や河原町、丸田町のメトロに繰り出す日々だったけれど上長者橋から堀川を眺めてみるとそのときも今も変わらない風景を眺めることができた。

 

陰陽師・安倍晴明で有名な一条戻橋あたりから中立売橋あたりまで続く、この堀川の小路に点在する石のベンチで朝やひるさがりにぼーっとしてみると贅沢な時間が過ごせる筈。

マンションのオーナーさんの立派な町家は今やビルになり、一方で織物産業も様々な困難のなかで世代継承がされている時代。堀川の風景は変わらず、川の水も静かに流れ続けている。

高本昌宏

多拠点プランナー / ADDress 事業企画 高本昌宏

学生時代に伏見と西陣に住んだことがきっかけで、京都では決してメインストリームではないかもしれないこの二地域に惹かれる。多拠点居住サービス立ち上げをしながら、2020年伏見移住。西陣にも同年から通い始め、魅力再発見中。

2021.05.31
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昔からぼんやりと「京都に住んでみたい」と思っていた。何度か訪れた時にこの街に住んだら面白そうだと感じていたのだ。かといって京都の文化や歴史には全く詳しくはなく、ただ街の空気感に惹かれていたのだと思う。 そんなぼんやりが現実になり、京都に暮らし始めて7年目に入った。まだまだこの長い歴史のある都ではstranger感は抜けないにせよ、生活してる中で自然と知り得る物事が増えていく。住んでいる場所が「西陣」と呼ばれる地域の西側にあると意識するようになったのは住み始めて1年たったころ。西陣織に関わる人が周辺に多いことにも気づいたのもその頃だ。
西陣は用事で四条界隈や左京、北大路あたりに行く時の自転車での通り道であり、散歩コース。いつもなんとなくジグザグと通り抜けたり、買い物や食事ができるお気に入りのお店が何軒もある。
そんな中、ここ数年は大宮通りに行くことが多い。ゆる〜い感じの商店街に美味しい飲食店や気になるお店がある。そして漂う昭和感。大宮通りに限ったことではないが西陣の路地や商店街に色濃く残る昭和感が自分にはたまらなくツボなのである。
小川 櫻時

映像監督 小川 櫻時

長年様々な映像をを作る仕事をしています。東京、沖縄を経て2015年から京都市在住。近年は、クラフト作家や様々な手仕事をする人々にフォーカスした映像を制作・発表しています。映像空間演出ユニット「SAKKAKU」としても活動しています。

2021.05.30
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西陣というまちは私を五感で楽しませてくれる。
「おはようございます!」
朝、学校へ向かう子供たちの元気な声がこだまする。その元気さに思わずシャキッと背中が伸びる。

「カシャンカシャン」
昼、耳をすませば機織りの音が聞こえてくる。長年地域を支えてきた伝統工芸が今日も紡がれていく。
周りを見渡せば色んなところから井戸端会議の声が聞こえてくる。日常の何気ない会話がこのまちのしなやかなつながりを生むのだろう。

「また明日!」
もう夕暮れ時だ。家路に着く子供たちの声が聞こえてくる。そうこうしているうちに、晩御飯の美味しそうな匂いが漂ってくる。

閑静なまちだからこそ、そこにある「音」や「匂い」が際立って感じられる。そして、そこには人々の生活が詰まっている。

 

「おはようございます!」
今日も子供たちの元気な声がこだまする。さぁ、今日も一日の始まりだ。私たちが醸し出すコーヒーの香りも「五感」の一つに混ぜてもらうこととしよう。

三輪浩朔

Laughterロースター 三輪浩朔

2020年10月「Laughter」を開業。21歳までコーヒーを飲んだことがなかったが、タイ北部の農園に直接足を運んだことでその魅力にほれ込む。コーヒーを通じて生産者の思いやストーリーも届け、一杯から笑顔溢れる空間を紡ぐことを目指している。

2021.05.29
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近畿地方は早くも梅雨入り。これは統計史上、最も早いの梅雨入りだそうだ。そして早いから明けるのも早いのかな、と思いきや、梅雨の期間も長くなりそうとのコト。なんとも今年中型二輪免許とバイクを手に入れた私にはつらい時期になりそうだ。

とは言え、私は雨はとても好きだ。

屋根にあたる雨音に耳を澄ますと妙に落ち着き、雨に濡れる庭の木々に意識を取られる。珈琲を飲みながら縁側で一時を過ごす、その時間のありがたさを身にしみる時期でもある。

そうそう、西陣には小さいながら、とても素敵な神社や寺院が多い。その中で取り分け私が足繁く通っているお寺がある。

その名も「雨宝院」。この密寺は弘法大師を開基とする寺であり、歓喜天を祀ることから、「西陣の聖天さん」と親しまれている。境内にある「染殿井」と呼ばれる井戸は、染物に用いるとよく染まる水と言われ、小さな弁財天様が祀られている。こちらに手を合わせるのは私の年中行事だ。

西陣にあるこの小さな異空間、雨宝院。雨が宝とはなんとも素敵な響きである。

また近々、傘を片手にこの素敵なお寺を訪れよう。

ミツギタカユキ

デザインカタリスト ミツギタカユキ

20歳より渡米し、大学にて彫刻からインタラクティブアート、デザインなど幅広い分野を学びつつフリーのデザイナーとして活動。帰国後京都に移住。現在西陣にてデザインカタリストとしてウェブ制作からデザインに纏る企画・運営など幅広い分野で活動を行う。

2021.05.27
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先日ミライブラリでは、「ぶんぶんゴマ」を子どもたちと一緒につくりました。

たぶん、みなさんも子どもの頃つくったことがあるんじゃないでしょうか。びゅんびゅんと音が鳴るのがたのしくて、やりすぎるとだんだん手が痛くなるあれです。

はじめてつくる子どもたちもいれば、何度かつくったことのある子どもたちもいて。回っているコマをジーっといつまでもみつめていたり、なかなかできなくて、顔を真っ赤にして練習していたり、回っているコマから手を放してボーリングのように転がすベテランもいたり。

楽しみ方も様子もさまざまですが、ただみんな変わらず、夢中になってぶんぶんごまをまわしています。

ぶんぶんゴマの魔力おそるべしです。

 

そして、お迎えに来られ、帰っていく子どもたちを見送ると、嬉しそうに、そしてちょっと自慢げにぶんぶんゴマをまわしながらお家の方を見上げる子どもたち。

大宮通りを歩いていくそんな様子を、いつか見た光景に重ねて、そりゃ変わらないものもあるよねっと、なんだかほっこりした1日でした。

村上弘

特定非営利活動法人 代表 村上弘

特定非営利活動法人SOWERS代表 放課後の時間に、多様な体験を届けるafter schoolミライブラリを運営。子どもたちの今とこれからを考え、放課後の選択肢とその可能性の拡張を目指し、日々活動しています。

2021.05.26
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入り組んだ路地の奥に店を構える風とCOFFEE。
コーヒーを片手に二階席でまったりするのがお決まりコースの1つ。
だが二階の大きな窓の先には絶景は広がっていない。

目の前に広がるのは家。生活感そのものだ。
時には店前の家族の笑い声、お母さんの怒号が自然と耳に入る。
3人姉弟の名前すら知っている。
弟が最近自転車を漕げるようになったこと、
自転車を漕げるようになってから挨拶のレスポンスが悪くなってしまったことすらも
近所と店が一緒に時計の針を進めているよう感覚をおぼえさせてくれる。

車が通らない路地で楽しそうに遊ぶ子供たちが
いつかコーヒーを片手に楽しく思い出話に花を咲かせる日を楽しみに。

森 風渡

風とCOFFEEオーナー 森 風渡

2020年10月に"風とCOFFEE"を西陣京極にオープン。コーヒー屋には不向きとされる入り組んだ路地奥にて自家焙煎を行う傍ら、京都で1番ディープな路地(自称)である西陣京極に新たな風を吹かせるべく奮闘中。

2021.05.25
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西陣に引っ越してから一年が過ぎた。
といっても、昨年は夏まで地元にいたから、実際に住んでいるのは半年ちょっと。

 

ここだけの話、こっちに来て何ヶ月も経ってから、自分が西陣に住んでいることを知った。まず、「西陣」という文字が町中溢れているのに、全く気にしていなかった自分にびっくり。そして、西陣という町名がないことにびっくり。

そりゃ気がつかないわけだ。だって実際に町名があるわけじゃないもん、仕方がないよね、と自分自身の注意力不足には目をつむって。

 

西陣に来てから、“出会い”を強く感じる。バイト先でも、好きなカフェでも、美容院でも、さらにはたまたま入ったお店でも。この地域の人達は個人のもつコミュニティが広くて、皆その繋がりを大切に大切にしているように思う。出会った人と楽しくお話して笑い合う、あの時間はとてもあたたかく、私にとってかけがえのないものだ。関わる全ての方々に心から感謝を伝えたい。

 

出会いを織り出すメディア、なんてとっても素敵。
オサノートのライターとして、西陣での出会いをお手伝いできたらいいな。

 

そんなことを思って書いていたら、制限字数を超えそうだ。
ほんと、自分の注意力の無さには驚かされる。

渡邊珠生

探り手/運営 渡邊珠生 オサノート

西陣に住む大学生です。幼い頃から日本の伝統文化や歴史、美術に興味があり、新潟からはるばるやってきました。沢山のコミュニティが生まれ、よりあたたかい地域となっていくような素敵な活動に携わることができ、大変嬉しく思います。珈琲と甘いものが好きです。

2021.05.24
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「共に生きる」というと、仰々しく聞こえるでしょうか。

じつに、言うは易く行うは難し。私が出入りしているバザールカフェが、ずっと挑戦していることです。感性が似た人たち、言葉が通じる人たちと共にいるのは易しです。分かりあえない人とこそ、どう共にいるのか。

かつての私は(割と最近まで)、「合わない」人には興味を向けてきませんでした。その人の言葉を話半分に聞いては、しゅるしゅる~っと避けてみたり…。しかし私と「合わない」仲間は、私にこう言うのです。

「はっちゃん(狭間)は、俺とは合わないけど嫌いじゃないよ」

ハッとしました。「合わない」と「嫌いじゃない」は併存するのだ!と。互いの価値観や感性の違い、自然なその「合わなさ」を超えて、なお自分がその人のことをどう感じ、その人とどうありたいと思っているのか、考えてみる。

そうやって何度も立ち止まってみることが、共にいるということと、つながるような。

この言葉を数年前にくれた本人とは現在もバザールで毎週のように会い、私は毎週のように腹がたったり心乱されたりしています。それでもその人のことを気にしている自分の感情に気づいたとき、力が抜けてちょっと嬉しくなるのです。

狭間明日実

バザールカフェ店員 狭間明日実

バザールカフェ事務局6年目。日々の営みをとおして、場から起こるもの、個人がのびのびと生きることなどを考えています。 傍らで、地域、福祉、食べることにまつわるいろんな仕事や遊びをしています。 同志社大学社会福祉学科卒業。社会福祉士。海が好き。

2021.05.23
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もうすぐ梅雨。京都人は”京都は暑っい暑っい”と言うけれど、それ以上のところは日本中にたくさんあって、そうした地方では本当の暑さの只中に”暑い〜”なんて聞いたらそれこそ暑っ苦しくてやってられませんよね。京都人が”暑い”というのは京都盆地以外を知らないから?それとも古人のように季節感を愉しみたいから?

京都はものづくりの街とは言うけれど、なかなか持続するのが難しく、そこに若い女性の存在は欠かせません。彼女達は勇気があり創造性に長けていてその上真面目です。男どもしっかりしろ!って言ってやりたいくらい。ところが親方との歳の差は親子以上に離れ、多くの工房は小人数。寡黙な彼女達が普段何を課題に抱えて、何を楽しみにしているかなど見当もつきません。仕事には絶大な自信が あっても若い子の気持ちを汲み取る自信は全く無しです。

ある日ひとりの親方と話していた時、彼女達だけの集まりを作ってあげたいと。こうして女子弟子会が出来ました。もちろんそこでの会話には不介入。きっと私達の悪口で盛り上がってるんだろうなー。ほんとは心優しい親方衆なんだけどなぁ。

山ノ瀬亮胤

眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長 山ノ瀬亮胤

京都市上京区在住。眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長。芸術~工芸に拡がる独自分野の構築で国内外より評価され欧州ハプスブルグ家御用達。マスメディアでの出演・取材多数。豊かな江戸庶民文化と職人の心を紹介している。