西陣にまつわる
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中島慶行

京都市小川特別養護老人ホーム 施設長中島慶行

立命館大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。 2011年より2年間、京都市小川特別養護老人ホーム副施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長を務めたあと、伏見区の施設に異動。 2019年、京都市小川特別養護老人ホーム施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長として復帰。 銭湯と牛乳とじゃこ天が好きです。

2021.09.15
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先日、私たちの施設に開設当初から入居されていた女性が亡くなり、カトリック西陣教会で行われた告別式に参列してきました。
私たちの仕事は、人生の終わりのほうの、ほんの一部分にかかわらせていただくに過ぎませんが、現在の姿や立ち振る舞いから、来し方に思いを馳せることはできます。

何ごとにも前向きで、人を頼らず、自分でできることは自分でしようとされる方でした。
動けなくなったら皆さんにご迷惑を掛けるから、と、廊下の手すりに滑り止めを巻き付け、日々リハビリに努めておられました。
古くなって使わなくなった車椅子を、長年一緒に過ごしたのだから、と最期まで部屋に置いておられました。
もう長くないと言われてからも、毎日職員に、ありがとう、また明日ね、と声を掛けてくださいました。
コロナで面会の機会は減りましたが、毎日綴っておられた日記には、職員をはじめ周囲の方々への感謝の言葉が溢れていました。

この日はあいにくの雨でしたが、出棺のときだけ少し小降りになり、皆でお見送りすることができました。
帰りに、この方が好きだったかっぱえびせんを買って食べました。
西陣はお寺が多いイメージがありますが、こんな素敵な教会もあるのです。

2021.08.16
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毎年、夏休みになると、地域のあちこちでラジオ体操が行われます。
当施設の裏手にあるみつば幼稚園のグラウンドでも、毎年100名以上の方々が早朝から体操に励んでおられます。

うちの特養の入居者さんたちも、12年ほど前から毎年ラジオ体操に参加させてもらっています。
もともとは、Aさんという女性が居室でラジオ体操をされていたのを見た職員が、グラウンドでもラジオ体操をしているし、せっかくだから一緒にやっては、ということでお連れしたのがはじまりでした。

地域の方々と顔を合わせるという緊張感からか、Aさんは毎朝5時に起きて、ばっちり化粧をして、グラウンドに連れていってもらうのを待つようになりました。
Aさんと一緒に参加していたBさんも、それが生きがいに繋がったのか、一生懸命リハビリに励まれるようになり、10年連続で皆勤賞をとられるまでになりました。
残念ながら、去年・今年と、コロナ禍により中止になってしまいましたが、来年こそは再開されることを願っています。

そういえば、今年のオリンピックのメダリスト・芳田司選手もみつば幼稚園の卒園生なんだとか。
幼い頃、うちの入居者さんたちと一緒にラジオ体操をされていたのでしょうか?

2021.07.17
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介護予防教室の参加者から、「認知症にだけはなりたくない」という声をよく聞きます。
でも、90歳以上の方の約60%が認知症というデータもあるくらい、認知症は珍しくない病気です。なので、認知症になることを前提とした生活様式や地域のあり方を考えていく必要がある、と、ずいぶん前から言われてきました。

認知症になっても、これまでと変わらず住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、地域の中で助け合える仲間の存在が大切です。
誰もが無理のない範囲で、ほんの少しの興味・関心を持って、自分にできることを考えるだけでも、世の中はもっと暮らしやすく、楽しくなると思っています。

そんな中、最近、「チーム上京!」なるものが動き出しました。
認知症の当事者の方と出会い、話し、それぞれの得意なことや関心を繋いで輪を広げていく取り組みです。そんな小さな輪が、このまちのあちらこちらに拡がることで、大きなうねりを生み出し、「認知症にだけはなりたくない」から、「認知症も悪くないよね」に変わっていったらいいなあ。

認知症にやさしいまちは、きっと障がい者にも、外国人にも、コロナ患者にもやさしいまちだと思います。
まずは、ほんの小さな一歩から。

2021.06.18
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かつて不摂生を繰り返し、体重が120キロ近くまで増えるなど、健康から程遠い生活を送っていた私も、今はすっかり改心して、「地域介護予防推進センター長」という肩書きに恥じぬよう、運動・栄養・社会参加を心がけた毎日を過ごしています。

今の肩書きを得て3年目に入りましたが、この間ずっと、自宅から職場まで、片道徒歩45分の道のりを歩いて帰ることを日課にしています。

路地を通って町家群を眺めたり、商店街をブラブラ覗いたり、いろんなルートを試した結果、最近は初心にかえってと言いますか、何だかんだ言って堀川遊歩道を歩くのが好きです。

夕暮れの堀川遊歩道は、せせらぎの音も心地よく、いくら歩いても飽きることがありません。

最近はすっかり暑くなり、日中出歩くのは億劫ですが、夕方以降は適度に風も吹いて、気持ちよく歩くことができます。
堀川丸太町の交差点を下から見上げると、イズミヤとオメガのイルミネーションが輝いて、なかなかの夜景が堪能できます。

毎週水曜日には「あじさい会」という自主グループの方々が、堀川遊歩道でノルディックウォークを楽しんでおられます。
そんなに人も多くないので、機会があれば、ぜひ散策してみてください。

2021.05.19
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かつて、二条城の北側に、京都社会福祉会館という、1969(昭和44)年9月開設の古い建物がありました。エレベーターは今にも止まりそうだし、空調は全然効かないか効きすぎるかのどちらかだし、電灯は薄暗いし、エントランスは昭和ムードむんむんで、お世辞にも居心地の良い空間とは言えませんでした。

とはいえ、京都社会福祉士会や、認知症の人と家族の会の事務局など、さまざまな福祉系団体の事務所が入っていて、私も研修や会議などで幾度となく通った思い出深い場所です。

2020(令和2)年3月末をもって閉館しましたが、その前年、RUN伴(認知症普及啓発のランニングイベント)の上京区の実行委員の統括を務めた際、どうしても京都社会福祉会館をコースに入れたくて、少し迂回するコース設定にして、京都社会福祉士会の職員さんにも走ってもらいました。

今後、会館は取り壊され宿泊施設に生まれ変わるようですが、自分の福祉観を醸成してくれた場所のひとつとして、建物は変わっても、前を通るたびにいろんなことを思い出すのだろうなあと思います。

2021.04.19
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社会福祉の仕事に就いて20年以上が経ちますが、異動がある身分なので、西陣界隈はまだ3年目の新参者です。

 

福祉は、「ふだんの、くらしの、しあわせ」のことだと言われています。

 

馴染みのお店や、居心地の良い場所で、おいしいものを食べたり、美しいものを観たり聴いたり、気の合う人とおしゃべりしたり。

 

たとえ身体が不自由になっても、住み慣れた地域で、何気ない日常の中に、些細な喜びや楽しみをたくさん見つけていくことが、福祉の本質だと思っています。

 

他の執筆メンバーを見ていたら、どうも自分だけ浮いているような気がしないでもないけれど、私の立場からすると、「西陣×福祉」の視点から、「ふだんの、くらしの、しあわせ」について、何か書ければ良いのかな、と思っています。

 

そんなことを言いつつ、案外、帰り道にある、おいしいパン屋さんのこととかを書くかもしれませんが、それはそれで、私にとっては、「ふだんの、くらしの、しあわせ」です。

これから、どうぞよろしくお願いします。