西陣にまつわる
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西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2021.07.16
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西陣のほど近く、北野天満宮の門前に、「下ノ森」という一角がある。北野商店街のアーケードが途切れ、簡素な作りの商店が並ぶこの場所は、なんともユニークな場所の系譜を持っている。
かつて北野天満宮の境内だったこの場所には、明治33年に京都電気鉄道が開通したことにより、その終着駅が置かれた。明治35年の菅原道真千年祭の際には、かねてより計画されていた「神苑」が設置された。千年祭を記録した『千年祭北野会誌』には小川治兵衛の作庭とあるが、本当かは分からない。神苑は多くの香具師が露店を出し、「広告塔」や「軽気球」まで出されたようだ。
さらに、大正3年には、大日本武徳会による武道場「北野武徳殿」が建てられる。こうして下ノ森は祝祭・修養の場となったが、一転、昭和41年になると神苑は閉鎖され、西陣警察署がこの地に移転してくる。武徳殿も平成に入ってから閉鎖され、東山の山上へと移築された。現在の青龍殿である。
警察寮の敷地には現在も北野神苑の設置を記念する碑が建っているものの、立ち入りは禁止されている。もどかしいが、外から見るに留めておこう。失われた光景を眺めるには、きっとそれくらいの距離がちょうどいい。

重永瞬

京都大学文学部地理学専修 重永瞬

地図とまち歩きが好きな大学生。“西陣の端っこ”(お隣?)仁和学区で生まれ育つ。大学で地理学を学ぶかたわら、まち歩き団体「まいまい京都」でスタッフとガイドを務める。なんでもない街角の記憶を掘り起こしたい。古本とラーメンが好き。

2021.07.14
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今月はズバリお金事情についてです。西陣にも沢山のもの作り修行中の方がおられます。お給料は仕事それぞれだと思いますが、弟子が集まると大抵お互いのお給料の話になりがちです。昔からの徒弟制度では丁稚奉公が当たり前でしたが、今の時代、修行の身でも多少のお給料は皆さん頂いています。そうしなければ誰も入ってこないからです。しかし“1人暮らしは厳しい”程度なので皆さん悩まれています。因みに私の所は無給でした。生活費は修業の傍らのアルバイトと親からの仕送り。もちろんそれを理解した上での弟子入りでしたが、2.3年目になるとバイトもし休みなくこんなに頑張っているのに何故無給なんだとやるせ無い気持ちで一杯だった時期もありました。その度に仕事に対しての迷いも何度も生じます。仕事を継承する=続けるという事は色々な場面で覚悟を求められます。先代の方々も同じように必死になって守ってきた仕事なのだから当たり前と言えばそうなのですが。そしてもう一つ必要なものは周りの理解です。親からの支援、友人達にも沢山奢ってもらったり応援して頂きました。そうやって支えられてる人と仕事がある事を少しでも理解して頂けたら嬉しいです。

山本萌加

Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所 主任研究員 山本萌加

武蔵野美術大学(工芸デザイン学科木工専攻)卒業後、眼鏡制作者七代目山ノ瀬氏に弟子入り。眼鏡制作の修行と、師と共に眼鏡ブランド〝Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所〝の主任研究員てしてお店を運営しています。

2021.07.13
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こんにちは。
下長者町堀川を西へ行くと金谷正廣さんという昔ながらの和菓子屋があります。先日金谷さんのテレビ取材の場として好文舍を使っていただきました。

そしてそのご縁で、谷口キヨコさんが当店に。私、中学生の時から毎日ラジオを聴いていたのでキヨピーと出会えて感激です。

それはさておき、金谷さんは京セラ美術館の企画に合わせてオリジナルで生菓子を制作されたり、金工作家や陶芸作家と菓子器等を制作したりと新しい事にチャレンジされているのですが、その姿を見てこれからの伝統工芸はオーダーメイドに活路を見いだしてはと考えさせられました。

作り手が情報発信しエンドユーザーとコンタクトできる時代、既存の流通システムに頼ってばかりでなく、職人が直接顧客とやりとりしてより満足度の高い品を直接提供する。そういう事ができれば職人の町西陣の元気につながるのではとも思います。

ちなみにテレビの放送日は7/17 朝9時半からKBSです。興味がある方は見てくださいね。

宇野貴佳

好文舎店主 宇野貴佳

油小路の路地奥でギャラリー喫茶を運営しています。 目立たない店が故か、ちょっと個性的なお客様が多いように感じています。 ここでの出会いを中心に、見聞きしたあれこれをお話しできれば幸いです。

2021.07.12
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YouTubeとか雑誌とかテレビとかで、サウナについて誰かが語っている時に「整う」という言葉を必ず見聞きする気がします。でも、「整う」という言葉を見聞きすることはあっても、「整う」という経験をしたことが僕はありませんでした。先日とある銭湯に行くまでは……
「整う」というのはどんな感覚なのでしょうか。これは僕の完全な主観ですが、全身を血液が循環しているのを実感することなのではないかと思います。この非日常的な幸福感はおそらく水風呂の後の休憩時間に襲ってきます。僕の場合はそうでした。
ということで、なんだかんだ「整う」という体験を済ませた僕は、西陣でも「整える」場所はないだろうかと、インターネットで調べてみると、たくさんありました。できればこのコラムを書くまでに行きたかったのですが、時間がなく、行けていません。いつの日か報告できればと思います。
さて、ここまで何を伝えたいのかよく分からない文章をダラダラと書いてしまいましたが、ダラダラと書いてしまったのは、僕が「整って」ないからだと思います。そろそろ「整う」必要があるので、ここら辺で筆を置きます。

益田雪景

ライター 益田雪景 オサノート

広島県出身。同志社大学在学中。大学ではボランティア支援室学生スタッフARCO及び新島塾2期生としても活動中。小説家は太宰治と遠野遥、映画は「劇場」と「ミッドナイト・イン・パリ」、音楽はgo!go!vanillasとB T Sが好きです。

2021.07.11
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西陣にとてもすてきな青紅葉がある

その一つ、妙覺寺!

織田信長が、とある寺よりたくさん宿泊したお寺で
もしかしたら妙覺寺の変になってたかも!

まるごと美術館で訪れて以来 西陣でひときわお庭が輝くお寺でお庭を眺めていると時間を忘れる
本当は皆さんに教えたくないな、そんな気持ちにさせるお寺です。

コラムを通じて皆さんに私が感動した西陣をどんどん伝えて行きないなで 堂々と紹介します!

残念なのは通年で入れないお寺で 春・秋の特別拝観の時だけしか入れないんです。

写真は特別に6月 勉強会にて入らせていただいた時の物で
日蓮様・日像様についてや鬼子母神についても学ばしてもらいました。
目で楽しむ観光とお客様にお寺の魅力を楽しくお伝え出来る勉強をして来ました。

コラムを書くの難しいと思いながら4回目のコラムをなんとか書き上げました。

林亮

タクシー運転手 林亮

2019年にまるごと美術館を知り、夜間拝観にお客様をお連れし、その時頂いた福銭の5円玉がご縁を呼んで 西陣、上京区の 沢山の方々と繋がる事が出来ました。 日々 自分地元はもちろん 西陣、上京区を応援してます。

2021.07.10
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私は京都市内の宿泊施設で働いていて、宿泊客の方によく観光の相談などを受けますが、行かれる所はある程度絞られるように感じます。
清水寺、嵐山、金閣寺、伏見稲荷などが特に多いでしょうか。
他にもいろいろとありますが、西陣に行きたいという相談はほとんど記憶にありません。
晴明神社に行かれる方や、西陣から近い北野天満宮や御所などに行かれる方はいらっしゃいますが、『西陣』に行きたいという方はあまりいらっしゃらないのです。

全国的にも有名な西陣織の産地であり、街を歩けば以前より減ったものの機織りの音が聞こえ、昔ながらの町家もたくさん残っていて、上七軒の花街もあり、応仁の乱のゆかりの地で、長い歴史を誇るお寺や史跡も多く、浄福寺通や小川通の石畳、小川通周辺の茶道の家元のお屋敷など、観光するには素晴らしい場所だと思うのですが、観光地が数多ある京都だからこそ、見過ごされがちなエリアなのかもしれません。
逆に言うと、こんなに素晴らしいエリアなのに注目されていないからこそ、知っている人にとっては最高のスポットを独り占めできるエリアでもあると思います。
遠くの密な観光地に行くぐらいなら、たまには西陣をゆっくり散策してみるのはいかがでしょうか。

南知明

上京ちず部 副部長 南知明

鴨川近くで生まれ、幼い頃から近くの上京区の商店街の店主の方々に見守られ育つ。現在は「まいまい京都」商店街食べ歩きツアーなどのほか、地理好きを活かし、「上京ちず部」副部長など、上京区全般で活動。本業は宿泊業。京都観光おもてなしコンシェルジュ。

2021.07.08
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6月は青梅の季節でしたね。
フレスコ、イズミヤ、イオンにライフ…
スーパーの充実した西陣では
あちらこちらで1kgの青梅の袋詰めがみられました。
マイママ友のSNS投稿も梅ジュースに梅酒の仕込みでにぎわいます。

 

私も「梅」の漢字のつく苗字を背負う人間として、
もちろん数年頑張って作っていました。
なんなら梅の採取から梅小路公園の採取日に行って、
とって仕込んでみたりもしました。
が、
んが!
瓶の購入、消毒、毎日のシェイク、…
なんて…
なんて……めん……ゴホゴホ

 

そんな同じ心境のあなたにこっそりオススメしたいのが
「青梅の甘露煮」
です。
瓶なんてなくとも、
氷砂糖なんてなくとも、
鍋と砂糖さえあればできちゃいます。
(※レシピは検索して一番簡単そうな作り方のやつを作りなさい)
発酵して失敗の心配もありません。
あー楽チン

 

冷蔵庫に冷やしといて、ヨーグルトに混ぜたり、
ちょっと和え物に加えたりすると美味です。
最近は我が家では
そうめんもそうですが、
ざるラーメンにのせるのがマイブームです。
醤油に爽やかな甘さがたまりません。

 

暑さと湿気がうっとおしいですが、
爽やかに乗り切ってまいりましょう!

 

あいうめめ

主婦 あいうめめ

下京区から上京区へお引っ越し。 3歳と0歳の娘をもつ主婦です。 京都西陣の暮らしと子育てを綴る。

2021.07.07
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#オンラインの壁を越えて

 

同志社大学のヨリフジです。
蒸し暑くハンカチが手放せない日が続いていますね・・・。

 

さて、私は先月
町家学びテラス・西陣(京都産業大学)で開催されている
「町家オープンカレッジ」に参加しました。
現在はオンラインで開催されている勉強会で
その日は学生生活について考えました。

 

大学での時間の使い方は人それぞれ。
正解のない中で、私が大事だと思っているのは
様々なコミュニティに属して自分の考え方を見つめ直すことです。

 

私自身、この西陣に来てから
たくさんの人と話し、たくさんの価値観に触れることで
高校までの狭いコミュニティの中で形成されてきた自分を
見つめることができています。

 

しかし、今の大学1・2年生に話を聞くと、
オンライン・リアル問わず、
普段は家族とバイト先の人たちとしか関わらないという人がたくさんいます。

 

コロナ時代に入学してきた今の1・2年生、
特に、この西陣という素敵な地域に関わるチャンスがある人たちに
新たな自分の居場所・コミュニティをもつための
初めの1歩を提供できないものかな・・・

 

オンライン時代の心理的な壁を越えていきたいと考え始めました。

 

依藤菜々子

紡ぎ手 依藤菜々子

同志社大学卒業。 2020年、同志社大学が発行する今出川地域のフリーペーパー「イマ*イチ」の制作を通じ、西陣ならではの凝縮された魅力を知る。 好きなもの:アニメ/クラシック音楽/ミッフィー

2021.07.06
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高校に入った年の夏、父が「町内で撮影するから牛乳屋の看板を3日程外させてくれと言ってきたわ!」。その話を聞いた時、何のことかあまりピンと来なかったのですが、その日が近づくにつれとんでもない人がロケにくるということがわかりました。その年をもって引退するという山口百恵さんが最後の映画「古都」の撮影が町内で行われるというのです。京都が舞台となった川端康成原作の物語、主人公の家の前のロケ地としてうちの町内が選ばれたようです。
それからは町内の同級生と授業をいかにさぼって、どこでどう見るかを必死で考えました。撮影は2日間で確か土・日曜日の朝であったと記憶しており、土曜日は学校に行かず、ロケ場所となった家の真正面で待機しました。引退間近の百恵ちゃんはもちろん、ロケ2日目の早朝は道路に塩を撒いて煙幕を焚き冬の朝もやを作り出す様子など、映画の撮影という見たことも無い現場を目の当たりにしてとても興奮したことが思い出されます。

ロケ場所は今では見る影もありません。作品中の古い京都の町並みはどんどん失われつつあります。けれど映画の中にわずかに映る実家やその周辺の景色はぼくの幼い頃の西陣の記憶そのものです。物語には祇園祭も描かれており、毎年この時期になると懐かしく思い出されます。

岡田健

光都紙工有限会社 代表兼デザイナー 岡田健

西陣の南東?の牛乳屋の息子として生まれ育って五十数年、今は極小印刷会社の代表取締役兼デザイナーです。ウクレレとコーヒーが好きです。

2021.07.05
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「パンの海に溺れてしまう…」
そう呟くのは、お寺によく遊びに来てくれるミライちゃん。

美味しいものが大好き。とりわけ、パンが好きでたまらない彼女。
普段は他府県に住んでいるのですが、京都に来た際には寳幢寺に逗留してはパン巡りを敢行。なんでも、京都のパンレベルと格が圧倒的過ぎて、もはや聖地巡礼レベルなのだとか。

彼女はネット上の情報は参考程度に、実際に訪れたお店の雰囲気やメニュー構成、パンの配置、照明に至るまで様々な情報を一身に感じ、これぞ!と思うパンを選び出しては皆にふるまってくれるのです。

彼女のパンセンサーにヒットしたパンたちの美味しさたるや、我々は今まで京都に暮らしながら、なんと漫然とパンを食べていたことかと認識が変わっていくレベルです。
大好きなパンの魅力や美味しさを語ってくれる彼女との食卓は本当に豊かで、 心から大好きなものをみんなで分かち合うことがこんなに幸せなんだなぁと、いつも教えてもらっています。

ちなみに、ミライちゃんイチ押しの殿堂入りパン屋さんは西陣エリアから少し北。千本北大路にある『たまや』さん。そしてその更に北の鷹峯にある『クロア』さん。どちらも絶品パンが居並びます。

松波さゆり

和裁士 松波さゆり

岡山県出身。布好きが高じて京都で学び暮らし始めて早18年目。プロの和裁士としてテレビドラマの衣装をはじめ様々な仕立てを手掛ける。現在は市民運営の寺院 ”寳幢寺”のスタッフとして日々を過ごしながら、社会や地域に貢献できることを模索しています。