西陣にまつわる
人々による
ウェブメディア

4/20

西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2021.07.26
Written By

暑い。まったくもって暑い。

梅雨が明けたと思ったら、いきなりの猛暑。さすが京都の夏である。
鬼アチィ。

西陣に引っ越してきて8年ほど。恐らく150年以上前に建築された町家をリノベーションして住んでいるのだが、江戸時代の流れをくむ厨子二階(通称 中二階)の暑さは半端ないのだ。夜になっても全く温度が下がらない。

上がった瞬間に意識が飛びそうになるが、流石に最近は慣れてきたのか?意識を保ちつウロウロ、寝る前の準備も慣れたものになってきた。慣れってすごい。

ところで梅雨が明ける時期といえば祇園祭。

今年は鉾も立ち、見学にくる人たちも街に繰り出している。コロナ禍での疫病退散の鉾を見ると、少しずつ私達の住む世界も落ち着きを取り戻してきたのかなと安堵する。今年はご縁があって月鉾の粽を玄関に祀らせて頂きました。

皆さん、病魔の恐れも忘れないようにしなければならないが、熱中症にもくれぐれもお気をつけて。

ミツギタカユキ

デザインカタリスト ミツギタカユキ

20歳より渡米し、大学にて彫刻からインタラクティブアート、デザインなど幅広い分野を学びつつフリーのデザイナーとして活動。帰国後京都に移住。現在西陣にてデザインカタリストとしてウェブ制作からデザインに纏る企画・運営など幅広い分野で活動を行う。

2021.07.25
Written By

去る2021年7月20日、娘が、お年玉付き年賀はがきの引換期間の最終日を忘れていなかったようで、朝から郵便局に行きたいとせがむので、一緒にいく約束をした。
そのあと、午前中の仕事に熱中していると、気づいたときには、昼過ぎで、すっかり郵便局にいくことを忘れていた。
またその日は、娘も習い事があって、帰ってくるのが18時過ぎになるみたいで、娘が不機嫌になった。
よかれと思って「引き換えは、パパが一人で、行こうか?」と言ったことが、いけなかったようだ。そういう気遣いが、まったくニブチンで、そもそも娘の目的は、お年玉賞品じゃなくて、パパと一緒に郵便局に行きたかったみたい。
ハッとしたときには、すでに遅しと思ったが、西陣郵便局は遅くまでやっている印象があったので、調べてみたら平日19:00までやっていた。
そのあと娘と仲良く、3等のお年玉切手シートを2枚交換しました。近くに西陣郵便局があって良かったと思うそんな日でした。
西陣に来た際は、そんな西陣郵便局に足を運んでみてはいかがだろうか。

亀村佳宏

映像ディレクター 亀村佳宏

1978年に京都市(北区平野)で生まれ育ち、2002年、上京ののち、PV、スポット CM 制作を経て、撮影技術やコンポジット編集技術を習得。2009年に京都に拠点を戻してから、個人事務所で映像や写真の仕事をしております。趣味:卓球

2021.07.24
Written By

梅雨が明け、子どもたちは今週から夏休み。
お道具箱やハーモニカ、みんな大きな荷物を持って大宮通を歩いています。
ミライブラリでもいよいよ朝から賑やかな毎日がはじまります。
子どもたちの声をいろいろ聴きながら、夏休みに向けての最後の準備を進めています。
声と言えば、前回のコラムでも、子どもたちから夏休みの計画の声が
聴こえてくるというお話をしました。
最近も、もう間近にせまった夏休みのやりたいことの話でよく盛り上がっています。
「クワガタを捕まえたい!だから仕掛けを研究する!」
「夏休みをつかってマンガを完成させたい!」
「キャンプに行って魚を釣る!」
といった感じで子どもたちのやりたいことは様々ですが、
昨年に比べ、夏休みを待ち遠しく思う気持ちがみんな強いように感じて、
やりたいことを話している顔がみんないきいきしていて。
いろんな考えがあるかと思いますが、
子どもたちの夏はやっぱりこうでないと、と密かに嬉しく感じています。
(写真は子どもではなくおとなが捕まえたクワガタ。おとなでもテンションあがります。)

村上弘

特定非営利活動法人 代表 村上弘

特定非営利活動法人SOWERS代表 放課後の時間に、多様な体験を届けるafter schoolミライブラリを運営。子どもたちの今とこれからを考え、放課後の選択肢とその可能性の拡張を目指し、日々活動しています。

2021.07.23
Written By

実家を離れて大阪に下宿をしていた頃
近所の人との交流は皆無だった。
アパートという集合体にも関わらず、唯一のコミュニケーションはうるさいですというクレームのノックだけであった。

西陣に移り住み、小さな路地にお店を構えるいま、近所とのコミュニケーションは多種多用だ。

店の前の子供とは戯れあい、その子供に時折おじいさんが怒号をあげ、昔ながらの回覧板を回し、ダムダムとバスケットボールが跳ねる音を聞きながらコーヒーをいれ。
挨拶ついでに少しだけ会話をする。

当時の自分からしたらこの距離感は新鮮である。めんどくさいこともあるけどいいこともたくさんあるよ。近所とのコミュニケーションをとるのは昭和の話と思っていた学生時代の自分に教えてあげたい。

変わりゆく路地の中に
これからも変わらない昭和の香りが残るといいな。

森 風渡

風とCOFFEEオーナー 森 風渡

2020年10月に"風とCOFFEE"を西陣京極にオープン。コーヒー屋には不向きとされる入り組んだ路地奥にて自家焙煎を行う傍ら、京都で1番ディープな路地(自称)である西陣京極に新たな風を吹かせるべく奮闘中。

2021.07.22
Written By

バザールカフェでは複数のシェフが、それぞれにルーツのある国の家庭料理を日替わり料理としてふるまっています。タイ、フィリピン、インドネシア、韓国など。いつだって目にも舌にも楽しい料理ばかりなのですが…先日、開店前に味見をした時のこと。

あれ、このスープ何入れた?と店長。
するとシェフは「ミント入れたらおいしいかなと思って…」とバツが悪そうな顔。
まずは店長、「悪いとかじゃないよ!」と一言。それから、ハーブの香りが苦手な人もいること、今後ハーブを使用するときは通常のスープと分けて作る提案などを、丁寧にシェフに伝えていました。キッチンに居合わせたボランティアの方やスタッフも次々に意見を出し、シェフも納得した様子で、すぐに和やかな雰囲気に。

自分の想定外のことが起こったとき、アクシデントが起こったとき、そのことやその人を責めたり排除したりするのではなく、できる限りの人の考えや感覚の参画をもって、じゃあどうしたらよいか、を考える。それを繰り返していくことで、共同体としてしなやかさを増していくのだなぁと思った場面でした。

そんな積み重ねが詰まったバザールカフェの日替わり料理、ぜひ召し上がってみてくださいね!

狭間明日実

バザールカフェ店員 狭間明日実

バザールカフェ事務局6年目。日々の営みをとおして、場から起こるもの、個人がのびのびと生きることなどを考えています。 傍らで、地域、福祉、食べることにまつわるいろんな仕事や遊びをしています。 同志社大学社会福祉学科卒業。社会福祉士。海が好き。

2021.07.21
Written By

祇園祭りの季節には必ずすることがある。伯牙山の粽に山田松の線香を添え、東京のある年配の女性に送ることだ。しかしコロナ禍は京都伝統の祭事にも影を落とし今年も山鉾巡行が無い。ただ昨年販売も無かった粽は今年は手にすることが出来た。

平成29年春、突然の訃報に私は言葉を失った。日本橋で眼鏡舗を営む友人の早逝。翌年「現当主が逝去して事業の承継が困難となり、それとともに永年培ってきた技術の継承ができなくなりました」と案内が届く。400年の暖簾に幕。我が家とも付き合いが深く、14代当主は私の面倒を見、15代目はまるで私を兄のように慕ってくれた。まさに襷掛けの継承である。

日本にこの二人だけでもいれば本物が遺せると思った。あとは私がその日本一敷居が高い店に相応しい眼鏡を作るだけだ。そうして仕事を極めに京都に来た。彼もまた私が作った眼鏡を先代に見せられて、修行先のドイツに居ながらでも、古びた店を継ぐ勇気を持てたそうだ。

*伯牙山は中国春秋時代に、古琴の名手伯牙とその良き理解者である鐘子期の物語に由来する山だ。唯一無二の自分の音を知る友、鐘子期の死を知り、自ら弦を切って伯牙はその後二度と琴を弾くことは無かったと云う。

山ノ瀬亮胤

眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長 山ノ瀬亮胤

京都市上京区在住。眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長。芸術~工芸に拡がる独自分野の構築で国内外より評価され欧州ハプスブルグ家御用達。マスメディアでの出演・取材多数。豊かな江戸庶民文化と職人の心を紹介している。

2021.07.20
Written By

昨日もいつもどおり自転車にのって駅までいった。自転車のタイヤが最近すり減ってきて横側におおきな亀裂がはいっている。自転車屋さんはもうすぐタイヤを変えた方がいいよと言ってくれるがなかなか変えれてない。なので最近はいつパンクするか不安なまま自転車を漕ぐことが多くなった。
ただ、なぜか「まだいけるまだいける」みたいな自分でも理解できない自信がいつもあって。。たまに失敗する。パンクしちゃって結構お金かかっちゃうんですよね。。

もう一つ変えれてない理由は自転車のタイヤ修理を目的に移動するのはいやで、何かのついでにタイヤ修理をしたい。欲をいえば目的地の近くに自転車屋さんがあってタイヤを修理している時間に目的を達成したい。もっというといろんな細かいタスクを流れるような移動で達成したいんです。移動距離をいかに少なくして、時間をたくさん作れるか。
この町に住んでいると基本的に自転車移動なのでそう思うようになったなぁ〜
まあそううまくはいかないか

小野友資

Y小 小野友資

2007年より1-10に参加、モーションデザイナーとしてウェブサイトからデジタルサイネージまで様々なフィールドに渡る制作に関わる。在籍中の2013年個人活動としてYUYBOOKSオープン。本をコミュニケーションツールとし、企画やデジタル作品を展開。2016年よりデジタルの活動をフリーランスへ。デジタルつかってアナログなもの集めています。

2021.07.19
Written By

7月最初の日曜、昼下がりのこと。「はるちゃん、カラオケいるから、来たかったら来て〜」。震えたスマホを確認すると、友人からのお誘い。そうか、緊急事態宣言明けたんだ。お茶するんじゃなかったんかいと心の中でつっこみながらも、「行くー!」の即レス。西陣のまちなみと北野天満宮を自転車で颯爽と通り過ぎたところ、北野白梅町のカラオケがわたしたちの御用達。その日は声を掛けてきた馴染みの友人と、リアルで会うのは初めまして(オンラインでしか話したことない、はご時世あるあるだ)の友人もいたので、3人以上で遊ぶのは久しく、大分はしゃいでいた。

「勝手に楽しんでるけど、楽しいから、来たかったら来てね」という姿勢は付き合い方として非常に心地がよい。責任感もプレッシャーもないし、とても自由に思う。「人に会う」、もそうだし、「場を訪れる」、もそうだ。

行かなくてもいいんだけれど、行ったら、楽しい、刺激的で、人や物との出会いがある。美味しい、とかもあるか。心が安らぐ、とか。好きなお店とかね。西陣のまちにも、思い当たる節があるでしょう?

そういった関わりを、近くにたくさん置いていられたなら、人生豊かだよなあと思うのです。

龍田 春奈

咲里畑 届けびと 龍田 春奈

1993年京都生まれ。西陣育ち。京都市西京区大原野「咲里畑」にて、季節の多品目の野菜、ハーブ、エディブルフラワーを、農薬や化学肥料を使わず育て、販売している。農ある暮らしの中に感じる豊かさを、人に届けることに喜びを見出しています。

2021.07.18
Written By

 

「吾輩は路地である、まだ名前はない」・・・なんてフレーズをつぶやきながら、雨の中、西陣の一角を歩いていたら、路地の入り口に、こんな表示板を発見しました。同じ通りには、アニュアル・ギャラリーの運営する、ものづくり工房・クラフテリアが入っている「赤レンガ路地」も。この表示版、下部の小さなアクリルプレートには、西陣織かな?、きれいな布の一部らしきものが。路地ごとに布の色も柄も違って、地域性を活かした素敵なアイデアです。あとで知り合いに聞いたところ、路地の名前は地元小学校の生徒が考えたそうで、アクリルプレートは、通り抜けのできる路地とできない路地を区別して、長さの違う2パターンがあるのだとか。実はぼくも東京の向島時代、アーティストを招いた小学校のワークショップをお手伝いした際、子供たちに好きな路地に名前をつけ、そこにふさわしいモノを作ってもらったことがあります。猫がたくさんいる「ネコ路地」に、猫と一緒にくつろげるベンチを贈ったら、住人の方が喜んで使ってくれました。身近な場所に「名前がある/名前をつけてみる」。遊び心のある小さな工夫が、ぼくらとまちの距離を、ぐっと近づけてくれます。

 

曽我高明

ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター 曽我高明

東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。

2021.07.17
Written By

介護予防教室の参加者から、「認知症にだけはなりたくない」という声をよく聞きます。
でも、90歳以上の方の約60%が認知症というデータもあるくらい、認知症は珍しくない病気です。なので、認知症になることを前提とした生活様式や地域のあり方を考えていく必要がある、と、ずいぶん前から言われてきました。

認知症になっても、これまでと変わらず住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、地域の中で助け合える仲間の存在が大切です。
誰もが無理のない範囲で、ほんの少しの興味・関心を持って、自分にできることを考えるだけでも、世の中はもっと暮らしやすく、楽しくなると思っています。

そんな中、最近、「チーム上京!」なるものが動き出しました。
認知症の当事者の方と出会い、話し、それぞれの得意なことや関心を繋いで輪を広げていく取り組みです。そんな小さな輪が、このまちのあちらこちらに拡がることで、大きなうねりを生み出し、「認知症にだけはなりたくない」から、「認知症も悪くないよね」に変わっていったらいいなあ。

認知症にやさしいまちは、きっと障がい者にも、外国人にも、コロナ患者にもやさしいまちだと思います。
まずは、ほんの小さな一歩から。

中島慶行

京都市小川特別養護老人ホーム 施設長 中島慶行

立命館大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。 2009年より2年間、京都市小川特別養護老人ホーム副施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長を務めたあと、伏見区の施設に異動。 2019年、京都市小川特別養護老人ホーム施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長として復帰。 銭湯と牛乳とじゃこ天が好きです。