西陣にまつわる
人々による
ウェブメディア

6/28

西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2021.04.27
Written By

桜の小道にて

とようけのお豆腐屋さんで買い物をし七本松通りのなだらかな坂を自転車で帰っていた朝。
まだ朝も早かったのでぼーっとしながらペダルを漕いでいると、目の端に鮮やかな景色が映って思わずわっと声を出して自転車を停めました。
細い道に桜が咲いていて地面には落ちた花びらが線を作り道の奥へと続いていました。

道に入ると桜木の高さがだんだんと低くなりアーチを形作っていて雪のようにはらはらと花びらが散っていきます。
身体をかすめていく花びらはゆっくりと落ちていき、体感する時間が遅くなっていくようでした。
そのあまりにも突然居合わせてしまった小道は僕がそれまでいた七本松通りから遠く離れた場所に誘い込んでいるに思えて、あぁ美しいものは畏ろしいんだなと感じそっと引き返しました。

もといた七本松通りに戻るとすっかり目が覚めていて、通りにいる車や人を見ながら帰りました。
春はあらゆる命が芽吹き波打つことで力強く世界がうねる季節ではないでしょうか。

 

あの朝僕はそんな「春の渦」のようなものに踏み入れてしまったのだと思います。

黒田健太

紡ぎ手/綴り手黒田健太 オサノート

初めまして、 西陣に住んでいる黒田健太です。 夜のがらんとした千本通を歩くのが好きで、たまに夜中に出かけます。生活をしていると忘れてしまうのですが、そんなささやかな時間にときどき立ち寄りたいと思っています。

2021.04.26
Written By

西陣に愉快な路地が飽きるほど点在しているが、

西陣は移動すればするほど飽きない発見があるような街かと。

 

その中でも私が愛してやまない路地は西陣ろうじの少し南側に入り口を構える細長い路地である。横幅2mにも関わらず長さは100mほどある。歩行者や自転車ですら一方通行を強いられそうなこの道では、 すれ違いざまに”ありがとう”と一言思いやりが感じられる。

あまりにも横幅が狭く入口からは出口が見えないことで居住者以外はここが道であることを認識できないのもロマンを感じる。

 

まるでダンジョンのごとく先に何があるかわからない道をあえて通って今日も家に帰ろう。

森 風渡

風とCOFFEEオーナー森 風渡

2020年10月に"風とCOFFEE"を西陣京極にオープン。コーヒー屋には不向きとされる入り組んだ路地奥にて自家焙煎を行う傍ら、京都で1番ディープな路地(自称)である西陣京極に新たな風を吹かせるべく奮闘中。

2021.04.25
Written By

はじめまして。after schoolミライブラリの村上といいます。

ミライブラリは子どもたちの放課後の居場所、遊び場です。

西陣にこの場所を開いて、この4月で4年目を迎えました。

 

今回、こうした機会をいただいたので、子どもたちに関わる大人として、 普段このまちで感じていること、あと子どもたちが見ている世界についても ふれていけたらと思っています。

 

さて、今日は西陣のまちの人と子どもたちについて少しだけ。

ミライブラリでは、子どもたちと一緒に船岡山や天神公園によく遊びに行きますが、 その道中でいろんな地域の方と出会います。

面識のある方ばかりではないのですが、 通りかかると、いつも笑顔で挨拶をしてくださったり、「ええ天気やなぁ」、 「どこ行くん?」と子どもたちに声を掛けてくださいます。

こうしたことも実は中々難しい世の中ですが、このまちの皆さんが、子どもたちを大事に思っておられる気持ちが子どもたちに伝わって、やっぱりいいなぁと思うのです。

昔に比べ、子どもと大人の距離が少し開いてしまった今の社会。互いに良い方向で、もう少し近づいていけるといいなぁと、 あらためて思う今日この頃です。

 

これからよろしくお願いします。

村上弘

特定非営利活動法人 代表村上弘

特定非営利活動法人SOWERS代表 放課後の時間に、多様な体験を届けるafter schoolミライブラリを運営。子どもたちの今とこれからを考え、放課後の選択肢とその可能性の拡張を目指し、日々活動しています。

2021.04.24
Written By

先日、西陣のまちを久しぶりに歩きました。西陣は京都に来てはじめに住んだまちです。その頃は超貧乏でした。

 

そうそう、このスーパー。 家具もほとんどなかった私。納品で使ってはるあのリンゴ箱、棚にして使えるなぁ…。そう思って貰えませんかと尋ねてみたら、ベテランであろうおばちゃんが「好きなだけ持っていき」と。…じーん。喜び勇んで1つずつ担ぎ、スーパーとうちを3往復したのでした。

 

それから今まで、多くの人に出会わせてもらいました。そして形があったりなかったりする多くのものを、私は今もいろんな人から貰って生きています。

 

何か貰うときにはいつだって感情が伴うものです。私も社会の一員なんだなぁという安堵だったり、誰もが本当はお金やモノを沢山持っていなくても生きることができるんじゃないかという希望だったり…。

 

なかでも私にとって感情が大きく揺さぶられる「バザールカフェ」という場所が、今出川駅のすぐそばにあります。カフェに居ついて7年目。ここで日々起こるできごとをちょっとずつ、これから皆さんにシェアできたら嬉しいです。

 

それにしても、始まりは西陣にあり。リンゴ箱は現在もウチで活躍中です。

狭間明日実

バザールカフェ店員狭間明日実

バザールカフェ事務局6年目。日々の営みをとおして、場から起こるもの、個人がのびのびと生きることなどを考えています。 傍らで、地域、福祉、食べることにまつわるいろんな仕事や遊びをしています。 同志社大学社会福祉学科卒業。社会福祉士。海が好き。

2021.04.23
Written By

堀川の工房前にある一本の銀杏。春は鮮やかな新緑に、秋には黄金色に彩られ工房の中を照らします。この木は四季徒然に私を見守ってます。西陣東側を縦貫する堀川通は美しい銀杏並木が好ましい景観を作っています。

 

かつて私は、江戸金枠を継いではいるものの家業の未来は描きづらく、最後に心意気だけでも遺せればと思っていました。

 

あの日東日本大震災が東北を襲い、大きく自分を突き動かすきっかけとなりました。志を携えていても人生は仕事を成すには短かすぎます。そこで新たな制作への刺激を求めて東京から京都に工房を移転しました。

 

工房で身につくことは技術の初歩にすぎません。いつでもこれからが本当の修業の始まりです。その見方では私も修業中の身。いまは愛弟子と共に学ぶ日々を送っています。願わくばこの子の修業人生が順調でありその末に「良かった」と思えるようであって欲しいものです。

 

京都のものづくりはミクロの世界に分け入るような印象(個人的な感想です)。それだけに囚われてしまったら迷宮に入りにかねません。外界に発出する仕事であることを強く意識していこうと思います。

 

これから西陣に暮すこと、作ること、継承のことなどを綴って行きたいと思います。拙い文章ですがどうぞよろしくお願いします。

山ノ瀬亮胤

眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長山ノ瀬亮胤

京都市上京区在住。眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長。芸術~工芸に拡がる独自分野の構築で国内外より評価され欧州ハプスブルグ家御用達。マスメディアでの出演・取材多数。豊かな江戸庶民文化と職人の心を紹介している。

2021.04.22
Written By

ぼくは西陣の南の方に住んでいる。

ここを西陣といってもいいのかなという場所だけどほんとはwikipediaで調べた西陣の範囲ではなさそう。

まあ〜いいか。みんなも西陣の範囲は曖昧だろうし。たぶん。

一応wikipediaの定義にあった範囲をかいておくと「おおむねの範囲は、西限が七本松通、南限が一条通、東限が小川通、北限が上京区・北区の区境である。」ですって。ふーん。

東が小川通までっていうのが結構以外。堀川はこえるんですね。

あれっでも北の方すごい曖昧。google Mapsで上京区と北区の区境をしらべると複雑に入り組んでいるのがわかる。画像参照。

そうなると鞍馬口通りあたりの西陣といえばのあたりは北区だし。

おおむねの範囲っていってるからそのあたりざっくりなんでしょね。

だとすると僕の家も西陣!っていったら許してもらえるんだとおもう。

西陣はだれのものでもない。

小野友資

Y小小野友資

2007年より1-10に参加、モーションデザイナーとしてウェブサイトからデジタルサイネージまで様々なフィールドに渡る制作に関わる。在籍中の2013年個人活動としてYUYBOOKSオープン。本をコミュニケーションツールとし、企画やデジタル作品を展開。2016年よりデジタルの活動をフリーランスへ。デジタルつかってアナログなもの集めています。

2021.04.21
Written By

こんにちは、初めまして。西陣生まれ、西陣育ち、龍田春奈といいます。「わたしにとって西陣のまちってどんなところだろう?」と考えたとき、それは幼少期の、学生時代の思い出、そして現在の風景と重なります。それはあまりに日常的すぎて、どこをどう切り取ったらドラマチックになるだろうかなどと、しばし思考を巡らせてみるも、どうも収拾がつかない。思い出がとっ散らかったまちである。

 

近すぎて知らないことってありますよね。それは知ろうとしなければ知り得ないこと。ずっと京都に住んでいる人よりも、外から入ってきた人の方が京都についてよっぽど詳しいなんてことザラだし(これは京都ならではのことかもしれないし、代々住んでいるからこその不文律はもちろんあるけれど)。その点同じテーマで書くリレーコラムって、いろんな人の目線を通して、西陣を見ることが出来る。

 

少し前に読んだエッセイ集の帯に、こんなキャッチフレーズが書いてありました。「人生はドラマではないが、シーンは急に来る」。なるほど、これからわたしの生活の中のシーンを切り取って、こうしてリレーコラムになるなんて面白いじゃないの。オサノート、どうぞよろしくお願いします。

龍田 春奈

咲里畑 届けびと龍田 春奈

1993年京都生まれ。西陣育ち。京都市西京区大原野「咲里畑」にて、季節の多品目の野菜、ハーブ、エディブルフラワーを、農薬や化学肥料を使わず育て、販売している。農ある暮らしの中に感じる豊かさを、人に届けることに喜びを見出しています。

2021.04.20
Written By

東京から西陣エリアに拠点を移し、そろそろ4年。でもぼくが初めてここに来たのは、そう、昭和末期のバブルの始まる少し前、1987年だったと思います。その当時、明治から昭和初期に建てられた近代建築を巡るまち歩きにハマって、建築史家の藤森輝信さん(今は建築家としても活躍)のガイドブックを片手に、関西にまで足を伸ばし、建物の写真を撮ったりしていました。何が面白いの?って言われると困りますが、切手集めや昆虫採集みたいなもんでしょうかね。で、そのとき西陣で見たのがこの建物。1921年、岩本禄の設計した旧・京都中央電話局西陣分局(現・西陣産業創造会館)です。正面に女性レリーフがある大きな半円形を設け、その中央にドンと出窓を配し、ほかには特に目立った装飾のないシンプルな外観。公共建築を西欧の古典的様式で飾るのが普通だった時代、ものすごく斬新な建物だったはずです。ちなみにこのレリーフ、つい最近京都国立近代美術館で開催された「分離派建築会100年」展に、型取りしたものが展示されていました。その上、同じ意匠でつくった落雁をミュージアムショップで販売していて、さすが京都だな〜と感心したり。

曽我高明

ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター曽我高明

東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。

2021.04.19
Written By

社会福祉の仕事に就いて20年以上が経ちますが、異動がある身分なので、西陣界隈はまだ3年目の新参者です。

 

福祉は、「ふだんの、くらしの、しあわせ」のことだと言われています。

 

馴染みのお店や、居心地の良い場所で、おいしいものを食べたり、美しいものを観たり聴いたり、気の合う人とおしゃべりしたり。

 

たとえ身体が不自由になっても、住み慣れた地域で、何気ない日常の中に、些細な喜びや楽しみをたくさん見つけていくことが、福祉の本質だと思っています。

 

他の執筆メンバーを見ていたら、どうも自分だけ浮いているような気がしないでもないけれど、私の立場からすると、「西陣×福祉」の視点から、「ふだんの、くらしの、しあわせ」について、何か書ければ良いのかな、と思っています。

 

そんなことを言いつつ、案外、帰り道にある、おいしいパン屋さんのこととかを書くかもしれませんが、それはそれで、私にとっては、「ふだんの、くらしの、しあわせ」です。

これから、どうぞよろしくお願いします。

中島慶行

京都市小川特別養護老人ホーム 施設長中島慶行

立命館大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。 2009年より2年間、京都市小川特別養護老人ホーム副施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長を務めたあと、伏見区の施設に異動。 2019年、京都市小川特別養護老人ホーム施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長として復帰。 銭湯と牛乳とじゃこ天が好きです。

2021.04.18
Written By

私は資料館や博物館のたぐいがたまらなく好きだ。薄暗く、静かな展示室の中に、それ自身は何も語らない“モノ”がたたずむ。はるか昔からほんのひと昔前まで、さまざまな時間がそこに詰め込まれている。資料の保存のために管理された温度や湿度すらも心地いい。私は資料なのかもしれない。  “モノ”を展示する資料館は、それ自体も歴史的な価値を持った“モノ”である。中でも私が好きなのが、西陣の一角にある「京都市考古資料館」である。この建物は、建築家・本野精吾の設計で、大正3年に「西陣織物館」として建てられた。西陣織会館の前身である。  そののっぺりとした姿は、ウィーンにある「ロースハウス」というモダニズム建築によく似ている。ロースハウスの設計者、アドルフ・ロースは「装飾は罪悪である」という過激な言葉で知られ、装飾のないシンプルな建築を好んだ。西陣織物館も、その流れの影響を受けている。  西陣織物館は、西陣の中でも富裕な生糸問屋が集まっていた「千両ヶ辻」のそばに建てられた。西陣織と言えば、華美を極めた色鮮やかな高級織物である。その西陣織が、装飾をそぎおとしたストイックな建物に展示されている。そのギャップが面白い。

重永瞬

京都大学文学部地理学専修重永瞬

地図とまち歩きが好きな大学生。“西陣の端っこ”(お隣?)仁和学区で生まれ育つ。大学で地理学を学ぶかたわら、まち歩き団体「まいまい京都」でスタッフとガイドを務める。なんでもない街角の記憶を掘り起こしたい。古本とラーメンが好き。