西陣にまつわる
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西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2021.11.18
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《 夜散歩のすすめ 》

晩夏の頃に暑さと人との接触を避けて、散歩の時間をシフトしたのが夜散歩の始まりでしたが、いつの間にか習慣となってしまいました。
秋深しとなった今、いつまで続くかは流石に寒さ次第ですが、長続きしている理由は、昼間には気づかない街の姿に触れられたことです。

京都の夜は街灯もまばらで、懐中電灯が頼りになります。
従って足もとを見て歩くことが多くなるのですが、そこで思わぬ発見がありました。

ある晩、府庁前の水道管工事の現場を通りかかった時のこと。
掘り起こしたアスファルトを簡易舗装し直した跡に、もとあった道路標示のペイントが、たぶん工事関係者(プロの道路標示作業者ではない)の手によってスプレーで書き直してあるのを見つけました。

正式な道路標示ではないようで、道路交通法上どこまで効力があるかは不明ですが、身近な「止まれ」だったり「自転車の通行区分」であったり。
ゲリラ的に出現するこの素人っぽい路上アートが結構愛嬌があって面白い。
なかには描き方を迷ったのか、練習した痕跡まで道路に残してあるものも。
以来、ペイント補修画像のコレクターとなってしまいました。

元のペイントが1/10ほどしか残ってなくても、それをもとに全体を書き足すのは、なんか考古学的復元作業を彷彿させます。
これも古都らしい文化のひとつなのかもしれませんね。

山ノ瀬亮胤

眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長 山ノ瀬亮胤

京都市上京区在住。眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長。芸術~工芸に拡がる独自分野の構築で国内外より評価され欧州ハプスブルグ家御用達。マスメディアでの出演・取材多数。豊かな江戸庶民文化と職人の心を紹介している。

2021.11.15
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11月22日は、学生時代の恩師・廣末利弥先生の命日です。

1980年代初頭、まだ老人福祉施策が十分行き届いていない時代、西陣地域を中心に、機織りの音が聞こえる場所で余生を過ごしたいという願いを集めて「北・上京老人ホームをつくる会」が結成されました。
その願いは社会福祉法人七野会へと結実し、廣末先生はその代表を長く務めておられました。

卒業後も勤める法人は違っても、飲みに連れて行ってもらっては、高齢者福祉や社会のあるべき姿について意見を交わしました。
酔った先生はいつも、「寄付を集めて回ったときに一人暮らしのおばあさんが箪笥の奥から出してきた、しわくちゃのお札の温かみを忘れたことはない」と、同じ話をされるのでした。
晩年は、十分な介護サービスが受けられない過疎地へのサービス提供に熱心でした。
「お前がやれ!」と叱られたこともありますが、不本意ながら今も着手できていません。

今、先生の「福祉社会の担い手に求められるもの」という論文が手元にあります。
介護保険制度がスタートした直後に書かれたものですが、ここに書かれている「介護保険制度が老人福祉のすべてではない」という言葉は、しっかりと後進に伝えていきたいと思います。

中島慶行

京都市小川特別養護老人ホーム 施設長 中島慶行

立命館大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。 2009年より2年間、京都市小川特別養護老人ホーム副施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長を務めたあと、伏見区の施設に異動。 2019年、京都市小川特別養護老人ホーム施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長として復帰。 銭湯と牛乳とじゃこ天が好きです。

2021.11.14
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地図はデカければデカいほどよい、という安直な自説をここに開陳する。長年の持論というわけではなく、ほんの小一時間前に思いついた考えである。
ちょうどこのコラムを書いている今日、オサノートのリレーコラム執筆者で交流をする会があった。場所はオサノートの読者ならおなじみ、「KéFU stay & lounge」である(ピンとこない人は直ちに、直ちに調べてほしい)。そしてKéFUの壁には京都の地図が大きく描かれている。デカい。
これを見て思った。地図は大きさこそ正義だ。江戸時代の絵図には、たたみ一畳分ほどもあろうかという大絵図もある。部屋いっぱいに広げ、まわりを囲んで見たのであろう。地図は全体と部分の関係が重要だ。細部の街路形態と全体の都市構造の両方を見ようと思うと、やはり地図は大きくあってほしい。
大きい地図を置くなら大きい空間が必要だ。伊能忠敬の伊能大図なんて体育館いっぱいに広げないといけないそうじゃないか。そんな大きな空間は当然地図にも描かれる。もっと大きい地図だと、“地図が地図に描かれる”なんてこともあるかもしれない。じゃあ現実の街そのものと同じ大きさの地図だと…?
うーん、大きすぎるのも考えものだ。KéFUの地図くらいがちょうどいいのかもしれませんね。

重永瞬

京都大学文学部地理学専修 重永瞬

地図とまち歩きが好きな大学生。“西陣の端っこ”(お隣?)仁和学区で生まれ育つ。大学で地理学を学ぶかたわら、まち歩き団体「まいまい京都」でスタッフとガイドを務める。なんでもない街角の記憶を掘り起こしたい。古本とラーメンが好き。

2021.11.12
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西陣夜散歩。

もの作りの仕事はほぼ一日中座りっぱなしになります。
最近、運動と気分転換を兼ねて仕事が終わってから師匠と“ぶらり夜散歩”をしています。

エリアは上京区内なのですが、西陣エリアは見所というか、散歩しがいがあるエリアなので度々脚を運んでいます。

まず、夜散歩の良い所は昼間とは景色がガラリと変わるところです。いつも日中に通っているお馴染みの道でもあれ?こんな所あったかな?と新しい発見が毎回あります。

特に京都は他県に比べて街頭も少なく、ネオンや明るい看板も殆どありません。表に面したお店なども店内がオープンに見えるというよりかは、小さなと看板と暖簾のみで判別する他ないようなお店が多いような気がします。
なので、日が落ちて暗くなり店内からの灯りで初めて発見出来るお店も沢山あります。

さらに見過ごしてしまう様な細い路地も、路地奥の灯りで見つけられたり探検気分を存分に味わえるエリアが沢山あるのです。いつも懐中電灯装備して歩きます。

1番の発見は、懐中電灯片手に散歩している人の多さ!
小さい子からお年寄りまで皆さん探検しているようです。。

皆様も夜散歩ぜひ!

山本萌加

Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所 主任研究員 山本萌加

武蔵野美術大学(工芸デザイン学科木工専攻)卒業後、眼鏡制作者七代目山ノ瀬氏に弟子入り。眼鏡制作の修行と、師と共に眼鏡ブランド〝Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所〝の主任研究員てしてお店を運営しています。

2021.11.11
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きょうはいい事いっぱいありそうな11月11日。ポッキーとプリッツの日として最近は知られていますが、実は「西陣の日」らしいですよ。ご存知でしたか?

応仁の乱が治まったのが文明9年11月11日。以降疎開していた織の職人達が京都に戻り西陣織の発展に繋がったそうです。また「西陣の日」と制定したのは西陣織の組合で昭和42年の事。当時は大変景気も良く、きっと西陣織に携わる人達は我々が西陣、そして京都を支えているという強い自負と地域への愛着があった事でしょうね。

翻って今の西陣はどうでしょう?
この同じ地域で共有できる想いを捉えにくくなっているのかなと私自身は感じています。
もしここに暮らす人々を横断して結び付けるような価値観がはっきり見えれば、それがこの町の次の魅力に繋がるのかな、そしてその為のキーワードはやはり「ものづくり」なのかなと、西陣の日をきっかけにして考えを巡らせています。
皆で西陣を盛り上げていきましょう!

宇野貴佳

好文舎店主 宇野貴佳

油小路の路地奥でギャラリー喫茶を運営しています。 目立たない店が故か、ちょっと個性的なお客様が多いように感じています。 ここでの出会いを中心に、見聞きしたあれこれをお話しできれば幸いです。

2021.11.10
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先日、京町家なんでも応援団さんが主催しているふれたす企画に参加しました。今回は紫野にある岩井木材さんの町家清掃のお手伝いをして、僕は主に町家に保管されている材木を近くの倉庫に運ぶ作業で汗を流しました。翌日からは筋肉痛に襲われ、特に肩周りが悲鳴をあげていました。
京町家なんでも応援団さんの実施している町家清掃に参加するのは今回で2回目だったのですが、1回目と同様、主催者の皆様、そして京町家を受け継いで来られた方々のお話からひしひしと伝わってくる志に感動しました。どの街でも共通していることかもしれませんが、その街を愛する人がいて、その愛を継承していく人がいるというのは本当に素敵だと思います。僕は大学生になってから京都にきましたが、継承していく役目を担うのは勝手ながら僕なんじゃないかと思うくらい、今住んでいる街への愛が日々深まっています。今回の企画参加を通して、愛の深まりを再認識させられました。
そして何よりも、僕は京町家が好きなのかもしれません。京町家といっても、さまざまな種類の造りになっていることを今回知り、街歩きの楽しみ方が一つ増えました。歩き過ぎて筋肉痛にならないように気を付けます。

益田雪景

ライター 益田雪景 オサノート

広島県出身。同志社大学在学中。大学ではボランティア支援室学生スタッフARCO及び新島塾2期生としても活動中。小説家は太宰治と遠野遥、映画は「劇場」と「ミッドナイト・イン・パリ」、音楽はgo!go!vanillasとB T Sが好きです。

2021.11.09
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さて、今回は!
コラムを書くきっかけと私をさらに西陣に招いた
オサノートの拠点、KéFU stay & loungeさん
横山さんとの出会いから会社の観光勉強会(郷土史跡研究会)の昼食や修学旅行生の昼食にも使わせていただき、お連れする方々に大好評でとても気に入ってる場所の一つです 何よりモーニングメニューもあり朝から仕事の休日に西陣に入り浸れる場所(笑)
地元のお野菜や食材を使ったメニューがとても美味しいです
あと奥に続く中庭スペースや、一度泊まってみたいと思う宿泊施設で家に帰らずKéFU stay & loungeにただいまーって言って、夜ごはんを食べて宿泊してまた 朝から西陣巡りをしたいな。

写真は悩み過ぎて結局コラージュにて載せる事にしました(^。^)

林亮

タクシー運転手 林亮

2019年にまるごと美術館を知り、夜間拝観にお客様をお連れし、その時頂いた福銭の5円玉がご縁を呼んで 西陣、上京区の 沢山の方々と繋がる事が出来ました。 日々 自分地元はもちろん 西陣、上京区を応援してます。

2021.11.08
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早いもので、11月です。京都で観光業に携わる者にとって、1年で最も忙しい月がやってきました。言い換えれば、稼ぎ時とも言えるかもしれません。
半面、市民である皆さんにとっては、人が増えるので生活がしにくいとか、あまり良くないイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。
でも皆さん、ちょっと考えてみてください。「京都観光」って、他人事だと思っていませんか?よそから来た人がするものだと思っていませんか?
こんなに身近なところに、わざわざ遠方から時間とお金をかけて多くの人が見に来るほど価値のある景色が沢山あるのに、それをスルーするのは勿体ない!と私は思います。
幸い(と言っていいの分かりませんが)、西陣周辺はほかの地域に引けの取らない見どころが沢山あるにもかかわらず、京都の中でも比較的観光客が少ないエリアですので、人込みをさほど気にせず観光することができます。今年も妙顕寺や妙顕寺では昼夜特別拝観があって美しい紅葉も楽しめますし、堀川通り沿いの銀杏もとても美しいと思います。
今年の西陣の秋は、地元の私たちが率先して楽しんでみませんか?

南知明

上京ちず部 副部長 南知明

鴨川近くで生まれ、幼い頃から近くの上京区の商店街の店主の方々に見守られ育つ。現在は「まいまい京都」商店街食べ歩きツアーなどのほか、地理好きを活かし、「上京ちず部」副部長など、上京区全般で活動。本業は宿泊業。京都観光おもてなしコンシェルジュ。

2021.11.07
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11月に入って1週間。秋は京都にとって一番美しい季節だと思うのは私だけではないはず。
今年は10月になっても暑い日が続き、かと思うと急に寒くなったりと寒暖の差がはげしく、着るものに困ったものです。やっと秋らしい日が続くようになってきた今日この頃、ところどころで紅葉が見られるようになりました。

 

南から北に向かって緩やかに高低差のある京都市内では、北から少し色づいてくるのがおもしろい。十条から国際会館までの高低差はおよそ70mもあるそうです。自転車で南からあがっていくとよく実感できるかもしれません。特に今出川から北山まであがるのはなかなかにキツい。冬でも少し汗ばむほど。

 

先日、北山通りを車で走っていると、北を見れば赤がずらり、南を見れば緑がずらりという光景を見ました。季節の移り変わりの美しさを目の当たりにできるのも、自然が身近にある京都に住む魅力の一つだと感じます。

 

さて、西陣ではどこで美しい紅葉が見られるのでしょうか。
きっと他のコラムニストの方が紹介してくださるので、楽しみにしています。

 

写真は千本通り。奥にいくにつれて黄色くなっているのがわかる。

横山恵

探り手/運営 横山恵 KéFU stay&lounge

KéFU stay&loungeカフェ宿泊事業統括マネージャー。「オサノートを通して西陣の街を訪ねてほしい」という思いでメディアを設立。普段は宿泊施設やカフェの現場に立っていたり京都を走り回っています。純喫茶とロックライブが好き。すてきな純喫茶情報お待ちしてます。

2021.11.06
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コロナではないけれど、9月に人生初めての入院生活を経験しまして、3週間あまり病院で過ごしました。腕に点滴の針を刺し、リンゲルや抗生剤をぶら下げたハンガーを引きずって歩く不自由な毎日。一刻も早くこんな「ヒモつき」生活から解放され、また元気に京都の街を散歩したいと、そればっかり考えてました。10月末で退院から1ヶ月。体力も徐々に戻り、散歩の距離も以前と同じにまで回復、ようやくコラムのネタ探しも再開できるようになってホッとしています。いやはや健康あってのネタ探し。そんなわけで今回は、ちょうど京都市京セラ美術館で開催中の「モダン建築の京都」展に行ってきました。近代建築ファンには見逃せない、京都に残る有名な建物をほぼ網羅した、内容の濃い展覧会です。西陣エリアからは、以前も触れた「京都中央電話局西陣分局舎」(現・西陣産業創造会館)のほか、時々買い物や食事で利用する「堀川団地」が、貴重な資料や実物大の室内写真で紹介されていました。戦後の復興期、商店街再生を兼ねて建設されたRC造の都市型集合住宅。今も素敵な建物ですが、当時の人々の目には、さぞ輝いて映ったことでしょう。(会期は12月26日まで)

曽我高明

ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター 曽我高明

東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。