西陣にまつわる
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12/24

西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2021.12.19
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京都以外の人に店がどこにあるか聞かれる機会が何度かあった。

西陣らへんです。と答えても知らない人が結構多い。
もしくは西陣織が有名なところだよねと言われるくらいである。

とりあえず西陣が有名になればいいとは思わないが、
住んでみてわかる、この街にはいいところが結構ある。
自慢したくなるようなところがある。
西陣織以外にも「西陣って〇〇なところだよね」って多くの人に認知されるポテンシャルがあると思ってる!

西陣って素敵なお店が集結しているところだよねっていうイメージが浸透したらいいなとコーヒーを淹れながら思ったり思わなかったりラジ、、、

森 風渡

風とCOFFEEオーナー 森 風渡

2020年10月に"風とCOFFEE"を西陣京極にオープン。コーヒー屋には不向きとされる入り組んだ路地奥にて自家焙煎を行う傍ら、京都で1番ディープな路地(自称)である西陣京極に新たな風を吹かせるべく奮闘中。

2021.12.18
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もともと西陣に住んでいた方に、先日インタビューをしました。

こっちに引っ越してきたときのあなたの状況ってどんなだっけ?初めてバザールカフェに来たのはいつだっけな。どんな場面だったか覚えている?そのときどう思ったん?…

質問するって、めちゃめちゃムズカシイんですね!まるでモヤがかかった海を、インタビュー相手と乗った船で、制限時間までに目的地に辿り着けるのか?!みたいな感覚で、はじめのほうは焦りを感じておりました。

しかし、インタビューの途中、相手の記憶に強く刻まれていること、相手が大切にしてることが見えてくるのを、何度か感じました。

それは、こちらが聞き出したかったこととは違っていたり、思いもよらないことだったり。それを聞いているうちに、なんだか心がほぐれていくような気持ちになりました。

きっと普段のコミュニケーションでも。
相手の反応や答えに何かを期待せず、相手の頭の中に興味を向けると、なぜか自分が癒される。フシギですが、それをちょっとだけ体験した冬の日でした。

それでは皆さま、よいお年を!
(「よいお年を!」の語呂がすごく好きで、この時期は何度も言いたくなります。)

狭間明日実

バザールカフェ店員 狭間明日実

バザールカフェ事務局6年目。日々の営みをとおして、場から起こるもの、個人がのびのびと生きることなどを考えています。 傍らで、地域、福祉、食べることにまつわるいろんな仕事や遊びをしています。 同志社大学社会福祉学科卒業。社会福祉士。海が好き。

2021.12.17
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《堀川工房》

銀杏並木が美しい景観をつくる堀川通りは、西陣の東端を縦貫しています。

茶道三千家の紋のひとつとなった銀杏葉は、かつて今日庵の路地に、千宗旦が植樹したことに始まると云われています。
銀杏の街路樹もそれに因むのか、いまでは堀川通りのイメージとなっています。

※銀杏木が水分を多く含む特性から、東京神宮外苑を参考に、防火林として植樹されたとも言われています。

さて私の工房もまた、堀川通り沿いにあって、銀杏が色づく季節が近づくと、何やらソワソワ落ち着きません。
大掃除にはまだ早いのに11月下旬には、おもむろに窓ガラスの清掃を始めるのが、年中行事となっています。

やがて外の黄葉が完成し、窓を全開すると、工房内はその照り返しで部屋の隅々まで黄金色に染まります。
なにやら空気まで清浄されるようで、なんとも神々しく特別な心もちとなります。

そうした銀杏の黄葉の盛りは意外と短く、あっという間に季節の中を駆け抜けていきます。

銀杏の葉が落ちると、京都は本格的な冬を迎えます。
今日、寒空に背中を丸めて帰路に就く途中、気づくとチラチラと雪が舞っていたように思います。

山ノ瀬亮胤

眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長 山ノ瀬亮胤

京都市上京区在住。眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長。芸術~工芸に拡がる独自分野の構築で国内外より評価され欧州ハプスブルグ家御用達。マスメディアでの出演・取材多数。豊かな江戸庶民文化と職人の心を紹介している。

2021.12.16
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ぼくは便利になる行為が好き。すぐ手に届く範囲にあるとか、一手間省けるとか、生活をしていて時間を短縮できるアイデアはすぐにやりたくなる。その便利になる行為を続けいているとその一方で不便だから好きなものもがわかってくる。
「わざわざ」とか「あえて」とか。不便なことだとわかっているのにそのままにしていることがあえて好きになるものも。所作とかもそうですね。
いつも棚に置いてある石がある。うちの猫はそれをいつも見つけては下に落とす。
その度に僕は棚に戻す。毎日戻している。

小野友資

Y小 小野友資

2007年より1-10に参加、モーションデザイナーとしてウェブサイトからデジタルサイネージまで様々なフィールドに渡る制作に関わる。在籍中の2013年個人活動としてYUYBOOKSオープン。本をコミュニケーションツールとし、企画やデジタル作品を展開。2016年よりデジタルの活動をフリーランスへ。デジタルつかってアナログなもの集めています。

2021.12.15
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師走の雰囲気が好きだ。年の瀬に向けて何かと慌ただしく、クリスマスに向けて少し浮かれた空気。外は寒く、中は暖かく。今年やり残したことは無いかなとか考えたり。

千本通りは今年は銀杏の葉が落ちる前に剪定されなかったのか、地面に黄色い絨毯が出来ている。綺麗だなと思うと同時に、軒を連ねたお店やお家の方たちの毎日の掃除の大変さを想像してしまう。もうすぐ京都の冬が来る。

先日、母と姉と、船岡温泉に行ってきた。行こう、と言い出したのが22時半で、営業終了が23時半だったので、徒歩10分の道を足早に歩いた。外は寒くて、冷えた体で暖かいお湯に浸かると余計気持ちよくって、思わず声が出る。冬の銭湯は最高のリラクゼーション!

母と姉と露天風呂に浸かりながら、お正月みたいだ、と思った。そういや前回姉と船岡温泉に来たのは今年のお正月だった。わたしは年末年始が年間の行事の中でも取り分けて好きで(なんでかってご馳走がたくさん食べられるからなのだが)、そこに向かって助走をつけていくから、12月が好きなのだ。

さて、この日はゆっくりサウナに入る時間もあまり無かったので、またのお楽しみとすることに。冬本番の楽しみもまだまだこれから。

龍田 春奈

咲里畑 届けびと 龍田 春奈

1993年京都生まれ。西陣育ち。京都市西京区大原野「咲里畑」にて、季節の多品目の野菜、ハーブ、エディブルフラワーを、農薬や化学肥料を使わず育て、販売している。農ある暮らしの中に感じる豊かさを、人に届けることに喜びを見出しています。

2021.12.14
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人と話すと、思いもかけず勇気づけられることがあります。

先日、元西陣小学校で催された上京区のまちづくりの会議で、バザールカフェの狭間さんに会いました。
コロナ禍以降は会う機会がなかったので随分久々でしたが、お互いオサノートでコラムを書いていることから、「いつも読んでますよ」みたいな会話になりました。

個人的に、狭間さんの書くコラムには勝手にシンパシーを感じていて、毎回感心したり共感したりしていたので、そのことを伝えたところ、狭間さんも僕のコラムの内容を覚えてくれていて、率直な感想を述べてくれました。

毎月このコラムを書いているものの、あまり感想などを聞く機会もないので、いったい誰に読んでもらえているのか、こんな内容でいいのか、などと思い悩むこともあったのですが、そんなふうに思っていたのが自分だけじゃないとわかって、心強さを感じました。

悩んでいるのが自分だけじゃないとわかったところで、それで問題が解決するわけではないけれど、同じ気持ちでいる人の存在が、こんなにも心を穏やかにするのだ、ということをあらためて感じたできごとでした。

※写真はバザールカフェでスクエアステップに挑戦しているところです。

中島慶行

京都市小川特別養護老人ホーム 施設長 中島慶行

立命館大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。 2009年より2年間、京都市小川特別養護老人ホーム副施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長を務めたあと、伏見区の施設に異動。 2019年、京都市小川特別養護老人ホーム施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長として復帰。 銭湯と牛乳とじゃこ天が好きです。

2021.12.13
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あなたは「ビルトイン地蔵尊」を知っているか?
文字通り、建物にビルトイン(組み込み/埋め込み)されたお地蔵さんのことである。路上観察における一種のカテゴリ、観察対象と思ってもらえればよい。ツイッターで「#ビルトイン地蔵尊選手権」と検索していただければ、雰囲気が分かるだろう。名づけ親であるmakes no sense氏(@onmusiconlife)のほか、何人もの人が写真を上げている。
「地蔵尊」とあるが、祠であれば何でもよいらしい。また、「選手権」とあるが別に1位を決めるわけでもない。ネーミングは語呂の問題である。地蔵といういかにも伝統的な存在が、近代的なビルに埋め込まれる。そのギャップがなんとも魅力的だ。makes no sense氏はこれを「収納される信仰心」と形容しているが、その表現もまた素晴らしい。
お地蔵さんの多い京都には、当然ビルトイン地蔵尊もたくさん存在する。西陣を散策しているとときどき遭遇するので、私はそのたびに写真を撮っている。しっかりとお地蔵さんの居場所が確保されているところに優しさを感じ、嬉しくなる。
お地蔵さんとは、非合理の象徴であると思う。直接的には経済的価値を生むわけではないお地蔵さんのような存在は、世の中にいくつもある。我々が生きる「社会」という建物は「お地蔵さん」をビルトインできているだろうか。

重永瞬

京都大学文学部地理学専修 重永瞬

地図とまち歩きが好きな大学生。“西陣の端っこ”(お隣?)仁和学区で生まれ育つ。大学で地理学を学ぶかたわら、まち歩き団体「まいまい京都」でスタッフとガイドを務める。なんでもない街角の記憶を掘り起こしたい。古本とラーメンが好き。

2021.12.12
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正直に申しますと、
だんだんとコラムのネタがすんなりと出てこなくなりました。

なので、今回は私のテーマでもあった“ものづくり”でも“女子弟子の実態”のお話でもなく、今放送されている朝ドラに因んで“おはぎ”のお話しにしようと思います。

私の今までの人生であまりおはぎには馴染みがなく、和菓子屋さんに行っても積極的には買わない存在でした。しかしやはり京都。そして西陣。毎日でも食べたい!と思えるおはぎがなんと西陣に二軒もあるのです。

一軒は、言わずと知れた塩芳軒さん。こちらのおはぎは今年初めて土用の日限定のお茶席で頂きました。これぞ京都!と言うような洗練されきった上品極まりないおはぎでした。

もう一軒は祇園饅頭出水店さん。
こちらは庶民的で懐かしい素朴なおはぎです。
いつも朗らかなおじいちゃんとおばあちゃんお2人でひっそりとやられているお店です。

実は、塩芳軒さんで土用の入りの日に頂いたものはおはぎとは呼ばず“あんころ”だそうで、その名は“餡衣餅”から来ており暑い夏場にせいのつくようにと工夫を重ねて出来たお菓子だそう。

こんな知識を学べるのも京都西陣だからこそですね。

山本萌加

Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所 主任研究員 山本萌加

武蔵野美術大学(工芸デザイン学科木工専攻)卒業後、眼鏡制作者七代目山ノ瀬氏に弟子入り。眼鏡制作の修行と、師と共に眼鏡ブランド〝Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所〝の主任研究員てしてお店を運営しています。

2021.12.11
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振り返れば今年も厚い雲に覆われた一年でしたが、もうすぐ2021年を終えようとしています。丑年は我慢の年でしたが、来年は芽吹き成長の礎となる壬寅。明るい気持ちで新年を迎えたいものですね。

ところで皆さん、初詣はどちらへ行かれるのでしょうか。私はすぐ近くの護王神社へ。亥年以外は比較的空いていてゆっくりお詣りできますよ。
一方、最近話題の御金神社は御池通まで続く大行列らしいですね。
本当、給付金の窓口のようなつもりで並ぶのやめてあげて下さい。金属の神様ですから。きっと戸惑っておいでの事と思います。お金を儲けたければ伏見のお稲荷さんへ!

というところで、少し早いですが皆様良いお正月を。またオサノートでは大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
ちなみに好文舍は正月から開ける予定です。初詣のついでにぜひお立ち寄りください。

宇野貴佳

好文舎店主 宇野貴佳

油小路の路地奥でギャラリー喫茶を運営しています。 目立たない店が故か、ちょっと個性的なお客様が多いように感じています。 ここでの出会いを中心に、見聞きしたあれこれをお話しできれば幸いです。

2021.12.10
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もうすっかり寒くなってしまいましたが、まだ寒さが厳しくなかった先日、友人と北野天満宮に行って、紅葉を観てきました。実は、京都に来て、初めての北野天満宮でした。家からもそんなに遠くはなく、行こうと思って約2年が経ってしまっていました。京都で学生生活を始める前は、毎週のように寺社仏閣を訪れるんだろうと想像していたのですが、来てみれば、そんなことはなく、というよりも、僕が思い描いていた通りに行動していないのが悪いのかもしれませんが、とにかく、観光のための場所ではなく、生活する街に常に存在する場所として、北野天満宮を認識するようになっていました。贅沢な心境変化です。
さて、いつかのコラムで書いたかもしれませんが、今月は少し余裕があるので、西陣にある銭湯に行ってみようと思っています。銭湯も、行こうと決めて、数ヶ月が経ってしまいました。なかなか行動に結びつかないのは僕の悪い癖です。まずは船岡温泉を攻めていこうと思います。
ここまでかなり無内容なコラムを書いてしまいましたが、来月は銭湯コラムにするつもりなので、もう少し面白く書けると思います。よろしくお願いします。

益田雪景

ライター 益田雪景 オサノート

広島県出身。同志社大学在学中。大学ではボランティア支援室学生スタッフARCO及び新島塾2期生としても活動中。小説家は太宰治と遠野遥、映画は「劇場」と「ミッドナイト・イン・パリ」、音楽はgo!go!vanillasとB T Sが好きです。