西陣にまつわる
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西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2023.01.27
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猫と暮らし始めて3年ほど経ちましたが、共に過ごす中で互いに理解し合い、学びを重ねている日々にも思います。
なんせ、人と猫という別種族。お互いに個性も意思も欲求もあって、けれども互いの当たり前が互いの当たり前ではない。
いつも顔を擦り付けて挨拶してくれてなんて可愛いのかと思いきや、猫は口鼻あたりに臭腺が集中しているので実質単なるマーキングである説。隙あらば膝に乗ってきてなんて懐いてくれているのかと思いきや、適度に暖かいソファー扱いとも読み取れる。
なんていう人間の言語で解釈した猫の生態。という情報も一応知識には入れつつも、結局は心を持つ生き物同士の関わり。言語を介さずとも、お互いをよく見てよく感じ、相手がどうしたら喜ぶかな。幸せかな。と考えながら接していくと、
あ、ここをなでてほしいのか。このそぶりはトイレ掃除ね。意味もなくなんか甘えたいだけか。などど、なぜか『わかる』ことが日々増えていきます。
それは猫にとってもそのようで、人間の求めることも覚えてくれていっています。
随分とお互いの間合いの理解や信頼度が増してきたこの数年。これからもよろしくね、と、幸せそうにまどろむ姿を見ながら心に思うのです。

松波さゆり

和裁士 松波さゆり

岡山県出身。布好きが高じて京都で学び暮らし始めて早18年目。プロの和裁士としてテレビドラマの衣装をはじめ様々な仕立てを手掛ける。現在は市民運営の寺院 ”寳幢寺”のスタッフとして日々を過ごしながら、社会や地域に貢献できることを模索しています。

2023.01.25
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多拠点生活サービス「ADDress」のまっさんこと高本です。
年始、晴明神社に家族でお詣りした際、上京区界隈を散歩したのだけれど母校のある今出川にも足を伸ばしてみることに。

新町通にある新町キャンパスの壁面にこんなレリーフがある。ここはかつて島津製作所が蓄電池を作っていた「日本電池発祥の地」だったのだ。現在GSユアサとして、EV市場を牽引する世界的なバッテリーメーカーの源流は西陣・今出川にあったというのは驚きだった。

1921年(大正10年)に建てられた日本電池株式会社の本社社屋「臨光館」はセセッション式外観にエレベーターや暖房設備まで備えた鉄筋コンクリート建築物としてこの地域のアイコンだったらしい。

この壁はその外装の一部を再現したものなのだけれど、ここに手を当てて往時のイノベーションを目指したひとたちの息吹を感じてみたいと思って目を閉じた。今は西大路でイノベーションを生み出しながら世界と闘っているGSユアサをはじめ京都発世界初の企業は多い。ぜひ今出川さんぽのついでにこの壁に手を当ててみてください。

高本昌宏

多拠点プランナー / ADDress 事業企画 高本昌宏

学生時代に伏見と西陣に住んだことがきっかけで、京都では決してメインストリームではないかもしれないこの二地域に惹かれる。多拠点居住サービス立ち上げをしながら、2020年伏見移住。西陣にも同年から通い始め、魅力再発見中。

2023.01.13
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年が明け、子どもたちも新学期がはじまりました。年末はクリスマスプレゼントの話題でもちきりでしたが、今はお正月のお話や、お年玉の話に切り替わっていて、話題にことかかない毎日です。

さて新年ということで、今年の新しい目標、チャレンジを考えておられる方も多いかと思います。私も今年はオリジナルのボードゲームづくりにチャレンジしようとひそかに考えています。
ミライブラリでも、子どもたちのいろいろなチャレンジを応援しようと、様々な取り組みを行っています。その中のひとつが、チャレンジ100ボードです。子どもたちが考えたチャレンジ、大人たちが考えたチャレンジ、併せて100個を紙に書きだしています。チャレンジが成功したらマスに☆印をつけていき、みんなですべてのマスを☆で埋めることを1つの目標にしています。
チャレンジの内容は、一人でできることから、誰かと協力しないとできないもの、得意なものから、苦手なもの、初めてのものまで、多種多様です。放課後のわずかな時間の中ではありますが、チャレンジを通して、新しい発見や、新しい喜び、達成感を、仲間たちと一緒に

共有していくことで、子どもたちのそれぞれの成長に繋がっていけば嬉しいなと思っています。

村上弘

特定非営利活動法人 代表 村上弘

特定非営利活動法人SOWERS代表 放課後の時間に、多様な体験を届けるafter schoolミライブラリを運営。子どもたちの今とこれからを考え、放課後の選択肢とその可能性の拡張を目指し、日々活動しています。

2023.01.09
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新しい年が始まった。

年末はバタバタ、年始はダラダラ、お腹の空く間のない三が日。

この国には、「この日にはこれを食べる」という世間のしきたりがたくさんあるけれど、お正月はやはり特別だと思う。

お重に詰められたお節料理や、お雑煮は、「正月はこれやな」感をもっとも感じられるものだ。

そしてこの「やっぱこれやな」が各家庭にあるのがおもしろい。

西陣のわたしの実家では、白味噌雑煮の具は丸餅のみだが、京都でも家庭によってまちまちだ。

去年は初めて新潟でお雑煮をいただいたけれど、めちゃくちゃ具沢山だった。

今年、全部は出来ないかもしれないけれど、なるべく、季節のしきたりに倣いたいな。

龍田 春奈

咲里畑 届けびと 龍田 春奈

1993年京都生まれ。西陣育ち。京都市西京区大原野「咲里畑」にて、季節の多品目の野菜、ハーブ、エディブルフラワーを、農薬や化学肥料を使わず育て、販売している。農ある暮らしの中に感じる豊かさを、人に届けることに喜びを見出しています。

2023.01.07
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新年のご挨拶が遅くなりました。
皆さま、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 

去年のお正月は雪が降っていたように記憶している。年を重ねるごとに月日の経つのが早く感じると言うが、30歳を超えてからそれを実感することが多くなった。また、年齢は関係ないかもしれないが、「興味をもつ」ということに鈍感になってしまっていることが、自分に対して一番危惧していることだ。これまで経験をしてきた中で、これをやるにはこれくらいのパワーを使うな、今の頭の容量じゃこれ以上の情報を入れるのは無理だな、というのがわかってきたために興味を持つ前に自らセーブをかけてしまう。それが正しいのだろうが、全くの余力がないというのは情報を循環させるためにはよくないことだ。ローカルメディアを運営するものとして、頭の中は常に新鮮な状態にしておきたい。なので今年の抱負は「余力をつくる」。余力をつくることでオサノートも循環させられる気がする。

 

そんな矢先に新店舗オープンの話が決まり、またしばらくはバタバタしそうなのだが。
今年も120%で頑張ろうと腹をくくった一年のはじまり。

横山恵

紡ぎ手/運営 横山恵 オサノート

KéFU stay&loungeカフェ宿泊事業統括マネージャー。「オサノートを通して西陣の街を訪ねてほしい」という思いでメディアを設立。普段はKéFUの現場に立っていたり京都を走り回っています。純喫茶と歌謡曲が好き。すてきな純喫茶情報お待ちしてます。

2022.12.30
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KéFUで作った新聞をポスティングするために町を歩き回っていると、いろんな家の玄関先までお邪魔する機会がある。実に様々な家庭用ポストがあるものだ。壁にめり込んでいるもの、木箱をそのまま壁に取り付けたもの、ちょっぴりエレガントなもの、「チラシの投函お断り」と書かれたもの、一方で「いつも配達ご苦労様です」と書かれたもの……と様々なポストがある。僕はできるだけ存在感を出さぬよう、申し訳なさそうに、何者でもない誰かになりきり、知らない人の敷地に忍び入り、そっと出てゆく。ひたすらこの行為を繰り返して町を練り歩いていくわけなのだが、ひょんな時にどうでもよい発見があったりする。

とある好好爺は、野良猫とカラスに餌を与えながら庭仕事をしていた。猫とカラス。例え桃太郎の家来にしても、鬼ヶ島へ行く途中で逃げられそうな両者を手懐けている好好爺は、一体どんな団子を与えているのだろうかと気になる。が、僕がその家のポストに忍び寄るとカラスと野良猫はそそくさとどこかへ退散してしまった。それでも好好爺はなにも構わず庭仕事を続けている。道ゆく人々に誇れる玄関を作るんだぜと言わんばかりに、黙々と葉っぱに触れ続けている。自らの家の中の家具や雑貨を道ゆく人に見せつけるため、カーテンを取り付けない北欧人と同じような思想を持っている好好爺の小さな路上庭園が一体どこにあったのか、今ではよく思い出せない。

大成海

綴り手/探り手 大成海

2000年広島県広島市生まれ。京都在住。もの書きとデザイン。 本と映画と音楽と酒をこよなく愛す。本屋や出版社などいくつかの場所で働き、稼いだお金は本と映画と音楽と酒に消えてゆく。気の向くままに散文を書いたり、デザインをしてみたり。いつでも大好きな瓶ビールが飲めるようにと、携帯栓抜きを鍵につけて常に持ち歩いている。

2022.12.28
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月に1回、上京区役所で、式恵美子さんが代表を務める「つるかめ笑顔クラブ」主催の「思い出語りの会」が催されています。
毎回、設定されたテーマに沿って、参加者がめいめいに思い出を語り合う、集いの場です。
コロナ禍にあっても、イヤホンマイクなどのIT機器を活用して活動を継続され、先日、節目の50回を迎えられました。

 

この日のテーマは「恋文の思い出」。
20人くらいの参加者の、恋文にまつわる思い出話を聞かせていただく中で、いちばん印象に残ったのは…

 

お兄さんのおさがりのコートを着て、バスに乗っていた女学生の私。
男子生徒が私の顔を覗き見て一言。
「なんや、女か」
顔から火が出る私。
そんなとき、別の男子生徒が「やめろよ、かわいい女性じゃないか」と。
私を庇ってくれた男子生徒への思いは日に日に募り、ついに、恋文を書いて渡そうとしたところ、その彼が、かわいい女性と連れ立って歩いているのを見てしまった。
渡せなかった恋文は、今も心の中にしまってあります。

 

…というもの。
お年寄りたちが、少し恥ずかしそうに恋文の思い出を話して、それに皆が熱心に耳を傾ける、とても素敵な時間でした。
いくつになってもコイバナは盛り上がるものです。

中島慶行

京都市小川特別養護老人ホーム 施設長 中島慶行

立命館大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。 2009年より2年間、京都市小川特別養護老人ホーム副施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長を務めたあと、伏見区の施設に異動。 2019年、京都市小川特別養護老人ホーム施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長として復帰。 銭湯と牛乳とじゃこ天が好きです。

2022.12.26
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現在、「北野寮」という建物の解体工事が進んでいる。北野天満宮の門前、御前通に面した場所に建つ、京都府警察の単身寮である。
子どもの頃から、天神さんにお参りに行くときはいつも北野寮の前を通っていた。昔はまったく気にも留めていなかったが、改めて見るとなかなか洒落ている。モダニズム建築に特徴的な水平に連続する窓の合間に、小豆色のパーツがリズム良く配置されている。各階の区切りは長押のようにも見え、カラーリングも相まって和の趣が感じられる。
この記事の執筆時点ではすでに建物のまわりに足場が組まれており、北野寮は間もなく解体されるだろう。特に文化財に指定されているわけでもなければ、マニアの間で話題になるような建築でも(おそらくは)ない。
しかし、どんな建物であれ、取り壊されると聞くととたんに名残惜しさがこみ上げてくる。それが小さい頃から目にしてきたものであればなおさらだ。この風景が失われたとき、私は何を感じるのだろうか。まったく語られてこなかったこの建物の最後の姿を、ここに留めておきたい。

重永瞬

京都大学文学部地理学専修 重永瞬

地図とまち歩きが好きな大学生。“西陣の端っこ”(お隣?)仁和学区で生まれ育つ。大学で地理学を学ぶかたわら、まち歩き団体「まいまい京都」でスタッフとガイドを務める。なんでもない街角の記憶を掘り起こしたい。古本とラーメンが好き。

2022.12.25
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先日、僕たちSOCIAL WORKERS LABが主催したライブ・セッション〈京都でローカルを考える〉を終えました。多くの方々に、応援とお力添えをいただき、おかげさまで、2日間のプログラムは両日満席。素晴らしい時間になりました。この場をお借りしてみなさまにお礼をさせてください。いつもありがとうございます。

さあて、今年もカウントダウン。2022年のはじまりと同時に、僕はSWLABのメンバーになりました。はじめての企画は、3月10日、〈日々の暮らしを、やさしく、面白くする未来会議〉。4人のゲスト、4つの先駆的な社会福祉法人、50人の学生が一堂に会する、対話と創造の場をひらきました。その後、居を移し京に暮らし、船岡山オープンパークの実践やオンライントークイベント〈「ローカル」と「生きる」〉を開催させていただくなど、とにかく京都でローカルを考えた1年になりました。いやいや、企画と自分史をうまく繋げようとしたけれど、実のところローカルってよく分からなくて、考えるというほどなにかが発酵されたわけでもありません。とにかくからだが、ばたばた、ぐるぐる、ゆらゆら、いきいきとしていたのです。京都で、生きる!感じる!ですね。

僕がすこしずつ気づきはじめたのは、時間に限りがあること、万物は流転すること、人と人は違うこと、偶然にも僕たちは居合わせていること。そんなかぎりなくあたりまえのことばかりなのでした。いつも当然を忘れないように、目を凝らし、耳を澄まし、謙虚な心で在りたいです。それさえできれば。ではでは、よいお年を!

瀬川航岸

SOCIAL WORKERS LAB コーディネーター 瀬川航岸

滋賀県東近江市出身。自然豊かな土地に育つ。立命館大学経営学部入学後は映画や絵本に没頭。川のようにゆふらゆらざざざ〜っと生きるうち、SWLABに遭遇し、メンバーに。2022年4月から京都で暮らしをはじめる。2つの社会福祉法人に勤めながら、船岡山公園を拠点に駆け出し地域コーディネーターとして奔走中。

2022.12.23
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先日声楽家の知人のコンサートで、詩人まどみちおさんの「うたをうたうとき」を知りました。からだをぬいで こころひとつになって かるがるとんでいくのですと、そんな風に透明で健やかな心でいつもありたいと思いますが、年末年始に色々詰め込んだ用事に毎日何かと気ぜわしく過ごしています。

 

しかしまた一方で思うのは、今年の漢字は「戦」でしたが、こうして私自身はいつもと変わらないお正月を迎えようとしている訳で、今困難な状況にいるであろう方々を思うと申し訳ない気持ちにもなります。来る新しい年にはこの詩にある一節のように、たどりつくうたを皆がやさしくむかえてあげる平和な時が訪れますようにと願ってやみません。

 

さて好文舍は元日から営業します。お雑煮やぜんざいなどもご用意しますので初詣のついでにお立ち寄りください。来年もどうぞよろしく、皆様良いお年をお迎えくださいませ。

宇野貴佳

好文舎店主 宇野貴佳

油小路の路地奥でギャラリー喫茶を運営しています。 目立たない店が故か、ちょっと個性的なお客様が多いように感じています。 ここでの出会いを中心に、見聞きしたあれこれをお話しできれば幸いです。