西陣にまつわる
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西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2023.01.30
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前回投稿の続きです。フィルムはたくさん出てきておりますが、祖父や父が使ったカメラはほとんど処分され残っておりません。そのせいでしょうか昭和以前のカメラには大変興味があり、収集癖も手伝って古いカメラを集めていた時期がありました。

当初は取っ替え引っ替え使っていましたけど、デジカメにとって代られ今はホコリをかぶってひどい状態。ものを大切にとか言っております手前、この状態ではカメラも泣いてます。技術者の思いがこもった素晴らしい工業製品、ちゃんと直してこれからも大切にしようと思っています。

古いカメラは露出やピント、手間もお金もかかります。けど、どういうわけか「ええ写真」が撮れる?気がしてならないのです。ですからこのカメラたちで撮影した「ええ写真」で作品展ができたらいいなと思っています。その日がくるまで気長にお待ちください。ぜひ告知させていただきますので (^^;;

岡田健

光都紙工有限会社 代表兼デザイナー 岡田健

西陣の南東?の牛乳屋の息子として生まれ育って五十数年、今は極小印刷会社の代表取締役兼デザイナーです。ウクレレとコーヒーが好きです。

2023.01.27
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猫と暮らし始めて3年ほど経ちましたが、共に過ごす中で互いに理解し合い、学びを重ねている日々にも思います。
なんせ、人と猫という別種族。お互いに個性も意思も欲求もあって、けれども互いの当たり前が互いの当たり前ではない。
いつも顔を擦り付けて挨拶してくれてなんて可愛いのかと思いきや、猫は口鼻あたりに臭腺が集中しているので実質単なるマーキングである説。隙あらば膝に乗ってきてなんて懐いてくれているのかと思いきや、適度に暖かいソファー扱いとも読み取れる。
なんていう人間の言語で解釈した猫の生態。という情報も一応知識には入れつつも、結局は心を持つ生き物同士の関わり。言語を介さずとも、お互いをよく見てよく感じ、相手がどうしたら喜ぶかな。幸せかな。と考えながら接していくと、
あ、ここをなでてほしいのか。このそぶりはトイレ掃除ね。意味もなくなんか甘えたいだけか。などど、なぜか『わかる』ことが日々増えていきます。
それは猫にとってもそのようで、人間の求めることも覚えてくれていっています。
随分とお互いの間合いの理解や信頼度が増してきたこの数年。これからもよろしくね、と、幸せそうにまどろむ姿を見ながら心に思うのです。

松波さゆり

和裁士 松波さゆり

岡山県出身。布好きが高じて京都で学び暮らし始めて早18年目。プロの和裁士としてテレビドラマの衣装をはじめ様々な仕立てを手掛ける。現在は市民運営の寺院 ”寳幢寺”のスタッフとして日々を過ごしながら、社会や地域に貢献できることを模索しています。

2023.01.25
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多拠点生活サービス「ADDress」のまっさんこと高本です。
年始、晴明神社に家族でお詣りした際、上京区界隈を散歩したのだけれど母校のある今出川にも足を伸ばしてみることに。

新町通にある新町キャンパスの壁面にこんなレリーフがある。ここはかつて島津製作所が蓄電池を作っていた「日本電池発祥の地」だったのだ。現在GSユアサとして、EV市場を牽引する世界的なバッテリーメーカーの源流は西陣・今出川にあったというのは驚きだった。

1921年(大正10年)に建てられた日本電池株式会社の本社社屋「臨光館」はセセッション式外観にエレベーターや暖房設備まで備えた鉄筋コンクリート建築物としてこの地域のアイコンだったらしい。

この壁はその外装の一部を再現したものなのだけれど、ここに手を当てて往時のイノベーションを目指したひとたちの息吹を感じてみたいと思って目を閉じた。今は西大路でイノベーションを生み出しながら世界と闘っているGSユアサをはじめ京都発世界初の企業は多い。ぜひ今出川さんぽのついでにこの壁に手を当ててみてください。

高本昌宏

多拠点プランナー / ADDress 事業企画 高本昌宏

学生時代に伏見と西陣に住んだことがきっかけで、京都では決してメインストリームではないかもしれないこの二地域に惹かれる。多拠点居住サービス立ち上げをしながら、2020年伏見移住。西陣にも同年から通い始め、魅力再発見中。

2023.01.17
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2023年がやってきました。少し前のお話になりますが、元旦と2日は、毎年、北野天満宮のすぐ南にある京都佛立ミュージアムのエントランスで、2012年開館以来、来館者に無料で甘酒を振る舞っています。ここ2年はコロナで中止になっていましたが、今年はようやく再開できました。12月も大晦日に近くなると、京都伏見にあるお寺のご住職から月桂冠の酒粕が送られてきまして、それをマイ寸胴鍋で、1月1日の早朝から仕込みます。生姜は入れずに、水と白砂糖だけですっきりした甘酒にしています。最近はお子様やお車の方はご遠慮いただいています。理由としてはアルコールを飛ばすためにあまり煮詰めすぎると、フルーティーな風味が飛んでしまうことがわかってきたので、じっくり低温で仕上げることで、より酒粕本来の甘さを引き立てて、甘い白ワインのような仕上がりにしています。はじめた当初は、仕込みも大変で開館時間に合わせるのが必至でしたが、いつの間にか、味を追求できるようになっていました。今年でちょうど10年目。なんでも長く続けてみるものだな〜と思ったのでした。

亀村佳宏

映像ディレクター 亀村佳宏

1978年に京都市(北区平野)で生まれ育ち、2002年、上京ののち、PV、スポット CM 制作を経て、撮影技術やコンポジット編集技術を習得。2009年に京都に拠点を戻してから、個人事務所で映像や写真の仕事をしております。趣味:卓球

2023.01.13
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年が明け、子どもたちも新学期がはじまりました。年末はクリスマスプレゼントの話題でもちきりでしたが、今はお正月のお話や、お年玉の話に切り替わっていて、話題にことかかない毎日です。

さて新年ということで、今年の新しい目標、チャレンジを考えておられる方も多いかと思います。私も今年はオリジナルのボードゲームづくりにチャレンジしようとひそかに考えています。
ミライブラリでも、子どもたちのいろいろなチャレンジを応援しようと、様々な取り組みを行っています。その中のひとつが、チャレンジ100ボードです。子どもたちが考えたチャレンジ、大人たちが考えたチャレンジ、併せて100個を紙に書きだしています。チャレンジが成功したらマスに☆印をつけていき、みんなですべてのマスを☆で埋めることを1つの目標にしています。
チャレンジの内容は、一人でできることから、誰かと協力しないとできないもの、得意なものから、苦手なもの、初めてのものまで、多種多様です。放課後のわずかな時間の中ではありますが、チャレンジを通して、新しい発見や、新しい喜び、達成感を、仲間たちと一緒に

共有していくことで、子どもたちのそれぞれの成長に繋がっていけば嬉しいなと思っています。

村上弘

特定非営利活動法人 代表 村上弘

特定非営利活動法人SOWERS代表 放課後の時間に、多様な体験を届けるafter schoolミライブラリを運営。子どもたちの今とこれからを考え、放課後の選択肢とその可能性の拡張を目指し、日々活動しています。

2023.01.11
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実家に帰ると突然何もすることがない時間がやってくる。特に暇というわけでもなくやることはたくさんあるんだけど、実家にいるという状況が何もしなくていいスタンスに強引にでも変化させられる。
そんな時はいつも近所の散歩。
京都にいると目的をもって外にでるが、実家いる時の散歩は目的がない。
昔の記憶をなぞるように足を流していく。
頭より足がほんの少しだけ先に動く感覚はこの散歩独特なものな気がする。
なのでこれはこれで実家に帰ってきた楽しみの一つなのかも。

小野友資

Y小 小野友資

2007年より1-10に参加、モーションデザイナーとしてウェブサイトからデジタルサイネージまで様々なフィールドに渡る制作に関わる。在籍中の2013年個人活動としてYUYBOOKSオープン。本をコミュニケーションツールとし、企画やデジタル作品を展開。2016年よりデジタルの活動をフリーランスへ。デジタルつかってアナログなもの集めています。

2023.01.09
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新しい年が始まった。

年末はバタバタ、年始はダラダラ、お腹の空く間のない三が日。

この国には、「この日にはこれを食べる」という世間のしきたりがたくさんあるけれど、お正月はやはり特別だと思う。

お重に詰められたお節料理や、お雑煮は、「正月はこれやな」感をもっとも感じられるものだ。

そしてこの「やっぱこれやな」が各家庭にあるのがおもしろい。

西陣のわたしの実家では、白味噌雑煮の具は丸餅のみだが、京都でも家庭によってまちまちだ。

去年は初めて新潟でお雑煮をいただいたけれど、めちゃくちゃ具沢山だった。

今年、全部は出来ないかもしれないけれど、なるべく、季節のしきたりに倣いたいな。

龍田 春奈

咲里畑 届けびと 龍田 春奈

1993年京都生まれ。西陣育ち。京都市西京区大原野「咲里畑」にて、季節の多品目の野菜、ハーブ、エディブルフラワーを、農薬や化学肥料を使わず育て、販売している。農ある暮らしの中に感じる豊かさを、人に届けることに喜びを見出しています。

2023.01.07
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新年のご挨拶が遅くなりました。
皆さま、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 

去年のお正月は雪が降っていたように記憶している。年を重ねるごとに月日の経つのが早く感じると言うが、30歳を超えてからそれを実感することが多くなった。また、年齢は関係ないかもしれないが、「興味をもつ」ということに鈍感になってしまっていることが、自分に対して一番危惧していることだ。これまで経験をしてきた中で、これをやるにはこれくらいのパワーを使うな、今の頭の容量じゃこれ以上の情報を入れるのは無理だな、というのがわかってきたために興味を持つ前に自らセーブをかけてしまう。それが正しいのだろうが、全くの余力がないというのは情報を循環させるためにはよくないことだ。ローカルメディアを運営するものとして、頭の中は常に新鮮な状態にしておきたい。なので今年の抱負は「余力をつくる」。余力をつくることでオサノートも循環させられる気がする。

 

そんな矢先に新店舗オープンの話が決まり、またしばらくはバタバタしそうなのだが。
今年も120%で頑張ろうと腹をくくった一年のはじまり。

横山恵

紡ぎ手/運営 横山恵 オサノート

KéFU stay&loungeカフェ宿泊事業統括マネージャー。「オサノートを通して西陣の街を訪ねてほしい」という思いでメディアを設立。普段はKéFUの現場に立っていたり京都を走り回っています。純喫茶と歌謡曲が好き。すてきな純喫茶情報お待ちしてます。

2022.12.30
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KéFUで作った新聞をポスティングするために町を歩き回っていると、いろんな家の玄関先までお邪魔する機会がある。実に様々な家庭用ポストがあるものだ。壁にめり込んでいるもの、木箱をそのまま壁に取り付けたもの、ちょっぴりエレガントなもの、「チラシの投函お断り」と書かれたもの、一方で「いつも配達ご苦労様です」と書かれたもの……と様々なポストがある。僕はできるだけ存在感を出さぬよう、申し訳なさそうに、何者でもない誰かになりきり、知らない人の敷地に忍び入り、そっと出てゆく。ひたすらこの行為を繰り返して町を練り歩いていくわけなのだが、ひょんな時にどうでもよい発見があったりする。

とある好好爺は、野良猫とカラスに餌を与えながら庭仕事をしていた。猫とカラス。例え桃太郎の家来にしても、鬼ヶ島へ行く途中で逃げられそうな両者を手懐けている好好爺は、一体どんな団子を与えているのだろうかと気になる。が、僕がその家のポストに忍び寄るとカラスと野良猫はそそくさとどこかへ退散してしまった。それでも好好爺はなにも構わず庭仕事を続けている。道ゆく人々に誇れる玄関を作るんだぜと言わんばかりに、黙々と葉っぱに触れ続けている。自らの家の中の家具や雑貨を道ゆく人に見せつけるため、カーテンを取り付けない北欧人と同じような思想を持っている好好爺の小さな路上庭園が一体どこにあったのか、今ではよく思い出せない。

大成海

綴り手/探り手 大成海

2000年広島県広島市生まれ。京都在住。もの書きとデザイン。 本と映画と音楽と酒をこよなく愛す。本屋や出版社などいくつかの場所で働き、稼いだお金は本と映画と音楽と酒に消えてゆく。気の向くままに散文を書いたり、デザインをしてみたり。いつでも大好きな瓶ビールが飲めるようにと、携帯栓抜きを鍵につけて常に持ち歩いている。

2022.12.28
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月に1回、上京区役所で、式恵美子さんが代表を務める「つるかめ笑顔クラブ」主催の「思い出語りの会」が催されています。
毎回、設定されたテーマに沿って、参加者がめいめいに思い出を語り合う、集いの場です。
コロナ禍にあっても、イヤホンマイクなどのIT機器を活用して活動を継続され、先日、節目の50回を迎えられました。

 

この日のテーマは「恋文の思い出」。
20人くらいの参加者の、恋文にまつわる思い出話を聞かせていただく中で、いちばん印象に残ったのは…

 

お兄さんのおさがりのコートを着て、バスに乗っていた女学生の私。
男子生徒が私の顔を覗き見て一言。
「なんや、女か」
顔から火が出る私。
そんなとき、別の男子生徒が「やめろよ、かわいい女性じゃないか」と。
私を庇ってくれた男子生徒への思いは日に日に募り、ついに、恋文を書いて渡そうとしたところ、その彼が、かわいい女性と連れ立って歩いているのを見てしまった。
渡せなかった恋文は、今も心の中にしまってあります。

 

…というもの。
お年寄りたちが、少し恥ずかしそうに恋文の思い出を話して、それに皆が熱心に耳を傾ける、とても素敵な時間でした。
いくつになってもコイバナは盛り上がるものです。

中島慶行

京都市小川特別養護老人ホーム 施設長 中島慶行

立命館大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。 2009年より2年間、京都市小川特別養護老人ホーム副施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長を務めたあと、伏見区の施設に異動。 2019年、京都市小川特別養護老人ホーム施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長として復帰。 銭湯と牛乳とじゃこ天が好きです。