西陣にまつわる
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西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2021.06.30
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引っ越してきた頃は新鮮だった京都の街の風景も、丸6年も住んでいると流石に目が慣れてきてしまっている。このコラムを機会にかつて目を引いて気になってたものを思い返している。

京都市街の住所はややこしい。例えば市役所は「中京区寺町通御池上る上本能寺前町488」とある。外から来た人間はまず読もうという気が起こらないし大抵は読めない。やがて住んでるうちに縦横の通り名とその交差点に対する方角で示されているという法則を知る。これがわかれば読み解けて便利ではあるのだが、それにしても長くて漢字も多く難解。
しかしそれはそれで京都らしくて良いなと思うのは、通りで古い住所表記のプレートを見かける時だ。今出川通の少し南側、堀川通と千本通の間に残っているのをよく見かける。多くは白地に青い縁取りされた中に「仁丹」のロゴマークと住所が表記されている物。たまに「フジイダイマル」のロゴが入った物。ごく稀に他の広告が入った物もある。元の色がわからないくらい変色していたりもする。時代を感じる年期の入ったプレートにあの経文のような難解な住所表記がある。それを見つけるとなぜだか妙に嬉しくなってしまうのだった。

小川 櫻時

映像監督 小川 櫻時

長年様々な映像をを作る仕事をしています。東京、沖縄を経て2015年から京都市在住。近年は、クラフト作家や様々な手仕事をする人々にフォーカスした映像を制作・発表しています。映像空間演出ユニット「SAKKAKU」としても活動しています。

2021.06.29
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私が西陣地域で「何かした」はじめが2005年であったことははっきりしているが、その地域一帯が西陣と呼ばれていると認識したのはいつのことだったか、記憶は曖昧なことになっている。
初めて接した地域は「上七軒」と呼ばれていたし、その次に出会ったのは「織成舘」と「大黒町」だった。他所から来た私が「西陣」という言葉をそれなりに正しく使えるようになるには、5、6年かかったような気がする。 それでも、西陣という言葉がすっと腑に落ちた記憶がある。
私の育ったまちの駅前に工場があり、そこから伸びる大きな煙突に、「西陣染色」と書いてあったからだ。
その駅の手前側出口までが小学生の私の行動範囲であり、煙突はしょっちゅう目にしていた。梅田の眼医者へ行く時、親戚のいる桂や堺を訪ねる時、中学、高校になって一人で電車を使うようになってから、私は何度あの煙突に書かれた「西陣」を目にしただろうか。
だから、「あ、ここがあの西陣か」と気づいた時の感覚は、全くはっきり思い出せる。何か運命を感じて少し嬉しくなった感覚も。
当の工場は既に閉鎖し、今は大きなマンションが建っている。平成時代、阪急京都線相川駅界隈のことである。

益山周三

副理事 事務局長 益山周三 特定非営利活動法人 ANEWAL Gallery

2005年から「都ライト」をはじめ、西陣界隈で楽しく過ごしています。近年は「西陣マルシェ」「能舞台フェスタ」でしたが、コロナで先行き見通せず。漫画を描いています。写真はボツになった作品の主人公。供養。

2021.06.28
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先日、海外に移住した方に密着したテレビ番組をみた。
そこで、移住してきつかったこととして「四季を感じられないこと」があげられていた。

普段なかなか意識しない「四季」も、日本人にとっては生きてく上での大切な要素の一つなのだろう。
西陣も日中は半袖でも過ごせるほど暑い日が続き、まさに季節は春から夏へ移ろうとしている。

私が西陣にお店を構えたのは昨年10月のこと。つまり、これから西陣で初めての夏を迎えることとなる。

「夏の西陣」は私にどんな楽しみを与えてくれるのだろう。

巷のお店を覗いてみると、様々なところで夏限定メニューがあるようだ。

日の入りが遅くなったことで、見落としていた色んなものに気が付きそうだ。

暑さに参っているだけではもったいない。自分なりの視点で初めての「夏の西陣」を思いっきり満喫したいと思っている。
四季を感じる喜びを噛みしめながら。

p.sオサノートを通じて皆さんが知ってる西陣の夏の魅力も知れたら良いなぁ

三輪浩朔

Laughterロースター 三輪浩朔

2020年10月「Laughter」を開業。21歳までコーヒーを飲んだことがなかったが、タイ北部の農園に直接足を運んだことでその魅力にほれ込む。コーヒーを通じて生産者の思いやストーリーも届け、一杯から笑顔溢れる空間を紡ぐことを目指している。

2021.06.27
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時刻は9時45分。

丁度夜空を見上げるとほぼ満月。満月まであと2日あるが、まんまるなお月様がうっすら雲にかかりつつ美しく光っている。

夏に近づく夜の雰囲気は昔から柔らかくて好きなのだが、京都での夜散歩はなかなか風情があってよい。夏の夜散歩は是非オススメしたい贅沢な時間だ。

日中にみる街の顔とまた違う側面を見せてくれたり、昼間の悩み(的なもの)を静かに解きほぐしてくれるような感覚をくれるのがとても優しくて好きなのだ。

子供の頃、夜に外で出歩くことにちょっと悪いことをしているような気持ちになった事を思い出し、ノルタルジーに浸ることもあるが、こと、西陣界隈を夜ふらふらしてみると、生まれ育った場所でもないのに、これまた郷愁を強く感じる。

昼はひねもす、夜はよもすがら。

西陣の片隅で、月を眺めながら日々を楽しむのは悪くない。

ミツギタカユキ

デザインカタリスト ミツギタカユキ

20歳より渡米し、大学にて彫刻からインタラクティブアート、デザインなど幅広い分野を学びつつフリーのデザイナーとして活動。帰国後京都に移住。現在西陣にてデザインカタリストとしてウェブ制作からデザインに纏る企画・運営など幅広い分野で活動を行う。

2021.06.25
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4月から続いた緊急事態宣言がようやく明けたと思ったら、もう6月下旬です。子どもたちが汗をたくさんかいて学校から帰ってきたり、ミライブラリのおやつにアイスがでてくるようになったり。なんだかあっという間に夏がもうすぐそこまで来ています。子どもたちにとって夏といえばやっぱり夏休みです。すでに「こんなことしたい」「あんなことしたい」と言った夏休みの計画の話題もところどころで聴こえてきます。今年はミライブラリでも、宿泊のキャンプは断念しましたが、日帰りのデイキャンプや、じっくり時間をかけて作る工作のプログラムの計画など、いろんな夏の体験の機会を、たくさんつくりたいと考えています。まだまだいろんな場面で我慢が必要な毎日ですが、子どもたちの安全が守られるよう、そして子どもたちの一度しかない「今年の夏」の豊かな機会が守られるよう、最大限に頭と身体を動かして、夏に向けて準備していきたいと思っています。

村上弘

特定非営利活動法人 代表 村上弘

特定非営利活動法人SOWERS代表 放課後の時間に、多様な体験を届けるafter schoolミライブラリを運営。子どもたちの今とこれからを考え、放課後の選択肢とその可能性の拡張を目指し、日々活動しています。

2021.06.24
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ここ最近私は中華料理に情熱を注いでいる。
中華料理に関心が湧くにつれ自然と中華料理店が目につくことが増える。
そして気がつく、西陣は意外に中華料理店が多い。(森の想像より)

 

本格的な中華料理屋から地元のおばちゃんが切り盛りしているようなローカルな店まで。
それらを後押しするかのように千本中立売を下ったところには中華食材専門店すらあるほどだ。最近の感動は、外装は中華に見えない中華麺のお店が思いの外、本格的で美味しかったことである。

 

あそこの餃子が美味しかっただの、定食がよかっただの。
中華料理店を比較して巡ることに喜びを覚えている。
西陣中華料理開拓家の称号を我が物にする日はそう遠くないだろう。

 

テーマに沿って西陣を深掘りすることの楽しさを皆にも広げていきたい。

 

おすすめの中華教えてください!

 

森 風渡

風とCOFFEEオーナー 森 風渡

2020年10月に"風とCOFFEE"を西陣京極にオープン。コーヒー屋には不向きとされる入り組んだ路地奥にて自家焙煎を行う傍ら、京都で1番ディープな路地(自称)である西陣京極に新たな風を吹かせるべく奮闘中。

2021.06.23
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「脈々と受け継がれる」という表現について。
たとえば西陣織も、脈々と受け継がれてきたものの1つでしょう。

「脈々」の脈は脈打つ人。私はそのときそこに生きていた人ひとりひとりの声や姿を想像するのです。決して名を残した人だけではなく、過去の多数の人々の微小な影響同士が作用しあって、歴史は今に至ると思うからです。

私が「人がただ在ることの価値」を感じるのは、それと似ている気がします。

「あなたがこの時ここにいる」ことは、名前のつかない結果がそこに生まれているということだと思います。即効性がないので見えにくいのですが、実はみんな、その名前のつかない結果の連続を生きているのではないかと思います。自分の力で何かを生み出そうとしなくても、結果は自然に発生しているのだと。

人が存在するということは、複雑で、混沌としていて、それが時に交差して流れて離れて…なんというダイナミクス!日々超すごいことが起こっている!と思います。
脈々の中に、確かに自分がいることも。

いるだけでええやんと人には言っておきながら、ついつい役割や肩書きに依ってしまい情けないときに、自分自身が立ち戻れるようこうして文章にしておくこの頃です。

狭間明日実

バザールカフェ店員 狭間明日実

バザールカフェ事務局6年目。日々の営みをとおして、場から起こるもの、個人がのびのびと生きることなどを考えています。 傍らで、地域、福祉、食べることにまつわるいろんな仕事や遊びをしています。 同志社大学社会福祉学科卒業。社会福祉士。海が好き。

2021.06.22
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建築のような大きな工作物から時計などの細かなものづくりの現場には、それぞれの仕事ごとに身につく“寸法感覚”があり、それを《基準精度》と言います。手作りの和眼鏡であれば精度は1/1000ミリに迫ります。一般的な汎用工作機械がおよそ2/100ミリですから、手作りの精度は一桁高いところにあります。ところが一生懸命作っても「まるで機械で作ったみたいだ」などと評されるのですから可笑しなものです。

さて、この精度は眼鏡の耐久性に深く関わります。精度が高いほど歪みの発生も小さく抑えられるので寿命も長いものです。私の工房にメンテナンスで里帰りするものは、十数年経過したものも多く、今後もさらに10年20年と使われ続けるものになるでしょう。

ところで“精度”は作り手にとっては何を意味するのでしょうか。自分にとって“精度”へのこだわりは、作り手が表現したいものを人(※自分も含める)に正しく伝えるためにあると考えています。作り手がいかに感性が高く美しいものをイメージ出来ても、それを正しく制作できなくては人には伝わりません。その表現へのこだわりこそが“精度”へのあり方なのだと。自分が美しいと感じる線に1/1000ミリにまで迫りたい。それはとりもなおさず自分を信じ、自分を大切にする取り組みなのです。

山ノ瀬亮胤

眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長 山ノ瀬亮胤

京都市上京区在住。眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長。芸術~工芸に拡がる独自分野の構築で国内外より評価され欧州ハプスブルグ家御用達。マスメディアでの出演・取材多数。豊かな江戸庶民文化と職人の心を紹介している。

2021.06.20
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まちの景色は、時代とともに変わっていく。約3年前のこと、千本今出川の交差点に立ち並んだ老舗、アオタニ文具店とミヨシ堂時計店が建て壊され、煌々と明るいコンビニに変わってしまった時は、勝手ながらもやはりショックだった。高くそびえたった壁に、古い大きな時計があるのが好きだったし、千本今出川のシンボルだった。この機会に調べてみると、昭和4(1929)年に建てられ、京都市文化局によって「京都を彩る建物や庭園」に認定されていたらしい。文化財保護課のページに残っていたのだ。これは知らなかった!

景観を大事にする京都で、重要な建物が建て壊されたり、専門店が廃れていく様子を見るのはさみしい。役割をコンビニや100均に取って代わられる。

個人的に南から北へ千本通りを上がることが多いため、家のすぐ手前にあるその時計でいつも時間を確認していたことも大きかった。せめて名残として、新しく建つ建物の壁にも時計をつけてくれとひそかに願った。同じように願う地元民からの要請があったのかもしれない。今はセブンイレブンの壁で新しい時計が、西陣の時を刻んでいる。

※手持ちの写真がなかったので、気になる方は千本今出川へ、おこしやす。

龍田 春奈

咲里畑 届けびと 龍田 春奈

1993年京都生まれ。西陣育ち。京都市西京区大原野「咲里畑」にて、季節の多品目の野菜、ハーブ、エディブルフラワーを、農薬や化学肥料を使わず育て、販売している。農ある暮らしの中に感じる豊かさを、人に届けることに喜びを見出しています。

2021.06.19
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ステイ・ホームばかりだと運動不足になるので、気分転換も兼ね、梅雨の晴れ間には、たまに自転車で少し遠くまで走っています。前に生活していた東京の下町と似て、自転車移動のラクチンなところは、京都に親しみを感じる理由のひとつ。ただし、すごーくアバウトな比較をすると、巨大な碁盤の目のような京都の街は、全体が北に向かって緩やかな上りの斜面になっているので、その点、どこまで行ってもフラットな東京の下町とは大きく違いますね。さらに市街地は、西陣エリアの辺りまでくると、千本通の方角に向かっても、緩やかな上り坂になっている。自転車なら、軽かったり重かったりするペダルの踏み心地の変化で、そんな街中の微妙なアップダウン事情を、運動しながら自然に体感できます(ダイエット効果はビミョーですけど)。さて上の写真は、大黒町のお寺の塀に自転車を止めて撮影したもの。「瓦土塀」と呼ぶそうで、美観だけでなく、瓦が雨水を弾いて、土壁の強度が下がらない効果もあるとか。写真では右方向が千本通で、塀の下部にある石の幅に注目すると、そちらへと進むにつれ、だんだんと狭くなっていて、道がわずかに傾斜しているのがわかります。

曽我高明

ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター 曽我高明

東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。