西陣にまつわる
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西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2021.06.28
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先日、海外に移住した方に密着したテレビ番組をみた。
そこで、移住してきつかったこととして「四季を感じられないこと」があげられていた。

普段なかなか意識しない「四季」も、日本人にとっては生きてく上での大切な要素の一つなのだろう。
西陣も日中は半袖でも過ごせるほど暑い日が続き、まさに季節は春から夏へ移ろうとしている。

私が西陣にお店を構えたのは昨年10月のこと。つまり、これから西陣で初めての夏を迎えることとなる。

「夏の西陣」は私にどんな楽しみを与えてくれるのだろう。

巷のお店を覗いてみると、様々なところで夏限定メニューがあるようだ。

日の入りが遅くなったことで、見落としていた色んなものに気が付きそうだ。

暑さに参っているだけではもったいない。自分なりの視点で初めての「夏の西陣」を思いっきり満喫したいと思っている。
四季を感じる喜びを噛みしめながら。

p.sオサノートを通じて皆さんが知ってる西陣の夏の魅力も知れたら良いなぁ

三輪浩朔

Laughterロースター 三輪浩朔

2020年10月「Laughter」を開業。21歳までコーヒーを飲んだことがなかったが、タイ北部の農園に直接足を運んだことでその魅力にほれ込む。コーヒーを通じて生産者の思いやストーリーも届け、一杯から笑顔溢れる空間を紡ぐことを目指している。

2021.06.27
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時刻は9時45分。

丁度夜空を見上げるとほぼ満月。満月まであと2日あるが、まんまるなお月様がうっすら雲にかかりつつ美しく光っている。

夏に近づく夜の雰囲気は昔から柔らかくて好きなのだが、京都での夜散歩はなかなか風情があってよい。夏の夜散歩は是非オススメしたい贅沢な時間だ。

日中にみる街の顔とまた違う側面を見せてくれたり、昼間の悩み(的なもの)を静かに解きほぐしてくれるような感覚をくれるのがとても優しくて好きなのだ。

子供の頃、夜に外で出歩くことにちょっと悪いことをしているような気持ちになった事を思い出し、ノルタルジーに浸ることもあるが、こと、西陣界隈を夜ふらふらしてみると、生まれ育った場所でもないのに、これまた郷愁を強く感じる。

昼はひねもす、夜はよもすがら。

西陣の片隅で、月を眺めながら日々を楽しむのは悪くない。

ミツギタカユキ

デザインカタリスト ミツギタカユキ

20歳より渡米し、大学にて彫刻からインタラクティブアート、デザインなど幅広い分野を学びつつフリーのデザイナーとして活動。帰国後京都に移住。現在西陣にてデザインカタリストとしてウェブ制作からデザインに纏る企画・運営など幅広い分野で活動を行う。

2021.06.25
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4月から続いた緊急事態宣言がようやく明けたと思ったら、もう6月下旬です。子どもたちが汗をたくさんかいて学校から帰ってきたり、ミライブラリのおやつにアイスがでてくるようになったり。なんだかあっという間に夏がもうすぐそこまで来ています。子どもたちにとって夏といえばやっぱり夏休みです。すでに「こんなことしたい」「あんなことしたい」と言った夏休みの計画の話題もところどころで聴こえてきます。今年はミライブラリでも、宿泊のキャンプは断念しましたが、日帰りのデイキャンプや、じっくり時間をかけて作る工作のプログラムの計画など、いろんな夏の体験の機会を、たくさんつくりたいと考えています。まだまだいろんな場面で我慢が必要な毎日ですが、子どもたちの安全が守られるよう、そして子どもたちの一度しかない「今年の夏」の豊かな機会が守られるよう、最大限に頭と身体を動かして、夏に向けて準備していきたいと思っています。

村上弘

特定非営利活動法人 代表 村上弘

特定非営利活動法人SOWERS代表 放課後の時間に、多様な体験を届けるafter schoolミライブラリを運営。子どもたちの今とこれからを考え、放課後の選択肢とその可能性の拡張を目指し、日々活動しています。

2021.06.24
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ここ最近私は中華料理に情熱を注いでいる。
中華料理に関心が湧くにつれ自然と中華料理店が目につくことが増える。
そして気がつく、西陣は意外に中華料理店が多い。(森の想像より)

 

本格的な中華料理屋から地元のおばちゃんが切り盛りしているようなローカルな店まで。
それらを後押しするかのように千本中立売を下ったところには中華食材専門店すらあるほどだ。最近の感動は、外装は中華に見えない中華麺のお店が思いの外、本格的で美味しかったことである。

 

あそこの餃子が美味しかっただの、定食がよかっただの。
中華料理店を比較して巡ることに喜びを覚えている。
西陣中華料理開拓家の称号を我が物にする日はそう遠くないだろう。

 

テーマに沿って西陣を深掘りすることの楽しさを皆にも広げていきたい。

 

おすすめの中華教えてください!

 

森 風渡

風とCOFFEEオーナー 森 風渡

2020年10月に"風とCOFFEE"を西陣京極にオープン。コーヒー屋には不向きとされる入り組んだ路地奥にて自家焙煎を行う傍ら、京都で1番ディープな路地(自称)である西陣京極に新たな風を吹かせるべく奮闘中。

2021.06.23
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「脈々と受け継がれる」という表現について。
たとえば西陣織も、脈々と受け継がれてきたものの1つでしょう。

「脈々」の脈は脈打つ人。私はそのときそこに生きていた人ひとりひとりの声や姿を想像するのです。決して名を残した人だけではなく、過去の多数の人々の微小な影響同士が作用しあって、歴史は今に至ると思うからです。

私が「人がただ在ることの価値」を感じるのは、それと似ている気がします。

「あなたがこの時ここにいる」ことは、名前のつかない結果がそこに生まれているということだと思います。即効性がないので見えにくいのですが、実はみんな、その名前のつかない結果の連続を生きているのではないかと思います。自分の力で何かを生み出そうとしなくても、結果は自然に発生しているのだと。

人が存在するということは、複雑で、混沌としていて、それが時に交差して流れて離れて…なんというダイナミクス!日々超すごいことが起こっている!と思います。
脈々の中に、確かに自分がいることも。

いるだけでええやんと人には言っておきながら、ついつい役割や肩書きに依ってしまい情けないときに、自分自身が立ち戻れるようこうして文章にしておくこの頃です。

狭間明日実

バザールカフェ店員 狭間明日実

バザールカフェ事務局6年目。日々の営みをとおして、場から起こるもの、個人がのびのびと生きることなどを考えています。 傍らで、地域、福祉、食べることにまつわるいろんな仕事や遊びをしています。 同志社大学社会福祉学科卒業。社会福祉士。海が好き。

2021.06.22
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建築のような大きな工作物から時計などの細かなものづくりの現場には、それぞれの仕事ごとに身につく“寸法感覚”があり、それを《基準精度》と言います。手作りの和眼鏡であれば精度は1/1000ミリに迫ります。一般的な汎用工作機械がおよそ2/100ミリですから、手作りの精度は一桁高いところにあります。ところが一生懸命作っても「まるで機械で作ったみたいだ」などと評されるのですから可笑しなものです。

さて、この精度は眼鏡の耐久性に深く関わります。精度が高いほど歪みの発生も小さく抑えられるので寿命も長いものです。私の工房にメンテナンスで里帰りするものは、十数年経過したものも多く、今後もさらに10年20年と使われ続けるものになるでしょう。

ところで“精度”は作り手にとっては何を意味するのでしょうか。自分にとって“精度”へのこだわりは、作り手が表現したいものを人(※自分も含める)に正しく伝えるためにあると考えています。作り手がいかに感性が高く美しいものをイメージ出来ても、それを正しく制作できなくては人には伝わりません。その表現へのこだわりこそが“精度”へのあり方なのだと。自分が美しいと感じる線に1/1000ミリにまで迫りたい。それはとりもなおさず自分を信じ、自分を大切にする取り組みなのです。

山ノ瀬亮胤

眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長 山ノ瀬亮胤

京都市上京区在住。眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長。芸術~工芸に拡がる独自分野の構築で国内外より評価され欧州ハプスブルグ家御用達。マスメディアでの出演・取材多数。豊かな江戸庶民文化と職人の心を紹介している。

2021.06.20
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まちの景色は、時代とともに変わっていく。約3年前のこと、千本今出川の交差点に立ち並んだ老舗、アオタニ文具店とミヨシ堂時計店が建て壊され、煌々と明るいコンビニに変わってしまった時は、勝手ながらもやはりショックだった。高くそびえたった壁に、古い大きな時計があるのが好きだったし、千本今出川のシンボルだった。この機会に調べてみると、昭和4(1929)年に建てられ、京都市文化局によって「京都を彩る建物や庭園」に認定されていたらしい。文化財保護課のページに残っていたのだ。これは知らなかった!

景観を大事にする京都で、重要な建物が建て壊されたり、専門店が廃れていく様子を見るのはさみしい。役割をコンビニや100均に取って代わられる。

個人的に南から北へ千本通りを上がることが多いため、家のすぐ手前にあるその時計でいつも時間を確認していたことも大きかった。せめて名残として、新しく建つ建物の壁にも時計をつけてくれとひそかに願った。同じように願う地元民からの要請があったのかもしれない。今はセブンイレブンの壁で新しい時計が、西陣の時を刻んでいる。

※手持ちの写真がなかったので、気になる方は千本今出川へ、おこしやす。

龍田 春奈

咲里畑 届けびと 龍田 春奈

1993年京都生まれ。西陣育ち。京都市西京区大原野「咲里畑」にて、季節の多品目の野菜、ハーブ、エディブルフラワーを、農薬や化学肥料を使わず育て、販売している。農ある暮らしの中に感じる豊かさを、人に届けることに喜びを見出しています。

2021.06.19
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ステイ・ホームばかりだと運動不足になるので、気分転換も兼ね、梅雨の晴れ間には、たまに自転車で少し遠くまで走っています。前に生活していた東京の下町と似て、自転車移動のラクチンなところは、京都に親しみを感じる理由のひとつ。ただし、すごーくアバウトな比較をすると、巨大な碁盤の目のような京都の街は、全体が北に向かって緩やかな上りの斜面になっているので、その点、どこまで行ってもフラットな東京の下町とは大きく違いますね。さらに市街地は、西陣エリアの辺りまでくると、千本通の方角に向かっても、緩やかな上り坂になっている。自転車なら、軽かったり重かったりするペダルの踏み心地の変化で、そんな街中の微妙なアップダウン事情を、運動しながら自然に体感できます(ダイエット効果はビミョーですけど)。さて上の写真は、大黒町のお寺の塀に自転車を止めて撮影したもの。「瓦土塀」と呼ぶそうで、美観だけでなく、瓦が雨水を弾いて、土壁の強度が下がらない効果もあるとか。写真では右方向が千本通で、塀の下部にある石の幅に注目すると、そちらへと進むにつれ、だんだんと狭くなっていて、道がわずかに傾斜しているのがわかります。

曽我高明

ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター 曽我高明

東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。

2021.06.18
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かつて不摂生を繰り返し、体重が120キロ近くまで増えるなど、健康から程遠い生活を送っていた私も、今はすっかり改心して、「地域介護予防推進センター長」という肩書きに恥じぬよう、運動・栄養・社会参加を心がけた毎日を過ごしています。

今の肩書きを得て3年目に入りましたが、この間ずっと、自宅から職場まで、片道徒歩45分の道のりを歩いて帰ることを日課にしています。

路地を通って町家群を眺めたり、商店街をブラブラ覗いたり、いろんなルートを試した結果、最近は初心にかえってと言いますか、何だかんだ言って堀川遊歩道を歩くのが好きです。

夕暮れの堀川遊歩道は、せせらぎの音も心地よく、いくら歩いても飽きることがありません。

最近はすっかり暑くなり、日中出歩くのは億劫ですが、夕方以降は適度に風も吹いて、気持ちよく歩くことができます。
堀川丸太町の交差点を下から見上げると、イズミヤとオメガのイルミネーションが輝いて、なかなかの夜景が堪能できます。

毎週水曜日には「あじさい会」という自主グループの方々が、堀川遊歩道でノルディックウォークを楽しんでおられます。
そんなに人も多くないので、機会があれば、ぜひ散策してみてください。

中島慶行

京都市小川特別養護老人ホーム 施設長 中島慶行

立命館大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。 2009年より2年間、京都市小川特別養護老人ホーム副施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長を務めたあと、伏見区の施設に異動。 2019年、京都市小川特別養護老人ホーム施設長兼京都市上京区地域介護予防推進センター長として復帰。 銭湯と牛乳とじゃこ天が好きです。

2021.06.17
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「西陣」とは、いったいどこを指す地名なのだろう。公式の住所としては、「西陣」という地名は存在しない。そこで、試しに名前に「西陣」とつく法人(会社や組合など)の分布を調べてみた。もちろん、京都以外にも西陣を名乗る法人はいくらでもあるので、あくまで参考程度である。

もっとも「西陣」法人が集まるのは、上京区の中でも西陣、桃薗、乾隆、嘉楽の4学区を中心とするエリアである。これは多くの人の実感とも一致するのではないだろうか。そのほか、周辺の学区や上京区外にも「西陣」法人が点在する。

この地図の範囲外にも「西陣」法人は多く存在する。元々西陣にあった企業が移転したものもあれば、「西陣」ブランドにあやかったものもあるだろう。北は北海道中標津町から南は宮崎県宮崎市まで、その数は143件に及ぶ(一部閉鎖したものを含む)。「有限会社西陣」だけで14も同名の法人があるのだから驚きだ。

「西陣」は地名ではあるが、それは「ここからここまで」と線を引けるようなものではない。「西陣」とは、そこに関わるヒトやモノの総体を指すのではないか。そう、きっとあなたもこのサイトに訪れることで、ちょっとばかり「西陣」になっているのだ。

重永瞬

京都大学文学部地理学専修 重永瞬

地図とまち歩きが好きな大学生。“西陣の端っこ”(お隣?)仁和学区で生まれ育つ。大学で地理学を学ぶかたわら、まち歩き団体「まいまい京都」でスタッフとガイドを務める。なんでもない街角の記憶を掘り起こしたい。古本とラーメンが好き。