西陣にまつわる
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西陣にまつわる人々が、綴るコラムCOLUMN

2021.08.05
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僕の幼い頃から高校くらいまでの記憶で、うちの近所には3軒の造り酒屋がありました。2軒は廃業され、今でも残る1軒は皆さんご存知の佐々木酒造です。よい水が出た西陣は他にも酒造関連の会社がいくつかあったと思われ、この写真の場所も古い地図を見ると造り酒屋であったようです。
駐車場となったこの場所に造り酒屋や酒蔵の面影は全くありませんが、連絡先の管理会社名に酒造関連であった痕跡をひっそりと残していました。こういうのを見つけたときはちょっと嬉しい気持ちになります(笑

岡田健

光都紙工有限会社 代表兼デザイナー 岡田健

西陣の南東?の牛乳屋の息子として生まれ育って五十数年、今は極小印刷会社の代表取締役兼デザイナーです。ウクレレとコーヒーが好きです。

2021.08.04
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あたしの名前? 絹ちゃんって呼ばれてる。
お母さんとはぐれて困ってたところを助けてもらって、今は寳幢寺ってお寺に住んでる。
ここは西陣織の工場跡をDIYして作ったお寺だから、「絹」っていう名前になったんだって。
我ながらだけど、身体も白くてふわっふわだし、手触りもシルキーで気持ちいいって皆が触りに来るの。抱っこは好きじゃないけど、撫でられるのは悪い気はしないわ。ブラシもあててくれたら…けっこう心許しちゃうかも。
ここには色んな人が遊びに来たり、一緒に暮らしてたりしてて、こういうのって大家族っていうのかな?
いつもみんな楽しそうにお話してたり、真面目に勉強したり対話してたり。
このお寺が好きで、大切に思ってる人が集まってくるの。
皆で囲んでる食卓にも、お米やお野菜や色々、農家さんや応援してくれる方がお布施してくれたものがいつも並んでる。
あたしも時々、大好物のチュールをお布施してもらったりするのよ。
普段はスタッフルームに居るんだけど、お客さんが来た時には挨拶しに他の部屋にも出掛けたりするの。お寺の看板猫だからって、どこに行っても写真を撮られるんだけど…、みんなが嬉しそうだから、ま、いいかなって思ってる。

松波さゆり

和裁士 松波さゆり

岡山県出身。布好きが高じて京都で学び暮らし始めて早18年目。プロの和裁士としてテレビドラマの衣装をはじめ様々な仕立てを手掛ける。現在は市民運営の寺院 ”寳幢寺”のスタッフとして日々を過ごしながら、社会や地域に貢献できることを模索しています。

2021.08.03
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梅雨が明けて、殺人的な暑さの京都の夏がやってきました。

このごろのわたくしは暑さではなく、

8月1日からの個展の準備でヘロヘロになっておりました。

「おばけまつり」と題した、イラストの展示です。

 

流行り病で、 次々と中止・縮小となってしまったお祭りたち。

 

ところが、ゴキゲンなおばけたちは人知れず楽しんでいました…

 

といったストーリーのもと制作しています、下京区のそのうちcafeでの開催です。

 

そのうちcafeは、公園に直結した、小さいけどとてもとても素敵なお店。

 

西陣にも、たくさんのカフェがあります。

 

これから自分にぴったりのカフェに出会えるといいなぁと思っています。

 

また、おばけや妖怪などの伝承もたくさんありそうで、そういった出会いも楽しみにしています…

 

…今回はPR多めで失礼いたしました!

 

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そのうちcafe SNC

 

五条高倉下ル 六条院公園 ブランコ入ル。
青い塀と黄色い暖簾が目印です。
営業:11:30~20:00 無休

 

 

梅田啓介

クリエイター 梅田啓介

あるときは会社員、あるときはデザイナー、あるときはアーティスト、あるときはおべんとうアーティスト。 楽しいことを求めて。 今年、西陣に家を建てて、引っ越してきます。

2021.08.02
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北野天満宮で毎月25日に開催される天神市。
友人に誘われて行く。昔から一度は行ってみたいと思っていたが初めての訪問。
その日はあいにくの雨だったが、友人と、そのまた友人とで端から端までじっくり出店をみていく。境内の裏手の道路まで続いており、1時間2時間と時間をかけて回る。
はじめてご一緒した友人の友人は、骨董集めや古い着物のリメイクの達人だった。傘もささず黙々と着物の端切れや骨董を眺めていく。ふっと手にとって値段を聞いた魚の柄の大皿が、思いの外高い値段でそっと戻す。
達人はまた何か手に取る。古い鉄道のレールの一部だ。すべすべと手触りを確かめる。フォルムが滑らかになった小さめのレールだ。達人は「いいねえ」といい私も「これはいいねえ」と通じ合う。しばらく悩んで、これもそっと戻す。
だんだんと本気モードになった我々は別行動を開始。最後は思い思いに気に入ったものを抱えて集結した。
帰宅した後も「あのレールは良かったなあ、買えば良かったかな」と達人は嬉しそうに思い返していた。でも買わない。それも出会い。

川原さえこ

もう一つの椅子 川原さえこ

京都府長岡京市在住。フリーランスのリサーチャー、保育士。「もう一つの椅子」という名義でまちのランドスケープ(風景)研究を行う。東京下町から京都へ来て約1年。観光客でもなく京都の地元民でもない境界の視点でふらりと歩いたまちの景色を描く。

2021.08.01
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三菱証券細字用ボールペン。青。

僕が描いている日記は全てこのボールペンだ。今はもう廃番なので10年くらい前にまとめて入手したものにインクを詰め替えて使っている。
なぜ青なのかも今となってはよくわからないのだが、他の色にしようと思ったことはない。

それで青で統一された日記のページなのだが、時折、色の入ったシーンが存在する。

何年か前の8月の暑い昼間、近所を散歩していた時に北野天満宮で七夕の飾り付けを見た。
北野天満宮の七夕祭りは旧暦で行われる。
真夏のギラギラした光にカラフルな短冊が映えていた。
おそらく7月ならこうは見えなかっただろう。

そんなことに気がついた時だけ、忘れないようにと青の中に色を入れる。

今年も8月半ばまで七夕の短冊は飾られているので、また色を感じる瞬間はあるのかもしれない。

景井雅樹

版画家 景井雅樹

京都の版画工房で銅版画を始める。 2006年頃より、毎日の出来事をノートに青いボールペンで描く絵日記形式の作品を作り始める。 一日1ページで現在4000ページほど。まだ毎日描いている。 コーヒーと自転車と音楽の愛好家。

2021.07.31
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多拠点生活サービス「ADDress」のまっさんこと高本です。

学生時代に住んでいた場所の真向かい辺り、堀川商店街の中に「HORIKAWA AC Lab」(ほりかわえーしーらぼ)という不思議な書店が突如出現したのが2018年5月のこと。「世界でたったひとつの自分の本」を作れる本屋を目指し、大垣書店の御曹司大垣くんが自ら企画、多彩な紙の量り売りやオリジナルノートを活版印刷で作れるワークショップを仕掛けたり、とにかくワクワクする空間だった。(お店は今年の3月で一旦閉業。これから新たな仕掛けが西陣界隈でありそうな気配)

ドイツ製活版印刷機を使って、銀河鉄道の夜のカンパネルラのように活字をひとつひとつ探しながら組み合わせて印刷するワークショップに参加したときのこと。僕の娘がその年の正月に書き初めしたことばが頭にすっと出てきて、迷うことなく一文字ずつ選び出して、組んでみた。

「じゆうにいきる。」

また近い将来、西陣で活版を組む機会があればどんなに楽しいだろう。
みなさんはどんな言葉を選びますか?

高本昌宏

多拠点プランナー / ADDress 事業企画 高本昌宏

学生時代に伏見と西陣に住んだことがきっかけで、京都では決してメインストリームではないかもしれないこの二地域に惹かれる。多拠点居住サービス立ち上げをしながら、2020年伏見移住。西陣にも同年から通い始め、魅力再発見中。

2021.07.30
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島根県隠岐諸島の海士町という地域で暮らしています。
本土から船で3時間、経済破綻寸前だった離島から若者の集まる場所へと変貌を遂げた土地です。非日常を送るこの島で「西陣」を感じる瞬間がありましたので、今回はそのことを書きたいと思います。
移住の多い島のあちこちでは、せっせと町営住宅の建設が進んでいます。それでも家が追いつかず、シェアハウスでの暮らしがどうも当たり前のようで、例によって5人と共同生活をしております。
Facebookに慣れるためスマホ片手に奮闘していた時、西陣麦酒の醸造担当の林田さんのお名前が表示されました。海士町民との繋がりしかないのに。フリーペーパー第1号の取材でお世話になったことをなぜスマホが知っているのか不思議に思っていると、共通の友達として同居人の名前がありました。
林田さんがまだ醸造を始められる前に、とある合宿所で夜な夜な語り合った仲だとのこととでした。得意げに話す当時のことを聞きながら、人と人が織りなす街は京都を遠く離れても紡がれていて、どこまでもご縁だということを痛感しました。
第2号は8月発行予定です。これまでのご縁に感謝いたしますと同時にこれからのご縁にも胸を高鳴らせております。

土路生知樹

綴り手/運営 土路生知樹 オサノート

フリーペーパー編集長。上京区在住でデザイン・建築を専攻する学生です。大学3年を終え、土地への愛着や人の居場所についての関心が高まり、気持ちの赴くまま休学し、旅へ出ました。島根と福島での活動(居候)を終え、現在は京都に戻り、改めて西陣の居心地を満喫中。

2021.07.29
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京都に住むまで北野天満宮には一度も行ったことがなかったが、そこから歩いて二分ほどの場所に住居を借りたことでよく行く身近な神社になった。敷地も広く社の造形も特段に美しいので何かとフラッと訪れている。境内では2月頃から梅が咲き、初夏にはもみじの新緑、晩秋の紅葉と季節をより色濃く感じられる。

 

そういうわけでお気に入りの散歩コースなのだけれども、その境内にちょっと不思議なスペースがある。北野天満宮の公式ページには「絵馬所」とあるその建物には内外上部に奉納された大きな絵馬がぎっしりと飾られている。かなり古く痛み方が激しいものが多く、その歴史が重ねられた迫力には圧倒される。しかしこの場所は休憩所も兼ねられていて、その絵馬群のすぐ下には皎々と光り輝く自動販売機がビッチリと並べられているのである。
古く痛んだ重厚な絵馬の様相とは裏腹に、光り輝くエレクトリカルな自販機の組み合わせは謎のJAPAN感。時空が歪んでくる様な不思議な気持ちになる場所でとても気に入っている。

 

小川 櫻時

映像監督 小川 櫻時

長年様々な映像をを作る仕事をしています。東京、沖縄を経て2015年から京都市在住。近年は、クラフト作家や様々な手仕事をする人々にフォーカスした映像を制作・発表しています。映像空間演出ユニット「SAKKAKU」としても活動しています。

2021.07.28
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西陣の空。
私は自然物も人工物も好きである。
今回はその中でも空に注目した。
空を眺めたり、月を星座を探したり。
また、空の色の移り変わりはとても美しいと思う。青色から茜色に墨色になるまでそれからも多様な姿を見せてくれる。
大学生の時、空にまつわるプロダクトを発表したことがあるほどに、空はよく眺めていた。

西陣で縁あって働くようになってから、慣れない仕事に空を眺めることを忘れていたことに気付く。
それは仕事が夕方頃に終わった時のこと。
久しぶりにふと見た空は茜色朱色橙色と混ざって神々しかった。また、空だけでなくお寺の樹木たちとのコントラストがここでしか見れないひとときを見させてくれた。

人は忙しくてなにふりかまえない時、空を見ないように思う。空を見るだけで落ち着く、そんな時があることもみんなに知って欲しい。
そう、思っている。
それからは仕事帰りによく空を見る。
どの場所で見ても同じ、とは思わない。
その場所その場所で目に映るものは違うから。

西川緑

NPO法人 ANEWAL Gallery 西川緑

NPO ANEWAL Gallery スタッフ。大学卒業後、ANEWAL Galleryに携わっています。

2021.07.27
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コーヒー屋として日々お店に立つ私だが、実は筋金入りの鉄道ファンである。
小さい頃から駅のホームに何時間もへばりついては母親を困らせていたらしい。

中学生くらいになると、青春18きっぷで色々な場所に旅をした。
京都にも何度か足を運んだが、一番感動したのは今でも市内を路面電車が駆け抜けていることだ。地元名古屋では私が生まれるずいぶん前に廃止されてしまったため、生で見る路面電車に何枚もシャッターを切った。

今となっては市内を駆け抜ける路面電車といえば「嵐電」だが、その昔は京都市電が街中に走っていて、千本通にも壬生車庫前から千本北大路を結ぶ千本線が1912年から1972年までの60年間に渡って運行されていたらしい。
調べてみると、見慣れた千本通を路面電車が走っている写真が何枚も出てきてちょっと不思議な気分になった。

そんな京都市電を置き換える形で誕生した市営地下鉄も今年で開業40周年。さらに、今年の3月には京都市電の関係資料が市の有形文化財に指定されたらしい。

今度の休みにはそんな市電の歴史をたどりながら街歩きしてみようかなと思う。

三輪浩朔

Laughterロースター 三輪浩朔

2020年10月「Laughter」を開業。21歳までコーヒーを飲んだことがなかったが、タイ北部の農園に直接足を運んだことでその魅力にほれ込む。コーヒーを通じて生産者の思いやストーリーも届け、一杯から笑顔溢れる空間を紡ぐことを目指している。