第4回

京町家を思う

 

 

*京町家が並ぶ風景

 

「西陣のキホンのキ!」連載最後のテーマは「京町家」についてです!

 

京都といえば、町家が立ち並んでいる風景を思い浮かべる方が多いですよね。
しかし、現実では町家はどんどん街から消えてきています。
それは西陣でも同じ。

 

より暮らしやすい街をつくりながら、町家という文化を守っていくためにはどうすればいいのか。
私たちは、まず町家を知ることが大切ではないかと考えます。

 

さて、今回は京町家なんでも応援団団長の冨家さんのお話と、京都市発行「京町家のいろは」を参考にして、町家の特徴をご紹介してまいります。

まずは、町家のルーツについてみていきましょう!

 

*京町家のルーツ

 

京町家の起源はいつ頃なのでしょうか?

それは、なんと平安時代中期!

およそ1000年ほど前に町家の原型が形成されました。

地方から出てきて、ものづくりや商いを営んでいた人々が、大路・小路に面した場所に小屋を造っていったことがはじまりです。

それから街の発展とともに姿を変え、江戸時代には現在の京町家の原型が形成されました。

昭和〜平成にかけての経済成長の影響で町家の減少が急激に進行していき、現在では保全、継承への動きが行われています。

 

この長い歴史に、私たちの世代が終止符を打つかもしれないと考えると、どうにかしなきゃ!と思いませんか?

さて次は、京町家の意匠(外観)について学んでいきましょう!

 

*京町家の意匠

 

 

京都の町家の特徴としてよくあげられているのは、間口が狭く奥に長い、いわゆる「うなぎの寝床」。
長い歴史の中で暮らしの知恵を積み重ね、より快適に過ごせる空間として工夫されています。

 

時代によって形が変わる多様な町家建築ですが、まずは多くの町家で見られる共通的な特徴を紹介していきます!

 

◆駒寄せ(こまよせ)
牛舎の進入を防いだり、泥はねを防ぐための柵。寄せたくないのに駒「寄せ」?

 

◆犬矢来(いぬやらい)
泥跳ねや埃、犬の小便から建物を守るためのもの。竹で作られることが多く、丸く帯びた造形が美しい。

 

◆ばったり床几(ばったりしょうぎ)
折りたたみ式のベンチ。商品を陳列して販売し、必要なときに上げ下げしていた。腰掛けて夕涼みをしたり、囲碁を打ったりと、社交の場にもなっている。

 

◆平格子(ひらごうし)
外壁から出っ張っていない格子。格子の下に空間が空いていないもの。

 

◆出格子(でごうし)
外壁から出っ張っていて、足元が浮いているもの。現在の出窓のような格子。

 

◆通り庇(とおりひさし)
間口いっぱいに設けられた庇。1階の高さはある程度決められており、建物全体の高さは違えど通り庇の高さは統一され、美しい街並みを生み出していた。

 

◆虫籠窓(むしこまど)
堅格子を土で塗り込み、通風や採光のために設けられたもの。京都の暑い夏には欠かせない要素。外観から虫籠(むしこ)と呼ばれる。

 

◆一文字瓦(いちもんじかわら)
軒先の垂れの下端が一直線になるようにした軒瓦。軒瓦も統一感のある美しい街並みをつくっている。

 

紹介したものはほんの一例ですが、このように統一された寸法体系と素材により、洗練された外観を作り出すことができたんですね。

今でも、町家が並んでいる街をみれば、通り庇が並んでる様子も見られるそうですよ!

 

*見た目でわかる!?

 

 

統一された外観で美しい街並みを作っていた京都。

共通している要素が多いからか、どの町家も同じように見えませんか?

しかし、実は時代や用途によってちょっとずつ違っているんです!

外観から類型化すると、2階部分の階高の高低や高塀の有無、1階の開口部の形態などによって変わります。

他にも、看板建築や織屋建てなど、町家だけでも色んな種類あることがわかるんですね。

 

これは、実際に町家を見た方がわかりやすいので、是非最後にご紹介するまち歩きにご参加ください!

隣同士でも、建てられた時代が違うことがわかりますよ!

 

*消えゆく京町家

 

 

残念ながら、バブル景気を境に一気に町家がなくなっていったそうです。

今でも1年も見ないうちに取り壊されている場所がたくさんあります。

かつて町家があった場所は、マンションやホテル、洋風の一軒家に立ち替わりました。

1年中快適で便利なマンションが好まれ選ばれるのは自然な流れなのかもしれませんが、やはり町家がなくなっていくことは寂しいですね。

 

夏は暑くて冬は寒いと思われがちな町家ですが、少し工夫すれば快適に過ごすことができるんですよ。

そんな町家暮らしの工夫も、今後お伝えできればと思います!

乞うご期待!!

 

 

 

さて、ここまで町家について知れたら次は実際にじっくり見てみたいですよね!

前回「思い出の西陣映画館」でもご紹介したまち歩きでは、西陣の町家のお話も伺うことができます。

この街で生まれ育ち、街の変化を見てこられた冨家さんのガイドで町家を見てみませんか?

 

 

けふの西陣まち歩き - 映画館劇場と京町家を辿る旅 -

 

 

■5月5日(水)10:00~12:30

 

■参加費:2000円

 

■イヤフォンをご持参ください。

 

■行程
10:00 ローソン千本一条店前 集合
12:00 KéFU着

 

■お申し込み
https://forms.gle/zSWNqkT3W85FwK119

 

■お問い合わせ
KéFU stay&lounge
075-748-0456
info@ke-fu.jp(担当:横山)

 

〈コロナ感染対策にご協力お願いいたします〉

・当日、発熱や体調不良がみられる場合、ご参加をご遠慮いただけますようよろしくお願いいたします。

・マスクの着用をお願いします。

・アルコールスプレーをお持ちいたしますので、都度の手指の消毒にご協力ください。

・密にならないよう音声ガイドを導入予定です。イヤフォンをお持ちください。

 

ガイドはこちらのお二人

 

●石﨑立矢さん(上京ちず部 部長)

転勤族の会社員(ライター)。2002年から千本通沿いで暮らす。古い建物や、まちのあちこちにある「痕跡」が大好き。丹後や滋賀でもまち歩きツアーを企画。まいまい京都でもガイドを務める。

 

●冨家裕久さん(京町家なんでも応援団団長)

一級建築士。冨家建築設計事務所代表。住宅・店舗設計だけでなく、京町家や古民家の耐震改修や活用提案なども得意とする。京都市文化財マネージャー(建造物)。京町家なんでも応援団団長。実は、織屋のぼん。まいまい京都でもガイドを務める。

 

ご参加お待ちしております!

まち歩きの様子も記事に掲載させていただく予定です。

 

 

「西陣のキホンのキ!」ここまでお読みいただきありがとうございました。

この記事をきっかけに西陣の街を歩いていただけると幸いです!

 

 

 

(参考文献)

「京町家のいろは たてものとくらしの基本帖」京都市発行