第1回
コーヒーとの巡り合わせ
―早速ですが、コーヒーに携わるようになったきっかけはなんですか。
どこかのコーヒー屋で働いてたとかいうわけではないんです。大学の学祭で店を出そうってなって、その時によくある焼きそばみたいなのは嫌だなと思ったんです。それに代わるワンハンドでできる何かないかなと、まず思いついたのがタイティーでした。それで、タイティー屋さんをやろうということになって、まぁコーヒーも出そうかという感じでコーヒーも出すことになったんです。
ーちなみにタイティーというのは、どういうものですか?
タイの茶葉を使ったコンデンスミルクが入ってる甘いミルクティーです。僕、生まれがタイで9年くらい住んでたんですけど、今でも両親はタイにいるので、茶葉を送ってもらったりしてます。
ーあ、タイが生まれなんですね。タイの血が入ってるんですか?
いえ、入ってないです。タイ語も話せないし。笑
そこから、コーヒーを出す上で色々調べたりとかドリップしてみる段階でコーヒーってむっちゃ深いなあということがわかってきて、どんどん好きになりました。家の近くの焙煎所に通うようになって、マスターに色々教えてもらったりしてましたね。でも学祭の後、コーヒー屋をやりたいなって思っていたわけではなくて、3回生から4回生の時には就活して一般的な企業に就職しました。
ーそこから、コーヒー屋をやりたいとなったのにはどのような経緯があるのでしょうか。
会社で働き始めてすぐ、大学の友達が「会社辞めたい」って毎日言ってたんですよね。でも、ただ「辞めたらよくね?」って言うだけやったら友達も納得しないなと考えているときに、ふっとそのタイミングで学祭でコーヒーの模擬店をしたことを思い出したんです。
「珈琲屋やったらいいんじゃね?」と。
僕はこっちの仕事で経営のスキルを磨いて、友達は有名なコーヒー屋に入って現場的なスキルを磨いて、いつか一緒にやろうって、岡山に遊びに行ってる時にサイゼリヤで話をしました。そのタイミングではじめてコーヒー屋をやろうと思いましたね。コーヒーはずっと好きだったんで、働きながらも焙煎所には通ってて勉強はしてたんですが、コーヒー屋をやろうと思ったのはその会話からです。
ーそこが転機だったんですね。
そう。僕、会社7ヶ月で辞めたんですよ。その辞めたっていうのがさっきの話に加えて、会社が大きく変わっていくっていうのもありました。僕の入ってる会社の大元の会社が事業を縮小するっていうことになっちゃって、「他のグループ会社の方で働く方向で調整してもいい?」って聞かれて、そのグループ会社は自分の働きたい方向と違うかなって思ったのがきっかけの一つとしてありましたね。
ーそうだったんですね。それもまたタイミングというか……。
あともう一つ、コーヒー屋の転機としてのタイミングで言えば、仕事で知り合ったタイ料理屋さんに「エントランスにスペースがあるから何かやってみいひん?」と声をかけていただいて、「なんかタイミング重なってるな〜」って。それでコーヒー屋やろうって間借りでスタートしました。
ーそれはこちらとは違う場所ですよね?
そうです。ここの前にやっていたお店ですね。
その時は、巡り巡って気がついたらいつの間にかやることになってて、タイミングがきたからやっちゃったっていう感じで、一言で言えばノリで始めました(笑)