「お待ちかね、みんな大好きクロワッサン。」

まだまだ茹だるような暑さが続く8月。しかし、大学生にとってテストやレポートに解放され、幸せな夏休みの始まりの月でもある。そんな夏休み真っ只中、今月のパンを求めてル・プチメックへと足を運んだ。

今月は定番人気のクロワッサンがピックアップされていた。クロワッサンはパン屋にとってアイドル的存在であろう。どのパン屋にもクロワッサンは置いてある。そのため、お店の特徴が分かるパンとして買う人も多いのではないだろうか。私はまさにそのタイプである。

ル・プチメックのクロワッサンはサックサクで軽い食感である。昨年、フランスで食べた本場のクロワッサンを思い出す美味しさだ。一度口にすると、ポロポロとこぼれ落ちてしまうサクサクした表面。そして均一に空洞のある層が折り重なり、バターでしっとりとした生地。ついつい毎回買ってしまうクロワッサンだ。

今月の新作パンとして、そんなクロワッサン生地を使ったパンが誕生した。しかし、オープンと同時にお店に伺ったため、まだ店頭に並んでいなかった。次回、リベンジをしようと思う。

おや、このパンは？

こちらもパン屋の定番。あんドーナツだ。ふわふわしているが、中身はずっしりとした粒あんでいっぱい。丸いフォルムはなんだか愛おしく、懐かしい気持ちになった。このあんドーナツの餡子は、第6回で紹介したあんこパンとは違う感じがした。しっとりしているが塩味もあり、飽きない美味しさであった。

今月訪れた場所は、千両ヶ辻。堀川通と千本通の間にある細い通りである。大学で西陣織の授業を凜子さんと一緒に受けており、度々登場するワードが千両ヶ辻。ずっと気になっていた場所だ。千両ヶ辻のエリアは江戸時代、西陣の中心地であったそうだ。今なお、昔の町の面影が残っているため、その景観を楽しむことができる。また、9月23日には和文化をテーマとしたお祭りが開催されるようで、歴史や伝統を今なお重んじていることが伺える。歩いているとチラホラと居住者募集の看板がかけられていた。京町家は、暑い京都の夏を涼しくするための工夫がされていることをご存知だろうか。例えば、風が通り抜けるような造りをしていたり、襖を簾に変え、足元にひんやりとする網代を敷いたり。これは、体感的にも五感的にも涼しく快適に過ごすことができるような仕掛けなのである。このようなことをたくさん大学で学ぶことができ、実際に京町家に住んでみたいと思ってきた。そんな魅力溢れる京都、まだまだ知らないことも、知りたいこともたくさんある。西陣というエリアもまさにその一つである。今後もル・プチメックのパンとともに西陣パン散歩を続けよう。