京都の酒蔵といえば伏見と答える人が多いだろう。しかし、ここ西陣に洛中唯一の酒蔵があることはご存知だろうか。
【佐々木酒造】1893年創業の老舗酒蔵である。創業当時は洛中にも100軒以上の酒蔵があったそうだが、伏見に移転したり廃業したりで残ったのは佐々木酒造のみ。俳優の佐々木蔵之介さんの実家としても有名だ。

 

日本酒には良い水が不可欠であるが、佐々木酒造では豊臣秀吉の愛した銀明水と呼ばれる地下水を酒造りに使用している。京都は水が豊富で、日本酒をはじめ豆腐や銭湯など、水が重要なお店では地下水を使われることが多い。豊臣秀吉が邸宅としていた聚楽第をこの地に建てたのは、良い水があったからなのだろう。

 

 

今回、佐々木酒造が不定期で開催している酒蔵見学に参加させてもらった。
3月に開催していた早朝酒蔵見学、午前7時集合で仕込みの様子なども拝見できる。

 

佐々木酒造の早朝酒蔵見学

※3月10日実施の内容

 

朝7時集合。白衣とキャップを装着しまずは外観。
屋根から上がっている湯気は、酒米を蒸らす際に出た湯気が町家の屋根を抜けたもの。
朝にしか見られない光景。

 

 

仕込みで使用している銀名水を汲み上げる井戸や酒米を蒸している様子も見られる
さっき屋根から上がっていた湯気はこれだ

 

 

 

同じ味を作り続けるための技術も進歩している
美味しい日本酒が常に飲めることに感謝

 

 

蔵人さんが作業している様子を見られるのはとても貴重

 

 

もやし(麴菌)を蒸した米にふりかける様子

 

 

上の窓から米が発酵している様子が見られる
タンクの中に何か落としたら全て買い取りなので気を付けよう(うん千万円也)

 

 

たくさんのタンクがある
今回特別に仕込み済みのお米をかき混ぜる作業を体験させてもらった

 

 

うまく混ぜることはできないし、10回混ぜただけで腕がパンパン。
混ぜる作業は1人が担当。1タンク1時間、全てのタンクを1人で毎日。
蔵人を続けるには技も必要だろうが、まず体力と根気が必須だ。

 

 

創業当時から現役で使っている道具もある。
機械化が進んだ現在でも手作業でやることも多い。

 

 

なんと嬉しいことにお土産で日本酒をいただける。
見学ツアー限定ラベルを自分で貼る体験ができて愛着がわく。

 

 

最後は日本酒の飲み比べ。
純米吟醸はやっぱり美味しい、新酒と熟成じゃ全然味が違う、など他の参加者の方とワイワイしながら過ごす。
まだ朝の9時だ。なんと贅沢な時間の使い方だろうか。

 

今回は3月ということもあり、早朝の仕込みの様子を見学させていただいたが、時期によってツアーの内容は変わるらしい。
仕込みをしていない時期には、より日本酒講座のようなお話が多くなるそうで、それも興味がある。
写真だけでは伝わらないが、奥に進むごとに変わる蔵の香り、昔ながらの町家づくり、こんなところまで見てもいいんですか、と言いたくなるような場所まで入ることができ、全身で日本酒を感じたい人におすすめのツアーだ。

なにより、酒造りの過程を見て大変な作業をほんの一部体験し、日本酒を作り続けてくださっていることに感謝をしながら日本酒が飲める。今後の日本酒への姿勢が変わるほど貴重な体験ができる。

 

帰りの足取りが少し怪しくなるので、早朝とはいえ仕事の休みの日に行くことをおすすめする。
5月には蔵で落語会などもするそうだ。
酒造りだけに留まらない活動に今後も目が離せない。

 


 

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※ツアー参加に際し注意点がいくつかあるため、必ず確認をしてください