第4回
さらに次世代へ
またまた乾隆小学校にお邪魔しました。
今回は【京都プロジェクト】とはまた別の取り組みである卒業式の幡をつくるお手伝い、嵯峨美のテキスタイルの学生さんが乾隆小学校の6年生に織り方を教える様子をお届けします!
「この部屋はじめて来た〜」と浮き足立つ子ども達。まずは先生方から説明があり、学生さんが挨拶をしていきます。「よろしくお願いします!!!」と元気な子ども達の声に笑顔が溢れ、和やかなムードの中、早速幡を織ることに。
卒業式で飾る幡は、事前に子ども達が描いた絵を嵯峨美の学生さんがデザインにおこしました。絵のテーマは「将来の夢」。やはり私(30代)の小学校のときとは並ぶ職業が違います。さすがZ世代、パッとみて一番多いのはYouTuberでした。お花屋さん、美容師、歌手、サッカー選手……など様々な夢に溢れる1枚の幡。できあがりが楽しみですね。
5~6人ずつ部屋に来て練習をしていきます。まずは嵯峨美の学生さんが手本として実演。
織機の横にある機械の番号は、数種類の糸を巻いた杼(ひ)の番号と連動しています。黒(1)黄色(2)赤(3)というように、機械に出てくる番号通りに杼を通していけば模様ができあがるとのこと。昔は模様の図案をもとに厚紙に穴を開けたジャガードを使用していましたが、今では全てコンピューターでデータをつくり、フロッピーディスクやUSBを使って機械が指示を出す仕組みになっています。
順番決めのじゃんけんに白熱する子ども達も織機を前にすると少し緊張ぎみ。一つ一つの動作を確認しながらゆっくり進めていきます。みんな物覚えが早く筋がいいのに驚きました。「やったことあるんですか?」と聞くと「いや、はじめて。むずかしいけどたのしかった!」というお返事。西陣で育ってきた遺伝子でしょうか……。
「たのしい!」「もっかいやりたい!」という子ども達。足で踏み板を押して数字の通りに糸を通す、という動作がゲーム感覚で楽しめるものなのかもしれません。
西陣に限らず地域の産業に触れずに育っていく子ども達が多い中、乾隆小学校では自分たちの手で自分たちが描いた絵を織物にできるという経験をさせていらっしゃいます。卒業して以降、織物に触れることがなかったとしても、この経験はきっと地域への思いや理解に影響を与えるだろうなと感じました。
次回もおたのしみに〜
京都プロジェクトとは……
嵯峨美術大学の選択授業の一つで、あるテーマを元に実際のフィールドで調査見学をし、自ら企画し作品の制作と発表を行うまでのプロジェクト。今回は「金襴」を用いた新たなデザインの織物を提案・制作し、3月にみやこめっせで開催される西陣織業組合主催の西陣織大会で展示する予定です。染織・テキスタイル領域を中心に、観光デザイン領域など複数の領域の学生が集まり、地域連携プロジェクトとしての視点でも活動をしていきます。西陣側からは西陣織工業組合の桂さんが協力をして、3月までの間に学生さんと作品をつくられます。工場の見学から手機の織り方まで指導をしていきます。
(取材協力)
乾隆小学校
西陣織工業組合
嵯峨美術大学
取材に協力いただいている桂さんが新しく職人さんを募集されているそうです。
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