2021.05.13
Written By山本萌加
今回は女子弟子として“ものを作る側”になって西陣で出会ったお仕事と人のお話です。西陣といえば西陣織。町を歩けば織機の心地よい音が聞こえてきます。
当初は音が聞こえる度に珍しがって窓の隙間から織りの仕事を覗いていました。西陣には細かく分業されたものづくりの仕事があり、師匠も沢山の現場に見学に連れて行って下さいました。一見自分達とは縁遠い仕事だとしても“ものをつくる側”には深い縁を沢山作れる地域です。その縁の中には私のように弟子として修業に励んでいる方々との嬉しい出会いもありました。どうしても小さな工房で仕事に励んでいると、外の世界との交流が少なくなりす。仕事自体もマイナーで職場には師匠だけ。仲間と切磋琢磨したり悩みや愚痴を打ち明け、それを理解してくれる相手さえなかなかいません。そんな中で同世代のものづくりの方々との交流はとても励みになりました。
正直、何度も仕事を辞めようと思ったり、破門になりかけた事もありました。その時いつもタイミング良く現れる仏師の女子弟子仲間に励まされ思いとどまった事か。
師弟関係が根強く残っている京都、そしてものづくり文化の土壌がある西陣に感謝しています。
Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所 主任研究員山本萌加
武蔵野美術大学(工芸デザイン学科木工専攻)卒業後、眼鏡制作者七代目山ノ瀬氏に弟子入り。眼鏡制作の修行と、師と共に眼鏡ブランド〝Société Nouvelles Lunetts 視覚研究所〝の主任研究員てしてお店を運営しています。