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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2021.05.18
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5月。西陣では、今宮神社の祭礼、今宮祭が行われている。正暦5年(994)の「紫野御霊会」を起源とする祭だ。「平安時代には疫病が流行し、これを鎮めるために御霊会が行われた」という歴史の教科書の記述も、コロナ禍になっていよいよ切迫感を持ったものとなった。

今宮祭の神幸祭では、神輿とともに「剣鉾」と呼ばれる祭具が町々を練り歩く。長い柄の先に真鍮でできた剣が取り付けられており、厄を切り払う意味を持っている。京都の祭礼では各所で見られる存在で、かつては祇園祭の山鉾巡行の起源と目されてきた。しかし、剣鉾が登場するのは15世紀半ば以降と山鉾よりも時代が遅く、現在ではむしろ山鉾から派生したものと考えられている。

剣鉾は氏子の人々だけでなく、アルバイトの学生も担ぎ手となっている。私も数年前に担いだことがあるが、その強烈な重たさが印象に残っている。4人ほどでグループを組み、順番に交代しながら担ぐのだが、それでも肩への負担は甚だしい。粟田神社など他の神社では、一人で剣鉾を担ぐ剣鉾差しも行われていると聞き、さらに驚いた。

現在、各祭礼の神輿巡行はことごとく中止となっている。さて、鍛えるなら今のうちか…。

重永瞬

京都大学文学部地理学専修重永瞬

地図とまち歩きが好きな大学生。“西陣の端っこ”(お隣?)仁和学区で生まれ育つ。大学で地理学を学ぶかたわら、まち歩き団体「まいまい京都」でスタッフとガイドを務める。なんでもない街角の記憶を掘り起こしたい。古本とラーメンが好き。