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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2021.06.13
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青天の中に白い雲がいい具合に散らばっている日はのんびり外を歩きたくなるけれど、雨が降っている日こそ京都では散歩をするべきで、とりわけ雨の降る夜に石畳の上を歩くのは格別だ、と僕は思っているので、夜になって西陣にいくつかある石畳を雨が打ちつけている写真を撮ろうと思って出歩いてみたけれど、全く雨が降ってくれなかった。仕方なく、北野天満宮近くの花街「上七軒」に通りかかったところで、iPhoneのシャッター音を鳴らした。普通石畳は「石」の色をしていて硬いけれど、夜になると暖色の街灯や建物の中から漏れる光を浴びて、艶やかで柔らかい印象に化けてしまう。しかも、雨が降れば、そのような石畳の美しさにますます深みが出てくる、と僕は感じているので、繰り返しになってしまうけれど、一度でいいから、お気に入りの傘をさして、雨夜の西陣を散歩してみてほしい。靴が濡れてしまったら、よく晴れた日に乾かせばいいだろうし、あるいは、靴が濡れてしまうことこそ雨中の散歩における醍醐味の一つだと信じてみるのもありかもしれない、と念押しするのは流石に無理があるだろうか。

益田雪景

オサノートライター益田雪景

広島県出身。同志社大学在学中。大学ではボランティア支援室学生スタッフARCO及び新島塾2期生としても活動中。小説家は太宰治と遠野遥、映画は「劇場」と「ミッドナイト・イン・パリ」、音楽はgo!go!vanillasとB T Sが好きです。