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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2021.04.20
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東京から西陣エリアに拠点を移し、そろそろ4年。でもぼくが初めてここに来たのは、そう、昭和末期のバブルの始まる少し前、1987年だったと思います。その当時、明治から昭和初期に建てられた近代建築を巡るまち歩きにハマって、建築史家の藤森輝信さん(今は建築家としても活躍)のガイドブックを片手に、関西にまで足を伸ばし、建物の写真を撮ったりしていました。何が面白いの?って言われると困りますが、切手集めや昆虫採集みたいなもんでしょうかね。で、そのとき西陣で見たのがこの建物。1921年、岩本禄の設計した旧・京都中央電話局西陣分局(現・西陣産業創造会館)です。正面に女性レリーフがある大きな半円形を設け、その中央にドンと出窓を配し、ほかには特に目立った装飾のないシンプルな外観。公共建築を西欧の古典的様式で飾るのが普通だった時代、ものすごく斬新な建物だったはずです。ちなみにこのレリーフ、つい最近京都国立近代美術館で開催された「分離派建築会100年」展に、型取りしたものが展示されていました。その上、同じ意匠でつくった落雁をミュージアムショップで販売していて、さすが京都だな〜と感心したり。

曽我高明

ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター曽我高明

東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。