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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2023.02.15
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京都を一旦離れることになった。一旦、と言っても離れている間に何度も京都を訪れるだろうし、驚かれるほどすぐに戻って来る可能性だってある。確かなのは、いつかまた必ず京都で暮らす意思があることと、京都の「怠惰さ」が僕の意思を全力で支えてくれると信じていることだ。国語辞典は「怠惰」であることを的確に罵っているけれど、それはきっと「怠惰」であることを渇望するが故に起こる転倒だと思う。
みんな怠惰に生きたいと願っている、と言うと傲慢過ぎる主張だけれど、僕の知る限り、京都が好きで京都暮らしをしている人たちは怠惰で、豊かだ。
平安京に遷都してから育まれてきた文化も、花鳥風月の移ろいに全てを委ねているから「怠惰」だ。花の盛りだけではなく、枯れていく光景にまで美しさを延長してしまうなんて、時間がかかり過ぎている。あるいは時間なんてものはなく、花が咲いて、枯れるまでが「時間」なのかもしれない。つまり、国語辞典は花を眺めたことがないのだと思う。ともすれば、僕は彼に花を見せてあげたいし、彼と一緒に京都中を歩いてみたい。その夢だけでも花に見立てて、心の池にそっと浮かべて、京都を離れることにする。

益田雪景

ライター益田雪景 オサノート

広島県出身。同志社大学在学中。大学ではボランティア支援室学生スタッフARCO及び新島塾2期生としても活動中。小説家は太宰治と遠野遥、映画は「劇場」と「ミッドナイト・イン・パリ」、音楽はgo!go!vanillasとB T Sが好きです。