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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2023.02.08
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【100年前、海を越えてやって来た】

[Goodell-Pratt Company(グッデル-プラットカンパニー社・米国マサチューセッツ州)は1895年に設立〜1929年の世界大恐慌の煽りを受けて業績が悪化し、1931年にミラーズフォールズ社による買収で消滅。]…という工具が当工房では現役です。

いつ嫁いで来たのか詳細はわかりませんが、数世代に渡って使われたようで、もの凄いへたり方です。ある日、機械化の波に押されて片隅に追われ、やがて忘れられていったのでしょうか。

数十年ぶりに陽の光を浴びた姿は、古びてすり減ってはいるけれど錆もせずに。油を挿せばカタカタ、ユラユラと羽車が回り出しました。長い眠りから起こされた工具は、なんだか戸惑っている様子でした。

その日(使われなくなった日)には大切に仕舞われたことがわかる気がします。長年親しんだ工具との訣別はどんな気持ちだったのでしょう。仕舞う際にはきっと「ご苦労様」って声がけしたのだろうな。。先人との対話はいつもこのように行われます。

山ノ瀬亮胤

眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長山ノ瀬亮胤

京都市上京区在住。眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長。芸術~工芸に拡がる独自分野の構築で国内外より評価され欧州ハプスブルグ家御用達。マスメディアでの出演・取材多数。豊かな江戸庶民文化と職人の心を紹介している。