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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2022.12.30
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KéFUで作った新聞をポスティングするために町を歩き回っていると、いろんな家の玄関先までお邪魔する機会がある。実に様々な家庭用ポストがあるものだ。壁にめり込んでいるもの、木箱をそのまま壁に取り付けたもの、ちょっぴりエレガントなもの、「チラシの投函お断り」と書かれたもの、一方で「いつも配達ご苦労様です」と書かれたもの……と様々なポストがある。僕はできるだけ存在感を出さぬよう、申し訳なさそうに、何者でもない誰かになりきり、知らない人の敷地に忍び入り、そっと出てゆく。ひたすらこの行為を繰り返して町を練り歩いていくわけなのだが、ひょんな時にどうでもよい発見があったりする。

とある好好爺は、野良猫とカラスに餌を与えながら庭仕事をしていた。猫とカラス。例え桃太郎の家来にしても、鬼ヶ島へ行く途中で逃げられそうな両者を手懐けている好好爺は、一体どんな団子を与えているのだろうかと気になる。が、僕がその家のポストに忍び寄るとカラスと野良猫はそそくさとどこかへ退散してしまった。それでも好好爺はなにも構わず庭仕事を続けている。道ゆく人々に誇れる玄関を作るんだぜと言わんばかりに、黙々と葉っぱに触れ続けている。自らの家の中の家具や雑貨を道ゆく人に見せつけるため、カーテンを取り付けない北欧人と同じような思想を持っている好好爺の小さな路上庭園が一体どこにあったのか、今ではよく思い出せない。

大成海

綴り手/探り手大成海

京都在住の大学生。22歳。6年ほど前から視力が低下し、眼鏡をかけ始める。次第に眼鏡の沼にハマってゆき、今では数種類の眼鏡を日によってかけ分けるほどに。小学校の頃は地域のソフトボールチームで三塁手だった。