2022.07.14
Written By瀬川航岸

ぼくのいちにちは船岡山公園のラジオ体操から始まります。
今朝、自転車にまたがり千本通の路地をすうっと北に進んでいると、香りを光らせたそよ風が頬を撫で、ふかみどりの木々とあまいろの空がぼくを抱きしめました。すでに紫陽花の群れは消え、アブラゼミはさいごの使命を果たそうと、おなかを震わせ合唱しています。公園に着くと額に汗。ああ、世界が歓迎している。朝だけはそう思えるのです。
すでにグランドにはぞろぞろとひとが集まっていました。船岡山ラジオ体操クラブの皆さんです。おはようございまあす、おはよおさん、おはよーございますー。いろとりどりの挨拶がアーチをつくっています。中村さんの挨拶は、とうもろこし色。「おはよ!」と右手がぼくの肩に触れます。ここで生まれ育ったという大槻さんたちが木陰に腰掛け話す姿は、なんだか『スタンド・バイ・ミー』の面影を感じます。船岡山ラジオ体操クラブは、2005年にラジオ体操をはじめ、雨にも負けず、風にも負けず、年中無休で活動を続けてきたそう。その会員はなんと約120名。
そうこうしていると、たったったたらた。ラジオから希望の唄が聞こえてきました。昨日とは違う気象を深呼吸し、おげんきですか?と今日を尋ねる。伸ばして、曲げて、ねじって、跳んで、おつかれさまでした、と笑顔で解散!
暮らしのひとときのなかで、ぼくは、ひとびとが絶えず揺らぎ、自然が移ろい続け、日々あたらしいことを実感しています。