2022.06.25
Written By松波さゆり
西陣に住み始めて一番印象的な景色が実は「お地蔵様」だったりします。今住んでいる場所も住宅の多いエリアですが、どんなに密集地でも絶対にお地蔵様の場所は確保されていて、民家の敷地内はもとより、場合によっては住宅建築の一角に組み込んで安置されている場所まであって、初めて見たときは驚きました。どこのお地蔵様もいつも綺麗に保たれていて、若い方でも手を合わせたり挨拶をし、地蔵盆の賑わいも町々で大切に守り継がれている。
とはいえ、今まではそれを傍観しているだけでした。ここに越してきて5年、地域の結びつきが大きいこの町で、町内会の運営にも少しずつ関わらせていただくように。お地蔵様当番もそのひとつで、私は今年の夏に町内のお地蔵様のお花係を受け持つことになり、真夏の暑い時期にいかに花を長持ちさせてお供えをするのか、なんてことを今から思案しています。
ふと、こうして考え行動する機会があるからこそ、地域の大切なもの。という意識が芽生えていくんだな、と、改めて。今までは通りがかって挨拶するだけだったお地蔵様との関わりが変わることで、そこを取り巻く景色も少し違って見えてくる。暮らすことで見えてくる景色がここにもまた。
和裁士松波さゆり
岡山県出身。布好きが高じて京都で学び暮らし始めて早18年目。プロの和裁士としてテレビドラマの衣装をはじめ様々な仕立てを手掛ける。現在は市民運営の寺院 ”寳幢寺”のスタッフとして日々を過ごしながら、社会や地域に貢献できることを模索しています。