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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2022.03.19
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季節の境目って、どこなのでしょう。暖かくなったり寒くなったりを繰り返しながら、次第に春の近づいてくるのを感じます。遠くの空がぼうっと霞んで見えたのは、たぶん黄砂ですね。昨夜(13日夜)は雷雨があって、湿り気を帯びた柔らかい風が吹いていました。長いこと冬眠していた現代美術製作所でも、展覧会の話がいくつか進んでいます。個展やグループ展は、ふつうは明確に会期が決まっていて、アーティストはそこに向けて作品を準備し展示を行います。アーティストにとっては、会期の初日が作品制作のゴールであり、展覧会を開くぼくらにとっては、そこがスタート地点になるわけです。でも最近、二人の別々のアーティストとオンラインで打ち合わせをしていて、そのかっちりとした会期や制作・発表のタイムラインが、なんだか今の時代に合っていない気がするね、という話になりました。あらかじめ決めた予定が変わってしまうことの多いコロナ禍の時期を経て、そんな共通の感覚が芽生えてきたようです。季節がゆるやかに変化するみたいに、始まりと終わりの時期を少しぼやかして、会期中もいろいろと小さな動きがあるような展覧会の形を、いま考えているところです。

曽我高明

ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター曽我高明

東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。