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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2022.03.12
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西陣に来た頃から、とある仕事に手を染めている。
壁画制作、つまり店舗や公共の建物の壁に描かれている「絵」の制作をする仕事である。

僕と同じタイミングでこちらに工房を移したというボスとヘルメットを被り、建設現場に絵を描きに行くのだ。
現場の職人さんたちもこういう職業は見たことがないらしく、打ち合わせなどでも呼び方が分からず「絵描き屋さん」とかと呼ばれたりする。

この仕事では原画があり、デザイナーもいてその上で描く事をする仕事である。それまで自分だけの絵を描いていた僕は、仕事として絵を描く事がどういう事かを厳しく言われ最初は少しショックを受けていた。
だが納期前の徹夜続きの中、クォリティを上げるためになお細かい修正を繰り返すボスに絵描きの気持ちを見た気がする。それが全体を変えるのだ。

気持ちの入っていない絵は見たらすぐにわかってしまう。
壁画の仕事はアートや芸術の世界で語られるものではないかもしれないが、描く手にはそれぞれの感性があるのだ。

景井雅樹

版画家景井雅樹

京都の版画工房で銅版画を始める。 2006年頃より、毎日の出来事をノートに青いボールペンで描く絵日記形式の作品を作り始める。 一日1ページで現在4000ページほど。まだ毎日描いている。 コーヒーと自転車と音楽の愛好家。