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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2022.02.22
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この冬は何度も雪が降りましたが、常に寒さに身体を震わせ、皮膚が外気に触れないようにできるだけ多くの布を纏い続けたのは、僕自身京都に来てから初めてのことだと思います。一方で、冬が本気を出せばたちまち極寒に見舞われる碁盤の目状の古都にたくさん存在する銭湯では、衣服の代わりに大量のお湯が身体を包んでくれるので、芯から温まる。という状況を求めて、先日、僕は船岡温泉を訪れました。
僕が行ったのは開業直後の時間帯でしたが、すでに多くの方が来ていて、屋内の浴場は賑わっています。しかし、裸婦の石像が佇む露天風呂は誰も入っていなかったので、僕はそこに浸かることにしました。木製の浴槽にゆっくりと注がれるお湯、波の静かに立つ湯面とその下で揺れる身体の輪郭をぼんやりと眺める。そんな贅沢な時間を過ごしました。その間、裸婦の石像は湯船と出入り口をつなぐ石畳をじっと見つめていました。僕と違って、石像は汗ひとつかいていなかったので、おそらく外気に凍えていたのかもしれません。皆様も、寒くて石像のように身体が固まってしまったら、ぜひ船岡温泉を訪れてみてはいかがでしょうか。きっと芯から溶けていきます。

益田雪景

ライター益田雪景 オサノート

広島県出身。同志社大学在学中。大学ではボランティア支援室学生スタッフARCO及び新島塾2期生としても活動中。小説家は太宰治と遠野遥、映画は「劇場」と「ミッドナイト・イン・パリ」、音楽はgo!go!vanillasとB T Sが好きです。