2021.12.17
Written By山ノ瀬亮胤
《堀川工房》
銀杏並木が美しい景観をつくる堀川通りは、西陣の東端を縦貫しています。
茶道三千家の紋のひとつとなった銀杏葉は、かつて今日庵の路地に、千宗旦が植樹したことに始まると云われています。
銀杏の街路樹もそれに因むのか、いまでは堀川通りのイメージとなっています。
※銀杏木が水分を多く含む特性から、東京神宮外苑を参考に、防火林として植樹されたとも言われています。
さて私の工房もまた、堀川通り沿いにあって、銀杏が色づく季節が近づくと、何やらソワソワ落ち着きません。
大掃除にはまだ早いのに11月下旬には、おもむろに窓ガラスの清掃を始めるのが、年中行事となっています。
やがて外の黄葉が完成し、窓を全開すると、工房内はその照り返しで部屋の隅々まで黄金色に染まります。
なにやら空気まで清浄されるようで、なんとも神々しく特別な心もちとなります。
そうした銀杏の黄葉の盛りは意外と短く、あっという間に季節の中を駆け抜けていきます。
銀杏の葉が落ちると、京都は本格的な冬を迎えます。
今日、寒空に背中を丸めて帰路に就く途中、気づくとチラチラと雪が舞っていたように思います。
眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長山ノ瀬亮胤
京都市上京区在住。眼鏡制作者・現代美術家・ソシエテヌーベルリュネト視覚研究所々長。芸術~工芸に拡がる独自分野の構築で国内外より評価され欧州ハプスブルグ家御用達。マスメディアでの出演・取材多数。豊かな江戸庶民文化と職人の心を紹介している。