2021.10.30
Written By景井雅樹
村上春樹に「いわし」という名前の猫が出てくる小説があるそうだ。
まだ未読なのだが。
ただ今回は魚でも猫でもなく、コーヒーの「イワシ」が西陣にいるという事を書こうと思います。
最初に「イワシ」を見たのが西大路通りで自転車で信号待ちをしている時でした。
横をみると新しく出来た、駅の待合室くらいの白い小さな店。黒いテントにIWASHI COFFEEの文字。
お店から出てきた男性に「店主も自転車好きですよ」という謎の言葉をかけられ、店内に入ってコーヒーを一袋買って帰ったのが最初です。
翌週、コーヒーマニアを自負していた僕はそこを訪れて豆の感想を「イワシ」に伝えました。それでコーヒー談議をしていると、まだオープンしたばかりで看板もロゴもないと言う。
それなら、と木製の立て看板に「イワシ」のロゴを考えて描いたものを持っていきました。
それから新しい焙煎をするたびに感想を言ったり、待合室くらいの店内で居合わせた人とコーヒーを飲みながら話したり、店内で展示と版画のワークショップをさせてもらったり、焚き火をするために自転車で山に行ったりと「イワシ」と過ごすことが多くなりました。
そんな日々が3年ほど続いた後「イワシ」は西大路通りの待合室みたいな店を出ていきました。
長くなりそうなので
「続く」
版画家景井雅樹
京都の版画工房で銅版画を始める。 2006年頃より、毎日の出来事をノートに青いボールペンで描く絵日記形式の作品を作り始める。 一日1ページで現在4000ページほど。まだ毎日描いている。 コーヒーと自転車と音楽の愛好家。