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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2021.10.07
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ある日、見知らぬ男性が訪ねて来て、いきなり「おたくの路地園芸、とても素敵なので、今度芸術祭にご参加いただけませんか?」と頼まれたら、大抵の方は「新手のオレオレ詐欺?」と怪しむかもしれません。10年ほど昔、アーティストの村山修二郎さんは、東京墨田区の京島で「京島路地園芸術祭」を企画しました。彼が選んだ10軒ほどのお宅にエントリーをお願いして、独自なマップを作り、地域の内外の鑑賞者に「路地園芸術スポット」を巡り歩いてもらいながら、路地やそこでの暮らしの魅力を再発見してもらうプロジェクトです。幸い木訥とした村山さんの人柄も手伝って、警察に通報されることもなく、何度か足を運ぶうち、みなさん快く協力してくださいました。初めは「うちの園芸なんて、人様に見せる価値が無いから」と渋っていた家も、二度目に伺うと、植木鉢が前より綺麗に並んでいた、なんてこともあったとか。「路地園芸術祭」では人気投票も行い、最多得票の方には、金色の植木鉢のついたトロフィーがプレゼントされました。西陣エリアを散歩するたび、彼のエピソードを思い出し、こちらの路地でもいつかプロジェクトをやってみたいと、勝手に妄想したりしています。

曽我高明

ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター曽我高明

東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。