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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2021.08.31
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今年の夏は雨がよく降る。そしていつも夏になると決まって調子が悪くなる。なかなか仕事も進まない。

何年か前の夏、雨の日に野良ネコの親子をとなりの屋根の上で見かけた。子ネコが屋根から飛び降りれなくて鳴いているのを母ネコが下から見ていた。
雑種で白い毛、尻尾がグレーでよくみると目がブルー。

何日かすると子ネコだけになってセミの死骸を食べようとしてたりするので、見かけた時は自分のごはんから少し分けたりしていた。
そしてしばらくするといなくなってしまった。
おそらく仲間のいそうな北野天満宮に移動したのだろう。

一月ほど経って夜中にそのあたりを歩いていると今度は丸々と太ったネコを見かけた。近づくと駐車場の車の下に潜る。
そこにあの白いネコが現れた。車の下を見て気にくわない顔をしたかと思うと助走をつけてその中に飛び込む。
(ものすごいネコの叫び声)
通りを歩いていた通行人も何事かと立ち止まる。
声が静まるとあのネコはのっこりと車の下から現れて身体を舌で舐め始める。
おそらく自分の縄張りに入ってきたあの太ったネコをボコボコにしたのだろう。
子ネコはすっかりたくましくなっていた。

最近でも天神さんの近くを歩くと時々あのネコとすれ違う。
もう白い毛も薄汚れた、いかついヤクザネコになっているが。
しかし、夏場の調子の悪い時にその姿をみると少し元気がでるのだ。

景井雅樹

版画家景井雅樹

京都の版画工房で銅版画を始める。 2006年頃より、毎日の出来事をノートに青いボールペンで描く絵日記形式の作品を作り始める。 一日1ページで現在4000ページほど。まだ毎日描いている。 コーヒーと自転車と音楽の愛好家。