2021.08.19
Written By小野友資

普段西陣の街を歩いていると街の中にあるバグみたいなものに目がいく。バグというのはプログラムにひそむ不具合のことなんだけど、街をあるいていると壁がこわれていたり、看板が傾いてたりと不具合が存在する。その不具合によって大きな問題がないのだろう、そのままにしていることがおおいのだけれど、そのままにしている理由も気になる。西陣は歴史的に小さな一軒家が密集しているためかバグも多い。
雨上がりのある日神社の壁が崩れていたので気になって写真を撮っていたら、後ろから声がかかった。
「紫陽花いりませんかー」
庭の花に水やりをしている葵いシャツの似合うおじいさんだった。そこには大量の植木鉢とそこに植えられたいくつもの紫陽花。中には植木鉢がなくなったのか長靴やジャムのビンにも植えられていた。
紫陽花は何もしなくてもどんどん成長するのでいつも買うことを躊躇っていたがバグが導いてくれたと思い紫陽花を1朶もらうことにした。
来年6月に紫陽花が花を咲かせるのが先か、壁が修復されるのが先か。
まだ先のはなし。