2021.07.23
Written By森 風渡

実家を離れて大阪に下宿をしていた頃
近所の人との交流は皆無だった。
アパートという集合体にも関わらず、唯一のコミュニケーションはうるさいですというクレームのノックだけであった。
西陣に移り住み、小さな路地にお店を構えるいま、近所とのコミュニケーションは多種多用だ。
店の前の子供とは戯れあい、その子供に時折おじいさんが怒号をあげ、昔ながらの回覧板を回し、ダムダムとバスケットボールが跳ねる音を聞きながらコーヒーをいれ。
挨拶ついでに少しだけ会話をする。
当時の自分からしたらこの距離感は新鮮である。めんどくさいこともあるけどいいこともたくさんあるよ。近所とのコミュニケーションをとるのは昭和の話と思っていた学生時代の自分に教えてあげたい。
変わりゆく路地の中に
これからも変わらない昭和の香りが残るといいな。