伊勢角屋麦酒(三重県)
Another Hazy IPA
【山岡さん情報】
コロナ禍でよく耳にする半導体不足。
伊勢角屋麦酒さんでは、ビールを製造する機械が故障した際、半導体不足で部品の調達がままならず、修理がいつになるのか分からないという状況に陥りました。
このままではビールを造れず在庫が無くなってしまうかもしれない・・・という時に、とある醸造所に協力してもらい、そこの設備で普段のビールを造られました。
これまでと同じレシピで造られていますが、あえていつもと違うラベルを貼り「もうひとつの(=Another)」ヘイジーIPAとして販売されています。
全く同じレシピでビールを造っても、製造する場所や設備などの違いで微妙に味が違ってくるという話はよくあります。
今回はそのことを確かめるおもしろい機会かもしれません。
日本酒蔵と違い、地ビール会社が使っている設備は海外のものが多く故障時の対応が煩雑になること、また、年間を通してビールを製造していることから、部品の調達不足の問題が表面化しやすいです。
伊勢角屋麦酒さん以外でも、半導体不足で修理が長引き、いつまで経っても製造を再開できずに困っているという話を聞きます。
同じメーカーの機械でも、納入したタイミングに何ヶ月、何年という時差があると、途中に行われた改良により、後の時期の機械の方が具合が良いということがあります。
そのため、プロトタイプ的な設備を入れている醸造所では故障が多いそうですが、同じような設備を入れている醸造所同士で「こんな使い方もできるよ」と教え合うといった繋がりもあるようです。
伊勢角屋麦酒HP
https://www.kadoyahonten.co.jp/
【飲んだわたしの感想】
!甘いフルーツの香りが爽やか!
定番のHazy IPA(写真・上)と、普段と異なる設備で造られたAnother Hazy IPA(写真・下)を飲み比べてみました!
定番のHazy IPAは、桃のような甘い香りが口の中にぶわーっと広がり、爽やかです。
フルーティー、トロピカル、ジューシー…そういった言葉がしっくりきます。
程良い苦さがありますが、香りの甘さの方が印象に強く残ります。
Another Hazy IPAは、定番のものに比べて濁りが少し強く、色が明るいように感じます。
フルーティーな香りは引き継ぎながら、こちらの方がほんの少し苦みが強く感じられるような引き締まった味になっています。
両者、口に広がる香りの甘さと程良い苦み、そのバランスの良さに私は驚いてしまいました・・・理屈抜きに美味しくて感動です!
そして、設備の違いによって生まれた味の微妙な違いを自分の舌で確かめることができ、嬉しくなりました★