2021.08.17
Written By曽我高明
一定の広がりを持つ地域で、緑で覆われた面積の割合によってその地域の自然度を表す指標に、「緑被率」があります(参照:Wikipedia)。いつだったか、これをもじって「緑視率」と言ったのは、ぼくの知り合い、NPO法人・向島学会理事長の佐原滋元さんでした。
東京有数の木造密集市街地(略してモクミツ)である墨田区向島は、緑地が少なく「緑被率」は大変低い。その代わり街中の路地は、住民の育てた「路地園芸」に溢れている。だから、視野の範囲にある緑の量は決して少なくはない=「緑視率」は高いということになります。ちなみに、江戸っ子は「ひ」と「し」をよく言い間違えるので、それを踏まえた駄洒落でしたが、「持続可能性」云々はさておき、笑いながらも妙に納得した覚えがあります。
先日西陣で撮影したこの路地では、味のあるトタン壁の前に、少々地味な鉢植え植物が並び、向島によく似た「緑視率」の高い一角を形作っています。こんな普段着の風景が方々で見られるのも、西陣エリアを歩いてホッとする理由の一つかもしれません。なお、「路地園芸」を主題にしたユニークなアートプロジェクトの事例があるので、また改めてご紹介したいと思います。
ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター曽我高明
東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。