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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2021.08.02
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北野天満宮で毎月25日に開催される天神市。
友人に誘われて行く。昔から一度は行ってみたいと思っていたが初めての訪問。
その日はあいにくの雨だったが、友人と、そのまた友人とで端から端までじっくり出店をみていく。境内の裏手の道路まで続いており、1時間2時間と時間をかけて回る。
はじめてご一緒した友人の友人は、骨董集めや古い着物のリメイクの達人だった。傘もささず黙々と着物の端切れや骨董を眺めていく。ふっと手にとって値段を聞いた魚の柄の大皿が、思いの外高い値段でそっと戻す。
達人はまた何か手に取る。古い鉄道のレールの一部だ。すべすべと手触りを確かめる。フォルムが滑らかになった小さめのレールだ。達人は「いいねえ」といい私も「これはいいねえ」と通じ合う。しばらく悩んで、これもそっと戻す。
だんだんと本気モードになった我々は別行動を開始。最後は思い思いに気に入ったものを抱えて集結した。
帰宅した後も「あのレールは良かったなあ、買えば良かったかな」と達人は嬉しそうに思い返していた。でも買わない。それも出会い。

川原さえこ

もう一つの椅子川原さえこ

京都府長岡京市在住。フリーランスのリサーチャー、保育士。「もう一つの椅子」という名義でまちのランドスケープ(風景)研究を行う。東京下町から京都へ来て約1年。観光客でもなく京都の地元民でもない境界の視点でふらりと歩いたまちの景色を描く。