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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2021.09.26
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写真は、少し前に堀川商店街内のリサイクルショップで購入した飛騨産業のスツール。丸い座面に、持ち運び便利な取り外せる三本の脚と取手、かわいい代物です。
実は私、根っからの家具好きです。
自分の勉強机を買っていいと親から言われ、当時保育園だった私は「民芸家具のライティングビューローが欲しい」と答え、家具屋さんへ探し歩いた思い出があり、きっとその頃には既に「家具の沼」にハマっていたのではないでしょうか。
大人になって国産の希少価値の高い家具や中古家具を買うようになり、深い傷が付いていたり座面が割れていた場合は、修理に出して使っています。
コロナ禍により在宅ワークで椅子や机の需要が高まってはいますが、コスト重視の安価な家具が増加傾向にみえます。安価な家具が悪いわけではないですが、民芸家具は民芸活動で培われた技術によって日本の生活に寄り添った使いやすい構造になっており非常に質の良い物があります。しかし良質な木材とほぼ手作りな分金額が張るため、なかなか手が出せない現状もあり徐々に生産が減り職人も減る衰退現象が起こっているのではないかと…。そんな中で伝統技術を駆使した和家具職人の育成は厳しいのだろうと、民芸家具好きな私は勝手に危惧したわけです。一から作る技術も必要なのは当然ですが、修理に出された家具を通して、家具職人が昔使われた技術や技巧に直で触れ、職人育成に繋がるよう少しでも貢献できればいいなという気持ちで修理に出すようになりました。大工職人も同様、町家の修繕・改修工事をする際に昔の技術を直に触れることで職人育成に繋がるではないかと、地域活動や町家で仕事しつつ感じることがあります。古き良き物や技術を残していくためには、まずは金額関係なく自分がいいと思うものを買って修理しつつ大事に使う、身近なことから取り組んで続けていこうと思います。
あ、そういえば最近、ミズメザクラの無垢材を使用した舞良戸(まいらど)がついた、細部まで作り込まれている九州民芸家具を中古で購入しました。ANEWAL Galleryへお越しの際は見てください(笑)

磯村明見

特定非営利活動法人ANEWAL Gallery デザイナー/マネージャー磯村明見

京都市出身のグラフィックデザイナー。日本の老舗印刷会社と上海の広告代理店を経て本帰国後フリーに転身。NPO ANEWAL Galleryデザイナー兼マネージャー担当。京都建築専門学校広報担当。京都芸術デザイン専門学校非常勤講師。