2023.02.22
Written By景井雅樹
鵺(ぬえ)をご存じだろうか。
猿の顔、狸の胴体、虎の手足を持ち尻尾は蛇。
でも、鳥。
そんなややこしいヤツが平安時代、京の空を飛び交っていたというのだ。
西陣から少し南、二条児童公園の中に池がある。
その池で飛び交う鵺を射止めた源頼政が矢を洗ったそうだ。
昔からこの公園を夜中に徘徊している。
夜の公園、鵺、どこか恐ろしげなイメージなのだが、なぜか落ち着くのだ。
1人の時もあるし、誰か友人ともウロウロとしている。
そういえば、そんな中にややこしい人いたな。迷惑ではあったがありえないくらい面白くて。
時々、今はどうしているのかと思っていた。
先日また夜の公園で友人に会う。
昔一緒に公園にいた人が去っていったそうだ。
鵺の池に足をつけてみる。
池の底に鵺の血は今も溜まっているのだろうか。
冬でも暖かいそれは、公園を後にした今でもとれないような気がしている。
版画家景井雅樹
京都の版画工房で銅版画を始める。 2006年頃より、毎日の出来事をノートに青いボールペンで描く絵日記形式の作品を作り始める。 一日1ページで現在4000ページほど。まだ毎日描いている。 コーヒーと自転車と音楽の愛好家。