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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2021.09.30
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部屋の窓と版画プレス機と作業台、ついでにコーヒー器具を描いた展覧会のハガキ。その横にトドメの一押し、「西陣」の消印。

このエリアに仕事部屋を借りたばかりの僕は古い建物と版画道具の馴染みにすっかり気をよくして、部屋のものばかり描いた展覧会を企画したのだった。ついでに引っ越しのアナウンスもできるし。

そして、案内のハガキを作るとわざわざ、近くの西陣郵便局で記念切手を買い、近くの喫茶店で貼り付け、手書きで宛名を書き、また郵便局に行って消印を押してもらうというなんとも非合理なやり方でDMを出すという事をしていたのだ。
今、思えばあれは制作のために気持ちを集中させる儀式だったのかも。
そうして、部屋と窓とその周辺の版画ばかり展示した展覧会をしたのだった。

それからは制作や仕事のスタイルも変わってしまい、ああいう感じの展覧会はしていないのだが最近になって、またそういうやり方の展覧会をもう一度やってみたいなと思うようになった。

その時は西陣郵便局かもしれないし、また違う土地かもしれないが、暮らしている土地の消印を押した案内を出してみたいものだ。

*絵はその頃の日記に描かれたイメージです。実際の西陣郵便局は〒型の窓ではありません。

景井雅樹

版画家景井雅樹

京都の版画工房で銅版画を始める。 2006年頃より、毎日の出来事をノートに青いボールペンで描く絵日記形式の作品を作り始める。 一日1ページで現在4000ページほど。まだ毎日描いている。 コーヒーと自転車と音楽の愛好家。