2021.07.02
Written By景井雅樹
「ハローワークで仕事探してるけどないな。で、落ち込んで帰る前にコーヒーくらい飲みたいやん。喫茶店とかに入ると出費かさむし、ここならタダやん」
そんなセリフを言ってのける、かつてミュージシャンだった友人は僕が仕事している部屋に毎週やって来た。
近くにある西陣ハローワークの帰りだ。
そうしてコーヒーを煎れさせられるのだが、使ってる豆について、ドリップ方法について、かかってる音楽についてのウンチクが始まる。転がってるギターを弾く時もあるし、昼間からお酒を飲んでる時もあるし、残り物とかでテキトーにパスタを作って食べてる時もある。
なんともダメダメな大人たちの話なのだが、どこかボヘミアンな雰囲気を感じて楽しかったものだ。
最近ではそんな西陣のボヘミアンたちもめっきりコーヒーを飲みにこなくなった。それはそれで良いことなのだろう。
版画家景井雅樹
京都の版画工房で銅版画を始める。 2006年頃より、毎日の出来事をノートに青いボールペンで描く絵日記形式の作品を作り始める。 一日1ページで現在4000ページほど。まだ毎日描いている。 コーヒーと自転車と音楽の愛好家。